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信じられないでしょうけど、誤解っていうか、なんていうか、ご馳走様です!

『検索』の効果でオッドアイになっているであろう俺の目に、隠蔽され改変されていた真のステータスが現れる。


状態異常:『恐怖』『ドッペルゲンガー』


「見たことねえー……」


あの影のことであろう状態異常がはっきりと見えた。

しかし見えたはいいのだが、それが初めて見たものであると対処の方法もわからずじまいだ。

前EGOに存在していた状態異常に『ドッペルゲンガー』というものは、少なくとも俺の周りではなかった。


まぁ、こんな時のピンポイントで役に立つのが


今まで『雑魚ノ反逆』や『限界破壊』の影で薄くなっていた俺の三つ目の特別(スペシャル)


「『アビリティセンス』発動」


俺の目に『アビリティセンス』の輝きが灯る。

見る。ひたすら見つめ続ける。一挙一動を見逃さず、ひたすらに。


そして今尚、動くことにまで意識が向けられないほど集中している俺に攻撃の雨が降るが、それをアオが片っ端から叩き落としていく。


(『ドッペルゲンガー』。アビリティ『影ノ選別者』所持者によって取り付けられた寄生型条件爆弾が爆発した際に起きる状態異常。状態異常中、『ドッペルゲンガー』はエネミー化し寄生主を守護する。寄生主は自分の影に身体の大部分の制御を奪われ、『ドッペルゲンガー』がエネミー化している間、ドッペルゲンガーのエネルギーである『寄生主の魂』を削られ続ける)


ふうむ。あれは取り敢えずエネミーなのか。

しかし『検索』しても見れないんだけどな。

いや、これは生物とは呼べないから、『鑑定』ではなかろうか。


(魂が消滅した時寄生主の命は途絶え、エネルギーを失ったドッペルゲンガーも消滅する。魂の削られる速度は寄生主の精神力に比例する。それ以外にも、ドッペルゲンガーにダメージを与えると魂の削る速度は遅くなる。ドッペルゲンガーに一定以上のダメージを与えて消滅させれば魂の減少も停止する)


次々と溢れ出てくる情報を一つも漏らさずに記憶し脳内に叩き込む。

今俺の周りでは何が起きているのかいよいよもってわからなった。

とはいえこんなことを考える暇すら今は惜しい。

アオたちのことを信じて俺は突破口を見つけることに専念せねば。


(『ドッペルゲンガー』はゴールドの代わりに『寄生主の魂』を削ることでアビリティを発動する特殊なエネミー。攻撃するだけでも魂は削られ、魂が削られるという感覚は強烈な不快感と激痛となる。激痛による寄生主のショック死で、魂が削りきられる前に消滅することでもドッペルゲンガーは消滅する。寄生主が自力でドッペルゲンガーを追い出すことで消滅させることも可能。しかしよっぽどの精神力の持ち主でない限り自力でドッペルゲンガーを追い出すことは不可能である。ドッペルゲンガーのもつ『永久機関』アビリティは極めて強力で、物理無効だけではなく、一部以外の特殊すら無効化する力を持っている)


自由自在に変形し、一部の攻撃以外ダメージを受けない…………か。面倒っていうか、俺じゃ時間制限内に倒せないかもしれんな。


『一定時間が経過しまし』

「おっと、『限界破壊』ちゃんお疲れ。さんきゅ。愛してるよ」

『…………スリープモードに移行します』


なんか不満げに返ってったなオイ。

例え今みたいにセリフをキャンセルしても、少なくとも今まで『限界破壊』を使ってた分の代償は持ってかれているから、最後まで聞こうが変わんないんだけどな。

できるならすぐに止めておいたほうがいいに決まっている。

そして、よし! なんとか穏便に済ませられたぜ!

アオとミドリの視線が痛いがな!


とはいえ、あれだけヒノデさんに大見得切ったというのに。

ドッペルゲンガーのスペックが思った以上に高いし、相性がこれだけ悪いと少し厳しいものがある。

因みに、ドッペルゲンガーに有効な特殊とは、『炎系統』や『光系統』らしい。


「『炎系統』ってなんだよ…………『光系統』? なら『交換』すれば、『発光』とか『フラッシュ』とかもってこれるかもしれないけど……マジで使った事がないからどこらへんにあるのかがさっぱりわからん」


