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信じられないでしょうけど、着実に一歩ずつ前へ進んでるんです!

「あ、そういえば」


一件が落着し、ミドリとアオが満足したようにだれている中。

アオがなにやら俺に話しかけていたことを思い出す。


ミドリのステータスのことかとも一瞬思ったが、話の流れ的にそうじゃない気がする。

多分ミドリが会話に入ってきたから、そっちの方の疑問に頭が行ったのだろう。


「アオ。さっき何か俺に言おうとしてなかったか?」

《なにか? あぁ》


思い出したということは、やはりさっきのこととは無関係か。


「で? どうした?」

《この下、変なエネミーさんがいる?》

「あぁ、多分竜種。ここだと龍かな。長眠中の砂龍だと思うよ」

《えぇ!》


この辺りは砂漠地帯だからな。

崩れかかっている遺跡の一部のようなところで一息をつき、壁に背を預ける。


「ほい水。水分補給はしっかりな」

《うん》

「砂龍ねぇ……」


懐かしいな……昔《Yuuganoozu(ユーガノーズ)》さんが何十体とテイムして、《Golem》とかと合わせて【 砂の艦隊インフィニット・サンド 】って呼ばれてたっけ。


「砂龍は大人しくて臆病って性格が設定されててな、普段は一日中寝てるし、他のエネミーに擬態してるし、腹が減った時くらいしか顔を出さない。絶対に自分と同等以上のエネミーとは戦はず逃げようとするんだけど、その見分け方が大変でなぁ。『擬態』してると検索しても擬態したエネミーの名前で出てくるから」

《ねぇねぇ、ますたー》

「でもそれには見分け方があって。アビリティに『激昂』っての、が……ん? どした?」

《なんか来るよ》

「マジで? 探知」


あ、青い点(俺たち)に赤い点が重なって交互に点滅している。

赤い点が大きくなっていくことから推測して、恐らく俺たちの下から近づいてきてるのだろう。


「よく気づいたな。なんかのアビリティ効果?」

《ううん。違うと思う。音が聞こえただけだから》

「聴力もSTRに依存するんかね? ほい、ミドリは肩に乗って迎撃準備ね」

《わ、わかった!》


探知でいうと、もうすぐ……


「今かな? 『ジャンプ』」


砂を巻き上げて斜め上にジャンプする。

丁度砂の上から出ようとしていたエネミーはたまったものではないらしく、スタンプのような衝撃に勢いを消され体が反り返っている。


ナイスタイミング。検索



種族名:《Ground Serpentine》

個体名:無し

性別:♀

年齢:455

LV:689

職業:無職

称号:【 奇襲者 】

所持金額:10万ゴールド


HP:10256/10256

ATK:3000

DEF:4000

AGI:7500

INT:300


アビリティ

『気配遮断』『奇襲』

固有(ユニーク)アビリティ

『地潜』『地泳』『地操』


(ゴールド)アビリティ

1万ゴールド【 ヘル・ファング 】

3万6000ゴールド【 グッシング・ウェア 】



うわぁお。流石の気配遮断も、音までは隠せなかったか。

探知も意外と優秀だな。

奇襲者ね、保険で『対象認識阻害』かけてあるとはいえ、ミドリが襲われたら危なかったな。

アオのファインプレーだ。後で音の聴き方レクチャーしてもらおう。


「ミドリ! 投擲!」

《え、えい!》


ミドリが投げた毒ナイフが六本ほど命中する。


検索して、状態異常:毒と出たのを確認し、アオとミドリを抱えて


「退避!」


『超逃亡』を発動しAGIを強化しながらその場から撤退した。


--- --- --- ---


「ふう、ここまでくれば大丈夫だな。俺も戦闘に参加したとはいえ攻撃したのはミドリだし、ミドリが主に動いたから俺に入るのは微々たる量だろう」


一週間、ノーマルとはいえエネミーのポップするフィールドを歩き回っていれば、そりゃあ少なくない数のエネミーとエンカウントする。

その度に、アオのゴブリン退治の時のように『対象認識阻害』をミドリにかけてやり相手がミドリを認識できなくさせているのだが。

そうするとどうしても俺がタゲられてしまうのでせっかくの経験値が俺にも流れてしまう。


『対象認識阻害』は、アビリティ発動者のレベルに依存して発動者のレベルより低い相手から認識されづらくなり、レベル差が開けば開くほど認識が難しくなり、どんな者にもかけられるという便利な効果の反面。

同時に複数にかけることができないというデメリットがある。


通称『レベルバーサスアビリティ』


「いざという時を考えるとミドリから外すわけにもいかんし。それにしてもあいつのレベル高かったな、ユニーク個体だったりするんだろうか」


今頃毒に侵されてるとも知らずスイスイ砂の中泳いでんだろうなぁ。

俺の合成した毒は神経毒って感じのやつだから、微量の麻痺属性孵化させて痛みを感じさせずにHPを全てせ削りきるということが可能だ。


昔は俺も攻撃手段としてそれをやってたんだけど、時間がかかりすぎてな。

もお反射で殴った方がマシだ。と悟ってしまった。


「変な方向に走ってきちまった」


また方向がわからなくなった。これでますます国にたどり着けなくなったな。


「ま、国じゃなくても村とかで全然構わないけどな。取り敢えず休憩の続きと、行きたいんだけど」


サンサンと降り注ぐサンシャイン。

こんな中で休憩しても休憩にならないなうん。


「アオ。傘だして」

《はーい》


ダンジョンで拾った魔道具(マジック・アイテム)だけどいっか。

江戸時代にありそうな紙製の傘。まぁないよりはマシだろう。


「よっこいしょ。重いな……ほい、ミドリお疲れさん。水飲んどきなされ」

《うーん》

「汗びっしょりだな。ゆっくり水飲んどきな。ほれ、タオル」


ミドリの体を覆うよりにタオルを被せ、中身がなくなったアオの水筒に水を注ぐ。

ただ念じるだけで水が出せるって、『水』アビリティは凄いな。

このきれいな水だけで商売できるんじゃないの?


