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信じられないでしょうけど、探索中です!


《ますたー》

(あいよ)

《ミルクちゃんに話できたって、みんなから》

(了解。ベイビーズは一部戻してステータスの回復。一部はミルクルさんとの通信手段として待機。何かあったら連絡を頼む)

《りょーかい!》


ウチのアオちゃんマジ有能。

はぁ〜、可愛いわぁ〜。


《マスター。顔顔。だらしない》

(おっと)

《はぁ……ボクだってちょっとは成長したんだからな……》

(わかってるって。頼りにしてる)

《ほんとかなぁ。あ、マスター、そこの階段右。ショートカットするからジャーンプ》


少しふてくされているミドリの指示に従い、直進のはずの進路を右に変更。

言われたままにジャンプして衝撃に耐える。



《『実験室(ラボラトリ)』》



ミドリのアビリティ発動した声が反響するように俺の脳内を走り、次の瞬間にはミドリの体から黄緑色のソナーのような波紋が生まれ、辺りが薄く緑色に光りだす。


《座標位置を区分、固定、A1点からC3点迄一定範囲内の固形物を変質、融解》


ミドリの言葉に従うように、俺の真下の階段がボッコリと溶けるように陥没し、おおよそ三階ほど直通の緊急通路ができる。

アオとミドリを支えそこを遠慮なく真っ逆さまに落下、バタバタ喚くフードからエンジンのダンジョンを思い出す。

その時同様、着地の衝撃をできるだけ逃すように膝を曲げ、ものの数秒で地面に到達する。


《データコピー、再構築……不備、階段材質の硬度やや減衰、その他使用上の問題特に無し》


そして驚くべきことに、改変され形が変形していた階段が、次にミドリが波紋を放つことで何事もなかったかのように元に戻った。


実験完了(オールグリーン)

(お見事)

《あはは。でしょ?》


周囲のサーチを再度行いまた走り出しながら、ミドリに惜しみない賞賛を送り、照れたように笑う声が脳内に届く。

流石は反逆者のジョブ持ちだ。


そう、ミドリもこの間、無職から晴れて新しいジョブに就くことができたのだ。


そのジョブとは、《マッド・サイエンティスト》。

ますますミドリの理科系女子のイメージが深まったぜい!

まぁ、マッド・サイエンティストなんていうと悪い印象があるけど、まぁジョブだしな。

いわゆる、天才科学者といったところか。


(自慢のスライムちゃんたちだよ、本当に)


ウチのミドリちゃんマジ万能。

抱きしめたくなっちゃうね。


《その時は是非、マスターに効くぐらいとびっきり刺激的なドレスを着てお受けするよ?》


それはつまり、俺の無効アビリティすら貫通する毒を作ってお待ちしてますってか?


(ははっ。悪くないかもな!)

《ちょ、ますたー!》

《ボクの全てでマスターの身も心もとろっとろにとろけさせてあげる》

《みどりちゃん!》

(それだけ刺激的ならうっかり惚れちまうかも?)

《ボクは一向に構いませんよ?》


前から思ってたけど、ミドリはなんだかんだで割と俺に似た性格をしているらしい。

お互いにお互いでふざけあい、どこか隙を見つけようものなら、全力でからかいにいくような。

ま、いい性格してるよ。


《うううぅぅ……アオが構うよーっ! 二人ともこんな時に何いってんのーっ!》

(《あははは。冗談冗談》)


二人して吹き出して、ぷりぷり怒り出したアオを宥める。


(ごめんごめん。こらミドリ〜。楽しいからってアオをからかい過ぎは良くないぞ?)

《マスターだって楽しんでやってたくせに〜。それに、ボクはマスターも一緒にからかってたつもりなんだけど?》


まぁ普段はミドリもあんまりこうゆうことはしないんだがなぁ。

さっきアオだけ褒めたせいでふてくされてたけど、まだ根に持っていたらしい。


(ふふん。その程度ではまだまだ。俺の心を惑わすには不意をつかなきゃ)

《成る程。次はそうするね〜》


ミドリの声が割とガチだった。

それを聞いて少し冷や汗が流れる。


やべッ、ちょっと今のは余計だったかも……


《それに、さっきのは別に冗談といっただけで、本気じゃないとは言ってないんだけど?》

(は?)


