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チートはいらないって言わなかったか?  作者: 関谷 じん
第1章 変態王子、変態王になる
11/20

エミリアside

新ヒロイン視点です。

短いです。

私がいつも通りダンジョンの拡張を行なっていると、ダンジョンの外から莫大な魔力の反応を感知した。

ダンジョン拡張の手を止め、外に偵察の魔物を出した。

偵察は一定の間隔で出している、この間うっかりしてゴブリンどもに倒されてしまった。今まで近くにダンジョンがあるっていう痕跡を残さないようにしていたが、そんなヘマをしてしまって焦ったものだ。

でも、この辺りの森は私の幻惑魔法を使っている、そう簡単にはバレないと思っている矢先にあんな魔力反応だ。私は内心、気が気でなかった。

偵察の魔物と視界を共有して、魔力が反応する方向を見る。なんと驚くことにそれは上空からだった。

上空には2歳ぐらいの上半身が裸で下にはタオルを巻いている男の子とその男の子を一方的な魔法で攻撃する白すらもかすむ真っ白な女の子がいた。私は慌てて止めようとしたが、2歳ぐらいの男の子を見るとその表情はとても2歳児がするような顔でなかった。

私は怖くなり関わらいでおこうと思い。偵察の魔物をダンジョンに戻した。私は自分に何も見ていない、何も見ていないと暗示をかけダンジョンの拡張を始めた。

それから、1時間くらい経った後、このダンジョンに侵入者を知らせる警報が鳴り響いた。

私はあの隠蔽を突破したの!と思いながら迎撃の準備を進める。

入口の近くにいたグリーンスライム達を使い、偵察を出す。一匹のグリーンスライムの視覚を共有して侵入者を探す。侵入者は気配を隠蔽してみたいだが私の気配感知には勝てなかったようだ。

そこにはさっき上空にいた2歳ぐらいの男の子と真っ白な女の子がいた。私はえ!?と思いながらも何か情報を入手しようと思いその男の子と女の子を鑑定した。


・レベル:1

・名前:フラムスティード・ポラリオン 2歳

・種族:人間 男

・地位:ポラリオン王国、第一王子

・称号:神童、天才、王子


・HP:100/100

・MP:100/100

・SP:50

・AP:10

・DP:10

・LP:40


・スキル

なし



[鑑定不可]


私はついにずっと一人だったために寂しくておかしくなったのではないかと思った。

男の子の年齢はいいが、ポラリオン王国、第一王子!?

ポラリオン王国と言えばこの大陸の経済力、軍事力、文化力のすべてがトップクラスの国ではないか!そんな国の第一王子がなぜここにいるの……

しかもこの男の子のステータスは絶対にありえない。さっき少女から攻撃されているところを見たが、こんなステータスではあの攻撃に耐えられるはずがない。しかもあの時はてんぱって何も思わなかったが空を飛んでいた。あれは限られた魔法使いにしか使えない飛行魔法を使っていたに違いない。

そんな男の子を攻撃していた女の子に至っては鑑定不可と出ている。私も長く生きているがこんなことは初めてだ。

私は鑑定から情報を得ることをあきらめ、一度グリーンスライムで攻撃してみることにした。

グリーンスライムに攻撃命令をした。すぐにグリーンスライムの存在に気が付き、2人で何かしゃべると男の子のほうが小さな火の玉をスライムの数だけだした。

ステータスに火属性魔法なんてなかったぞ。と愚痴りながらも魔法の扱いに感心した。その数のファイヤーボールを制御することに。

しかし内心舐められたものだなとも思った。こんな小さなファイヤーボールで私のグリーンスライムを倒せると思ったことに。

そう思っていると男の子がファイヤーボールを放ってきた、私の目では追えるけどスライム達は無理だろうな。と思いそのファイヤーボールの行方を見守った。

次の瞬間、私の目にあり得ないことが映し出された。極小のファイヤーボールがスライムに当たった瞬間、爆発したかのように激しく燃え始めた。

私がえっ!と思っているとスライムとの視界の共有が途切れた。

ダンジョンの最奥でさっきのファイヤーボールは何だったんだ。と頭を抱えたが、すぐにこんなことをしている場合ではない。と自分に言い聞かせて、侵入者をどうするかを考え始めた。

私の唯一の居場所を奪わせないために。


――――――――――――――――――――――――――


私は妖精族だった。光属性魔法の使えない。

妖精族は下界に降り立った神の使いと言われており、妖精族の全員が光属性魔法が使えることはその証だった。しかし、私はその光属性魔法が使えなかったため悪魔の使いと言われ、里の差別の対象だった。

悪魔の使いはごく稀に生まれる。妖精族は生まれて半年ほどで自我ができあがる、本来ならそれまでに殺されるのだが、私の両親がそれを止めた。悪魔の使いである私をかばうということは、妖精族を敵に回すのにだ。