『交換』にもデメリットは多いのだ。固有(ユニーク)になれない時点でお察しなのだが、色々と制限が多すぎる。


「便利なんだけどなぁ。てわけでここは。ミドリ、聞いてた?」

《対処しながらだったけど、ほとんどアオちゃんがやってくれてたからバッチリ》

「上々。アオ、神盤出して〜。スタート、battle the エネミー。ベット、5万ゴールド」


パーカーの効果で50万ゴールド分の力がミドリへと流れて行く。

成長したミドリの力でいってみようか。


(ゴールド)アビリティ【 クリエイト・ドラッグ 】」


ミドリがアオやキャンディーちゃんと俺に内緒で何かしており(おそらく特訓?)、それにより覚えたミドリの新しい(ゴールド)アビリティだ。

というか、称号に【 雑魚ノ反逆者 】と【 限界破壊者 】が追加され、レベルも上がった。

特訓はしていたんだろうけど、あまりに経験値の量が多いので疑問に思ったら、どうやら俺の作った飴が原因のようだな。

まぁ、今はそれは置いとこうか。


ミドリが俺の体から降り、その緑黄色の体からどろりと灰色に濁った液体を吐き出した。


「よし、『合成』」


その液体に素早く触れ、アビリティ『合成』を発動する。

ミドリの固有アビリティ『万能薬』で、まず俺の合成に必要な素材と同じ成分の薬作り、【 クリエイト・ドラッグ 】の力でそれを形にし体外へと放出。

そしてその素材を使い、俺は作りたいものを合成で作り出す。


「っと! あっぶね」


合成している最中にアオが少し触手を取り逃がしたため、ヒノデさんを庇うように手で弾く。

どうやらこの影改め、ドッペルゲンガーは俺のDEFを抜けないらしいからな。

少なくとも俺がやられる心配はない。

とはいえ、例えば眼球とか、活動に支障をきたす人体の急所と呼ばれる箇所に攻撃されるとまずいためアオの護衛は必須だが。


《あ、ますたーごめん!》

「気にしなくていいよ。あと少し粘ってくれ」

《りょー、かいっ!》


アオが突撃で影を弾き飛ばしたところで視線をぐにゃぐにゃ動く液体に戻す。

にしても、アオが今やってる攻撃も多分物理に入るんだろうから、ダメージは入ってないんだろうなぁ。

防げてるだけまだマシと考えるべきかな。


急がないと、担任教師さんの命がやばい。


「……よし! 完成だ」


液体が一度虹色に光り、次の瞬間には俺の手に手のひらサイズの頭に変な突起のついたボールがあった。

縦と横に一本ずつ線が引かれているそのボールの、頭の突起『スイッチ』を容赦なく入れる。


ぴぴぴぴっと軽やかな音とともに縦と横に引かれた線から青色の光が漏れ始める。


「全員! 目を閉じろ!」


その俺の宣言にアオとミドリが即座に反応し俺のパーカーの中に忍び込む。

あと数秒の猶予しかないため、えっ? と疑問の顔を浮かべるヒノデさんを強引に俺のそばにまで引っ張り、目を塞ぐ。


そして最後に俺たちに攻撃しようと迫ってきた触手を俺が弾き、それを確認したあと俺が最後に目を閉じ…………



―――――――カッ!



目を閉じていて尚感じる爆発的な光が俺たちごとドッペルゲンガーを包み込む。


「俺とミドリの合わせ技、『特製・超閃光玉』だ。効いただろ?」


薄眼を開けてニヤリと頰が緩む。

目が光に慣れていないのか、未だ白く染まる視界の中で閃光玉の大成功を感じる。

半ば決まったと確信した……のだが


少し慣れた視界に、かなりの距離まで迫ってきている黒い物体が映った。


(なッ!)


決めきれていなかったのだ。

ドッペルゲンガーには確かにダメージは入っただろうが、それでも一撃とはいかなかったのだろう。

そしてマズイ。

この速度じゃアオやミドリに指示しても遅いし、触手のルートは真っ直ぐにヒノデさんを向かってきている。

そして当のヒノデさんは俺により目を塞がれ現状が把握できない状態だ。

これで何か問題があっては何もかもが台無しだ。


(間に合うか。頼む!)