ミドリが口の中で飴を転がしながらそんなことを言いコロコロと笑う。

それにフリーズする俺。

え? いや、えーっと、いや、その、まてまてまて、え? つ、つまり……


《あ、今マスタードキッとしたでしょ》

《むっ! そうなのますたー!》


ぎくり。

こ、この小悪魔サイエンティストめ……早速不意をついてきやがって。


(ソ、ソンナコトナイデスヨ?)

《そんなカタコトで言われても……》


勤めて二人に視線を合わせることなく、ぎこちない笑顔でそう答えた。

ちょっと声が裏返ったけど、まぁ些細なことだよね。


だからそのジト目をやめて!


(あ! なんか怪しい動きを感知! 直ちに現場へ向かわねば! あー、忙しいなー!)

《わざとらしすぎる》

《マスター、撃沈!》


撃沈とか言わないでくれますッ!?


ちっくしょ〜、もう誰だか知らんが俺は怒った!

八つ当たりしてやるぅ!


「……っと、この影は」


おっとつい声が出ちゃったよ。

いかんいかん。

とはいえ、怪しい動き、してる奴がいるんだなぁコレが。

ふむ。にしてもおかしいな。


《……一人?》

(ミドリもそう感じるか? 一人しかいないよな?)


俺が怪しいと認定した者は、地下の講堂で何かをしているようなのだが。

近くにいないとかそういう次元の話ではなく、あたりに人気が全くないのだ。

講堂内はおろか、地下全体に人気がない。

まるでそこだけ世界から切り離されたかのような違和感がある。


それはつまり、人避けがされているだけではなく、味方もいないということだ。


(アオ)

《うん》

(少し調べる。スタート、battle the エネミー。掛け金レイズ、ベット24万5200ゴールド【 イメージ・コピー 】)


確認したいことができたためアオの金アビリティの一つを発動する。


(ただし、コピーするのはベイビーズの一匹。つまり分体な)

《コピー源は?》

(俺の記憶。通信リンクから俺の脳内に介入し記憶の閲覧。できるかな?)

《やってみる》


ミルクルさんからこの前、『侵入』アビリティによるハッキングでそういうことができると聞いたからな。

またあの人も……この世界に来て試すことがエグいね全く。


アオが一匹のベイビーを作り出し、その上で金アビリティを行使する。


(イメージ記憶対象は《Barrier crow》。直訳すると《結界烏》だ。嘴が真っ白いのが特徴の烏)

《……イメージのコピー開始》


俺の記憶の中に存在するエネミーの姿をアオが読み取り、アビリティ効果でベイビーの姿が変化し始める。

グニャグニャと忙しなく動いたのち、一定の形で定着すると、次に色合いが変化し、最後に羽を広げグァァアと鳴いた。

その姿は一寸違わず、俺の記憶の中にあった《Barrier crow》そのものだった。


《……ふぅ》

(すっげ……色々出来るもんだなぁ)

《ますたーのエネミーですからね!》

(ははっ。そっかそっか。んじゃ次だ、その《Barrier crow》、食べちゃって)

《元は自分の一部だから、食べるっていうより同化のような気がするんだけど》


細かいことは気にすんなの巻。

そんな俺の命令を律儀に守ったのか、アオは大口を開けてパックリとバリア・クロウを一飲みした。


(じゃあ最後だ)

《うん。『吐瀉物転写』》


アオがアビリティを発動し、口の中からスライムの塊を数個吐き出す。

吐瀉物っていうから、まぁ、ゲロなんだろうけど。

普通にベイビーズと見た目ほとんど変わらないなぁ。


(いや、ここからか)


そう思っていたら、早速スライムの塊に変化が現れ。

塊全てがあっという間にバリア・クロウへと変化した。

ざっと見て10羽はいるか?

初めてやって見たけど、すごいもんだなコレは……


《……ゔぅぅ》

(ん? アオどうかした?)

《……なんかぎもぢわるぃ》

(だ、大丈夫か! どういう気持ち悪さだ?)

《吐き気が……》


吐き気を催した?

まさかアビリティの反動か?

まぁ初めて使ったアビリティだけど、成る程、こんな代償があるのか。


(吐き気だけか? それ以外はないか?)

《ゔん》

(そっか。楽になるなら吐いてもいいんだぞ)

《ううん……我慢、できないわけじゃないから》

(……無理するなよ?)