そう、実は水アビリティ、俺に相性が良かったのかすんなり覚えることができたのだった。

水アビリティは、一回使うごとにHPとは別の体力、スタミナが消費されるのだが


確かに一回使うとその度にちょっと体が重くなるけどすぐにもとに戻る。


「回復アビリティ様々だな」


体力回復アビリティ。マジで覚えておいて正解だ。

今のうちにアオやミドリにも覚えて貰わないと。


でも今んとこ一人だけしか……魔道書は一冊以外どこにあるのか知らんし……

どんな本を読ませれば獲得できるのかわからないしな。本を読めば全部が全部獲得できるわけじゃないし。

うーん。


「あ、そうだ」


バカみたいな思いつきが閃いた。

まずありえないようなことだが、こっちの世界だと案外うまくいくんじゃないかとも思う。


「アオ。この前ダンジョンで獲得した本出してくれ。えーっと、ほら、あの壁ぶん殴って出した隠しアイテムのやつ」

《ちょっと待って……あ、あった》


全データでは俺が使用した『魔道書』と呼ばれるアイテム。

ただの本とは違い、相性が良ければアビリティ獲得ができるというものだ。


アオとミドリとかはただの本でアビリティ獲得したけどね。変身と念話。


そしてなんとこの魔道書、『回復』のアビリティが入っていたりする。


「この魔道書読めば多分だけどお前達なら簡単に覚えられる。でも一冊しかない上に、一回使用された魔道書って読めなくなるんだよな」


正確には文字が消える。


「『回復』っていう便利なアビリティだから、二人に覚えて欲しいんだけど」

《私はみどりちゃんでいいよ?》

《今の所アオちゃんの方が闘えるんだから、ボクよりアオちゃんの方がいいでしょ》


そして言い合いが始まる。

言い争いは醜いのに、こと『譲り合い』の言い争いとなるとここまで見ていて和むものはない。


まったく、俺にはもったいないくらい優しいスライムですよ。


「譲り合うな譲り合うな。どっちか一人じゃあれだし、ちょっと考えたんだけどいいか?」

《《?》》

「二人で一緒に読むってどう? もしかしたら二人とも獲得できるかもしれない。逆に二人とも獲得できないかもしれない。譲り合って決まらないくらいなら、こっちの方がよくね?」


スライムの大きさなら、積み重なるでも横に並ぶでも、一緒に読む方法はいくらでもあるだろう。

《それでい〜よ〜》

《ボクも賛成ー》


さて、そうなるとどうするか。

合成を使って砂で簡易ホームを作るか?

できないこともないけど、あれ崩れやすい上に砂が降ってきて気持ち悪いんだよなぁ。

いや、崩れるのは合成をかけ続けることで阻止して、降ってくる砂は傘さしてなんとかすりゃいいか。


よし、そうと決まれば


「合成」


--- --- --- ---


「ぜぇ! ぜぇ! げほっ! カッ……ゲホッゲホッ! おえっ……うぅお……ハァ……はぁ……ぜえ、はぁ……お、おわ、おわ、終わっ、たぁ〜……」

《ますたー、だ、大丈夫?》

「えぇ……? ぜ、全然、平気だし……むっちゃ、よ、余裕だし」


マジか、形を持たない砂を集めて物にするのが、システムアシスト無しだとここまで大変だとは思いもしなかった。

一部の形を作ってもすぐに崩れ始めるから、そこにも注意だし、こりゃやばいな。

なんとか安定したけど、回復さん仕事はよ。


「はぁ、はぁ、ふぅ……。んじゃ、ちょっと休憩しよう」

《そ、そうだね! はやく休もう!》

《休んだ方がいいよ! もうクタクタ!》


嗚呼……スライムちゃん達の心配が心に染み渡る……

やべぇ俺このまま休憩しなくても地球一周ぐらいできそう。


「ふう、よっと」


取り敢えず荒ぶる精神を気合いで押さえ込み壁にもたれかかる。

アオとミドリがこちらをチラチラと見ては心配そうにしてるので、大丈夫と言っておいた。


それでもチラチラしてくるので、本当に大丈夫なところをお見せしようと言って立ち上がろうとしたら急いで止められた。

うむ。焦ってるところを見ると心が落ち着くね。

癒されるわぁ。


暫くすると仲良く本を読み始めたので、軽く目を閉じて本気で回復に努める。


「…………心臓が落ち着いてきたな……そろそろいいか」


それにしても回復速度が異常だと思う。

さっきよりも回復速度が上がったように思えるのは慣れたからだろうか。


「おっと、ミドリのレベルが上がったかどうか見とかないと」


ステータススクロールを展開するが、ミドリのレベルは変化無し。


しぶてぇなあの蛇。


そしてなんとなしに俺のステータスを確認してみて


「なんだこれ。『疲労耐性』『回復時間短縮』。新しいアビリティ覚えたのか」


まだレベル1だから些細な効果しかないけど、乞うご期待だな。

レベル上げてもあんまり使えなかったら、『交換』の材料として使わせてもらおう。


うん、実に無駄がなくていいね。


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