もはやなりふり構っていられず、ヒノデさんを抱きしめ押し倒すようにして庇う。

攻撃のルートが薄ぼんやりとしか確認出来なかった以上、運任せになってしまうところもあるが……


そんなことを考えていた矢先、背中に数回の衝撃が走る。

どうやら俺の背中で無事ガードできたみたいだ。

あー、よかった。こんなところでミスしたら後でウィーアードに何言われるかわかったもんじゃないからな。


(しかし油断は禁物。アオ、ミドリ、出てこーい。この後に追撃が来るかもしれないから、ちゃんと防御体制を――――――)


「―――え?」

「―――へ?」


アオとミドリがパーカーから出てきて、そして俺とヒノデさんが同時に目を開けて。

二人同時に、疑問系の言葉が飛び出した。


そして、今現在の状況を瞬時に把握して


そこで俺の思考が停止した。


こんな時に、こんな状況に限って、それは嘘だろう。


言い訳をせてもらうなら、本当に偶然なのだ。

一切の下心などなく、ただ単純に守らねばという思いで押し倒したのだ。


いや、本当に。


だから、俺の左手がヒノデさんを抑えるようにヒノデさんの手の上に置かれ。

俺の右手が、その、ヒノデさんの、なんと申しますか、お手ごろサイズ? のお胸を揉んでしまっているのも、全ては事故なのである。


サッと血の気が引いて冷や汗をかきはじめた俺とは対照的に、ヒノデさんはパチクリと目を丸くさせ。


ビクリと俺の体が跳ね、緊張のせいだろうか、筋肉が痙攣し勝手にぐにっぐにっと手のひらで胸の感触を確かめてしまった。


それがトドメだったのかどうか、ヒノデさんはすーっと少しずつ赤くなり始め、今の俺とご自分の状態を理解して


一気にゆでダコのように真っ赤になってソプラノボイスな可愛らしい悲鳴をあげた。


「きゃあああああああああああああああああああ!」

「……ッ!」


その悲鳴のおかげでフリーズしていた体が動くようになり、急いでヒノデさんの上から飛びのく。

そして誤解を解こうと試みる。


「ち、違うんですヒノデさん。聞いてください、これは事故であって、決して下心があったわけではないんです、だからぁ!」

「きゃああああああああああ!」


しかし自分の胸元を抑え叫ぶヒノデさんには俺の声は届かない。

まだドッペルゲンガーのことも片付いていないというのに、俺の頭はもはやいっぱいでそれどころではなくなりつつある。

ちょっとでも気を抜けば、今の手のひらの感触を思い出しとんでもないことを口走りそうだ。


それでも誤解は解かねばならぬと言い募ろうとして



―――――ぽんっ。



両肩に感じる軽い音と、それに比べ物にならないそれはそれは重〜いプレッシャーに晒され頰がひきつる。


《《マスター?》》

「…………ミドリさん。取り敢えず、素材を出していただけるでしょうか。ベット、5万ゴールド【 クリエイト・ドラッグ 】」


ミドリに半ば強制気味に素材を剥ぎ出させるが、それがお気に召さなかったのだろう、プレッシャーがより強くなった。

どう強くなったか具体的にいうと、強くなりすぎていよいよ質量を持ってきて、俺の両肩がめちゃくちゃ重くなった。


そして先ほどと同じく、不気味に明るい言葉で一言


《《マ・ス・タ・ー?》》

「がくがくがく……ご、『合成』……わ、わかった! わかったから、お、落ち着け、な? 最初から実力行使はよくない。ちゃんと話し合おう? 俺たちならきっと分かり合える、そうだろ?」


わーい。二人がなんかよくわからない準備を始めた気がするよー。

命の危機ってやつがぷんぷんするねー。

ヒノデさんはヒノデさんで、なんか赤くなったまま涙目でこっち睨んできてるしー。


もー、無理っすー。


とりま、もう一度閃光玉を作成。

なんか思考が色々とごちゃごちゃしてた割には、なんか今まで以上の出来栄えだ。

はっはっはー。


躊躇いなくスイッチを押す。


今更逃げ出そうとするドッペルゲンガーだが、貴様だけは絶対に許さん。

ははっ、逃げるなってー。一緒に三途の川を渡る仲になるかもしれないだろー?

どうせ死ぬなら道連れじゃあ!


「なんもかんもテメェのせいじゃこんちくしょおおおお!」


オーバースローで投げ捨てるように閃光玉を投擲。

部屋を丸ごと支配した光により、今度こそドッペルゲンガーの体力を全て吹き飛ばした。


「…………ふぅ、いやー、なんとかこっちは片付いたな。一件落着」


額をぬぐい、いい笑顔で天井を眺める。

そして両肩から一言ずつ。


《ごまかそうとしても無駄だよ?》

《さっき我慢してたけどにやけてたでしょ? そんなに気持ちよかったですか?》


デスヨネー。


あ、ちょ! いたたたたたた! ガブらないでガブらないでって、み、ミドリさん、その見るからに怪しい液体は一体……って、ダメだって!

わかった! 話し合おう! ごめ、って


アーーーーーーーーーーッ!


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