思わぬところでアオがダウンしてしまったな。

取り敢えずアオの背中をナデナデしながら、指示を今か今かと待っているバリア・クロウ達に地下へと続く地下通路を指差しながら指示を与える。


(全員、『結界喰らい』のアビリティを発動し、地下へと特攻)

《《《《《《グァァア》》》》》》


元がアオの分体だからなのか、念羽で会話可能なバリア・クロウ、略してバリクロ達を突っ込ませる。


この先が余りにも不自然に人気がない、それはアビリティ効果、それも結界系が使われていると見た。

そしてその結界を破壊する方法として特例中の特例を今現在行なっているのだ。

バリア・クロウは、アビリティの中でも珍しい『結界系を破壊』するアビリティを保持しているのだ。

正確には、結界に似た性質を持った嘴で他人の結界に干渉し、結界を解除するのだ。


(ミドリの『実験室(ラボラトリ)』で上書きすることもできなくはないけど、アレはアレで制限があるからな)


結界の原則として、同レベルかそれ以上の結界アビリティでない限り上書きはできないため、何でもかんでもバリクロを使えばいいわけではないが。

今回の相手の結界ならそれほどでもないし、数も用意したから多分大丈夫だろう。


(人避けのものかもしれないとはいえ、俺たちに直接干渉するものじゃないとも言い切れない。ミルクルさんの時みたいなのはごめんだからな)

《あ、なんかにぶつかったみたい》

(案の定結界か。よし、みんな聞こえるか? バリクロちゃ〜ん、ご飯よぉ〜)


その後の通信がもうね。

なんというか、グアグア、グアグア、みんな狂喜乱舞してた。

自分でけしかけといてなんだけど怖いね。


《抜けたって》

(あいよ。バリクロちゃん達お疲れー。疲れただろうし、また後で呼ぶからそれまでゆっくり休んでてくれ)


さて、邪魔な結界も無くなったことだし、俺をストーカーしてくれちゃってる怖〜いおっさんをきっちりぶっ潰しにいきますかね。


《あーあ。可哀想〜、八つ当たりでここまでやられ》

(ミドリ。新作のはちみつソーダ飴だ)

《手を打とう》


ミドリが何やら言ってはならないことを言いそうになったので大人の力で沈黙させる。


(アオも。ほい、レモン味の飴ちゃん。舐めとき)

《なんで?》

(気持ち悪さを少しでも軽減できるようにや)

《わーい》

(あ、言い忘れてたけどすっぱさ全開にしてるからそこらへんは注意して……)

《おにょにょにょにょにょ》

(……遅かったか)


すっぱすぎたのかによくわからん言葉を発し始めるアオ。

別のに変えようと思い棒を引っ張ったらビクともしなかった。


酸っぱいと言いながら飴を舐めることはやめないアオちゃん。

萌え〜萌え〜きゅんっ。


(げふんげふん! さて、こんな事してるうちにもう着いたし、そろそろ真面目に行きますかね)


今までの会話は全て念話だったので、勿論周りの誰にも聞こえていない。

その上俺は気配と姿を消してる為、俺の目の前でなんか変な魔法陣みたいなのを書いている男は、俺の存在に気づいていない。


「オイ」

「……ッ!?」


俺の不意の呼びかけに、肩をびくりと震わせたその男は、腰にさしていたレイピアを抜きこちらに向けながらいつでも動ける体制を作った。

そして俺は当然ながら見えないので、男は忙しなくきょろきょろと辺りを見渡している。


というか、自分の結界が破られたのに気がつかなかったのか?

相当鈍いか、こいつのアビリティじゃなかったっていう可能性もあるか。


「な、何者だ! どこに隠れている!」

「はぁ……」


いよいよしびれを切らしたのか男が喚きだした。

このまま隠れたままでもいいんだけど……


「き、貴様は」


敢えて姿をあらわす方向で行こう。


「これは一体どういう事だ?」


俺は講堂のステージ全体に広がっている魔法陣のようなものを指差し、男に威圧を込めた視線を送る。


「メリダス教諭?」



久しぶりに主人公とスライムちゃん達の駄弁ってるシーン書いたわー。

このシリアス展開の中にぶっこんでくるというね。

あー、楽しかった。

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