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実力

「さっきも言ったけど俺、連れいるから」


そう忘れてはいけない、俺をこんなところまで連れてきた兄さんとエリカがいるのだ。あいつらまだ帰ってこないのかよ。どんだけ遠くに行ったんだ。


「大丈夫!僕が勝手にネオンについていくだけだから3人の邪魔はしないつもりだよ!ネオンのこと守ってあげる!」


いや女の子に守ってもらうとか俺の男としてのプライドが…。まあ殴られて悶絶してるところ見られたからすでにプライドとかないに等しいんだけどさ。


「魔獣って何狩りに行くの?この辺り結構強い奴しかいないよ?スライム?」


ここで俺の宿敵の相手の名前を出すあたり俺のこと完全に弱い奴認定されてるな。悪気はないんだろうけど。てかスライムだったらわざわざこんな遠くまでこなくてもそのあたりに転がってるわ。


「オークを狩りに行くみたい。俺は兄さんたちの陰に隠れて逃げ回るだけのお仕事。役に立たないからな」


「じゃあなんで行くの?」


ぐさっ!痛い。心が痛い。いや確かに役に立たないけどな。連れてこられただけだがなんかそこ聞かれるとな。


「う…実践が1番ってことで連れてこられただけだから…」


「そうなんだ!じゃあ、やっぱり僕も一緒に行ったほうがいいよね!僕こう見えて結構強いんだよ?能力あるってのもあるけど魔法もそれなりだし」


うむ、魔法はわからないが身体能力はさっき俺が身を持って体験したから分かるわ。


「ほら、見てて!」


いや、分かるから別に見せなくても…。


チコはそう言うと、少し歩いて20mほどある大岩を装甲に覆われた腕で軽く小突いた。チコが見せた動作からは想像ができないが岩が粉々に崩れ始める。


え、もともと脆かったんだろ。あんなんで崩れるわけない。


「なんか信じてないような顔してる。いいもん別に!でもネオンを殴っちゃった時より全然軽いよ?普通の人だったら粉々になっててもおかしくなかったからね?」


チコは少しむっとして俺を上目遣いで見る。本人はにらみつけているつもりのようだ。

「だからやっちゃったなーって正直思ったよ。今までヒトは殺したことないけどてか関わり持たなかっただけだけど、とうとう僕も殺人しちゃったなって…」


むっとしていた顔が少し泣きそうな顔になった。いやまた泣かれてもねっ!どうすればいいか分からなくなるし、はたから見たら俺、女の子を泣かす悪い男以外の何者でもないからねっ!


「だからネオンが生きててなんともなかった時、僕本当にほっとしたし嬉しかったんだ。この人となら一緒にいてもいいのかなって」


いや、でもよく俺生きてたな。あの岩粉々にした力以上に殴られて無事とか自分でもわけわからんわ。やっぱり岩が脆かったのかな?


「とにかく俺は無事だし、魔獣狩りに付き合ってくれるなら普通にありがたい。殴られたのめっちゃ痛かったけど、これでおあいこってことで」


「うん!僕頑張るね」


そう行ってチコは、溢れそうだった涙を拭って少し微笑んだ。







**********************



しばらくして、兄さんとエリカが戻ってきた。てかなんか気持ち悪い大きい魚持ってるんだけど。なにそれ、オレンジと紫の色の魚とか絶対毒持ってるだろ。それ食べるの?


「ただいまー。あれ、ネオン寝るんじゃなかったの。お腹減った?こいつ探すのに手間取っちゃってさ〜。こう見えてめっちゃうまいんだよ。高級魚だからね?」


「一応ネオンタラっていう泳げる魔獣なんだけど…ってその子誰?」


エリカがちらちらと俺の横のチコを見る。


てかネオンタラ!?俺の名前!こんなキモいやつと名前かぶってるとかなんかショック…。おっと紹介せねばな。


「この子はチコって言って、俺が寝てた所が上位魔獣の通り道だから危険だってことを教えてくれたんだ。魔獣狩りも手伝ってくれるみたい」


「はじめまして!チコです。将来の夢はネオンのお嫁さんです!強さには自信あります!」


おい!ちょっと待って。なに言い出すんだこの子。


「はじめまして!ネオンの兄のアルバート・ガードナーだよ。よろしくね〜」


兄さんスルー。普通に自己紹介してるし。


「従姉妹のエリカ。こんなやつのお嫁さんとかよく考えた方がいいんじゃないの…?か…顔はまあいい方だけど性格とか強さとか強さとか…。てか出会ったばかりよね?」


「顔も性格も僕のタイプです!強さなんて僕がカバーしますよ!好きになるのに時間は関係ないのですよ!」


顔がいいとか照れるなあ。あ、でもそれ兄さんがいる時には言わないでくれよ。兄さんと比べられたら俺終わるから。兄さんとは次元が違うからな。


「そ…そう」


チコの勢いにタジタジになったエリカはなんだかモヤモヤしているようだが放っておこう。


そんなことよりこの毒魚っぽい魔獣をどうするべきかだ。食べたらお腹壊すなんてことないよな。絶対生はダメだろうし焼くのかな。


「ネオンも隅に置けないなあ」


兄さんの言った意味はよく分からないが案の定火属性魔法で毒魚もどきを焼きはじめた。


隅に置けないって…。あチコのことかな。いまさらかよ。てか言ってないけど俺チコに初対面で殴られたからね。結婚したら尻に敷かれる事くらい予想できるから絶対無理だわ。怖いわ。




紫とオレンジの毒魚もどきは焼いたら普通の魚っぽくなった。でかいけどな。


「とりあえずご飯にしようか」


魚がでかすぎて向こう側の兄さんが見えなかったから魚が喋ったかと思った。そういえばお腹減ってるし普通にいい匂いしてるし…


ネオンタラ…おまえの実力この俺が測ってやるぜ!



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