里の中での私の扱い最悪だった。ぶたれたり、石を投げつけられるのは日常で、さらには魔法の練習の実験台にされたり、魔物にわざと襲わせたり、ほかにもいろいろされた。しかし、両親だけはそんなことせず、私に普通に接してくれた。そんな両親が私は大好きで、私にとっての心の拠り所だった。でも心の中でどうして助けてくれないの?と思ったことは何度もあった。

ある日、いじめで1人で魔物を狩ってこいと言われ、魔物を探すが見つからず、夜遅くまで1人で魔物を探していると、人気が全くない場所に族長と両親がいた。私はこんな時間にこんなところで何をしてるのかな?と思ったが気にせず、話しかけようとした。族長は私をいじめないから好きだった。

近くに行くと族長たちの話声が聞こえた。私はその話を聞いた瞬間、今まで何とか持ちこたえていたなにかが決壊した。そして手に持っていた武器を落としてしまい族長と両親に見つかった。

両親の手には妖精族が大好きなはちみつがあった。しかも1番、貴重で美味なキングハニーのはちみつだった。両親が私を見ると、目を見開きながら、エミリア聞いていたのか!?ち、違うんだ!といった。

何が違うっていうの、その手に持っているものが示しているよ。と言いたかったがうまく声が出せない。

私はたまらなくなりその場から走り出した。

もう里には戻りたくなかった。行く当てもないがとにかく里と反対の方向に走った。

走っているとき、私は両親が優しくしてくれたことを思い出した。しかしこの全部が偽物だったとわかると、私の心は空っぽになった。

両親が私を助けたのは娘への愛情ではなく、族長からの頼みだったのだ。私という妖精族共通の敵を作ることで妖精族をまとめ上げようと思ったのだ。両親が私を助けて他の妖精族から冷たい目で見られる代わりに両親は族長から貴重なはちみつをもらっていたのだ。

私が思っていた両親からの愛情は偽物だった。私のすべて、人生そのものが偽物だったのだ。


里を出た後、何度も何度も私が生きる意味があるのかと自問自答したが、その答えは出ず、そして何度も死のうと思っても、いざ死にそうになると怖くなって……

里を出てからは行く当てもなく、でも里から少しでも離れたいと思ってただ歩き続けた。

皮肉にもいじめられていた時に1人で魔物を狩ったこともあったので食べ物には困らなかった。

そんな生活がどのくらい続いたのかわからない、強い魔物でも勝てるようになったころ不思議な場所に迷い込んだ。

洞窟だがなぜか明るくて、魔物を倒すと体が消え石のようなものを落とす、そんな場所だった。

私は不気味だったがなぜか奥に進まなくてはならないと思い、足を進めた。そして大きな扉までたどり着いた。怖かったがその扉を開けた、というより触れたら勝手に開いた。

扉の先には2mぐらいの石でできた人型の魔物がいた。

私は苦戦しつつもなんとかその魔物を倒した。

倒した瞬間、さっきまでの魔物から出てくるよりも大きく、美しい石のようなものと七色に輝く球が出てきた。私は無意識にその球に触れてしまった。

すると脳内に無機質な女性の声が聞こえた。


[主の存在を確認しました。妖精族エミリアがダンジョン主になりました]


これが、私がダンジョンマスターになる瞬間だった。


――――――――――――――――――――――――――――


私は侵入者を排除するため、グリーンスライムの後にもコバルトやゴブリンを出したが、どれも瞬殺だった。これは弱いな相手は無意味だと理解し、弱い魔物を隠れさせた。

そして一体目のボスである、トロールのトルの前まで来た。私は剣士がいない中どうやってこの子を倒すんだろうね。と思いながら、その戦闘を見守った。いや、見守るまでもなかった、瞬殺だった。

男の子が火属性魔法の中級のファイヤーアローを100本程だし、トルの体中にそれをぶつけた。次の瞬間トルの体は消えて、私との視界共有は途絶えた。

私は久しぶりに死の恐怖を感じた。いずれかここには来るだろう。それまでにできるだけ侵入者たちを消耗させておこうと思い、全魔物たちに攻撃命令をした。

私の友達のような魔物たちにそんな命令するのは嫌だが、私さえ生き残ったらまた復活させられると思い、自分を納得させた。

それから2時間後、侵入者はダンジョン最奥の扉まで来た。ここまで沢山の魔物に攻撃させたがどれも一瞬だった。このダンジョンで私の次に強い、ケルベロスのケー君ですら一瞬だった。私はそれを見た瞬間、卒倒しそうになったが、ここで逃げてはならないと思いなんとか持ちこたえた。

侵入者は扉に触れた。私は開くなー!と思ったが、無慈悲にも扉は開いていった。

50m先で男の子が私のことを見た瞬間、


「妖精、ロリ。キターーーーーー!!!!」


といった。

この子の両親をこのまま悪役にするか悩んでいます。


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