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信じられないでしょうけど、分身の術! です!

「こちらです。お客様」

「はぁ……」


扉を開ければ、案の定腕を組んだ黒スーツのマッチョおじさん達が。


ゲーム風にいうなら

『怪しいボディガードA、B、C、D が 現れた』

『どうする?』

『戦う』▲

『逃げる』

『餌を与える』

『バルス』

という感じかな


「申し訳ございません…………店長からの言いつけで……こうしないと、私が……」


そんな顔するぐらいならそもそもこんなことするなと言いたい。


《うみゅ〜〜、ますた〜〜?》


完全にアオが溶けてるから、俺の心の平穏は保たれてるけどね。


《うみゅ! ふみゅ〜〜》


ぐいっと強く腕を引っ張られ、アオの上に手を置くとスリスリ積極的に擦り寄せて来る。


可愛いからいいけどさ。

もう完全に忘れてるよねキミ。


「で?」

「え?」


ボディガードマンズが腕を組んだまま微動だにしないんですが?


「あ」


そしてバッタバッタと倒れていく。

何が起きた? 寝不足か? いかんな。睡眠はちゃんと取らんと。


「なんてバカみたいなこと言ってないでっと。アオ。棒出して」

《ふぁ〜い》


『底無大胃袋』に収められている棒がパーカーの中から出て来る。

っておい。


「これ呪いの棒じゃん」



『Cudgel of curse』

触れた相手に呪いをかける棍棒


アビリティ

『呪』



エンジンのダンジョンでドロップしたアイテムだ。

あ、そういや換金しようと思ってたのすっかり忘れてた。

あー、せっかくネロに地図まで書いてもらったのになぁ。勿体ねぇ。


「まいっか」


適当につついてみる。


『反応がない ただの屍のようだ』


脳内でまたくだらんログが。

なんで屍と化してるんだろう。


《みんにゃお疲れ〜》

「うぉわ! なんだこのちっこいの!」


ボディガード達を覗き込むと、三匹のちびスライムが俺に飛びついて来る。

おそらくアオの仕業だろう。

忘れてなかったのか。さっきはあんな失礼なことを思ってごめんよ。


《わー! ますたーだー!》

《撫でて撫でてー!》

《はー、いいにおーい!》


なんだろう。

幸せです。

可愛いスライム達に囲まれてあぁ、俺はなんて幸せ者なんだろう……

鼻血が出そうなのを根性で耐えてみる。


《ま、ますたーはアオのだから、だ、ダメだよ!》

《ぶー》

《けちー》

《ますたーはどう思うー?》


いやいやまいったなぁ。

取り合いなんて。喧嘩はダメだぞぅ〜。

オレノタメニアラソワナイデー。


「そ、そんな…………僕は……一体どうしたら」


おっと。幸せすぎてすっかり忘れてたよ。


「ごめんな。ちょっと肩に乗っててくれ」

《ますたーの肩はアオ専用なのに!》

「あれ? アオこの前フードの方がいいって言ってたよね?」


地味にショックだったんだよ? ん?


《そ、そんなこと言ってないよ?》

「口笛を吹くな。やれやれ。ほら」


右肩にアオを乗せると、三匹のちびスライム達は俺の頭の上に鎮座した。

あとでこいつらのことも聞かないとな。


「で、これはどうゆうことですかね?」

「あ、いや、これは」

「言いにくいなら俺が言おうか? ここに俺を連れ込んで、脅すかどうかして、それでもダメだったら実力行使で無理やりにでも金を奪い取ってから、証拠隠滅に殺そうとした。あってるよな?」

「ち、違います!決してそんな事は」

「でも勘違いされても仕方ないよなぁ。こんな状況だし。で? どうするよ? 金、早く出してくれませんかね?」


こっちにも原因があるとはいえ、俺はしっかりと正攻法でルール通りに戦って得た報酬だ。

それなりにリスクを負って戦ったのだ。

なのに流石にここまでやられて素で優しくしてやれるほど俺はお人好しじゃない。


「お金が……ないんです」

「いや、そんなこと聞いてないから。早くお金ちょうだい?」

「で、では、私は一体どうしたら……」

「別にあんたに責任取ってもらわなくてもいいさ。だってあんた一店員だろ? 店長にとってもらうからいいよ。店売るとかしてもらうって。それで足りるかわからんけどさ」


とは言ってもめんどくさいだろうなぁ。

国王様に話を通してからが一番安全だから、そっちも手間だ。


「ふ、ふふふふふ。君みたいな子供に何ができるって言うんですかねぇ、ええ? イカサマで勝ちまくって調子乗ってんじゃねえぞ? おぉ?」

「壊れんなよ。俺がなんか悪いことしてるみたいじゃん。金がもらえればそれでいーの。あんだすたーん?」

「あぁ……」


掴みかかってきそうだった所でこっちから詰め寄り、軽く肩に手を乗せる。

気づけなかったのか目を見開くディーラーさんの耳元で、悪魔のように口を三日月に裂けさせて言葉を発する。


「なぁあんた。あんま経験ないでしょ」

「は……はぁ……?」

「カードの切り方も甘い、下手くそ、手も震えていて、テクニックもお粗末。表情(かお)に出過ぎ。自棄になってもどっちつかずで決めきれない。ぶっちゃけ自分に自信がないんだ。騙しきれるのか。欺ききれるのか。緊張している恐怖している上手くいかず追い出されるのが怖いから。そうだろう」


アオが『恐怖威圧』を発動しているのか、恐怖に歪みきった顔でブルブルと震え始めた。


「勝てば莫大のゴールドが入るという心と、負けたら取り返しがつかないという心。そのほかにも多くの思考が頭の中を詰め、とてもそんな状態で冷静になっていられないだろう。緊張するのもわかる。それで普段の実力が出せずに失敗するのもわかる。それが普通だろう」


俺の言葉に、安心したかのように肩の力が抜けるディーラーは


「だが、プロ(それで食っている奴ら)が普通でどうするよ」


その一言に崩れ落ちた。


「口ごもるのもよくない。最後の最後まで、『予定通り。これでいい』と演じなければならない。相手を騙すのなら。罪悪感どころか、いかに巻き上げるかを楽しみに戦いを挑んでくる奴らと比べれば、あんたチョロすぎるぜ」


そう言って店を出た。

たまにあることなのか、責任者というかなんか巡回している方に話を通してもらったらすぐに対応してもらえた。

そのあと店がどうなったかは知らん。


《ルーレット》


えーっと、確かこの後の確率でいうと、投げる機械の癖と台の角度から考えて……


「赤の19番と、赤の20番」


こう言った一目でわからないようなものでも簡単に暴いてしまう。

流石神様仏様『鑑定』様。

そこに痺れる憧れるぅ。


ガラガラガラガラ、カラカラ、カラン、ゴロン。くるん、かたん……


『赤の19! 赤の19です!』

「おいおいまじか!」

「やべえぞあの坊ちゃん!」

「これで15回連続だぁ!」

「バカヅキなんてレベルじゃねぇー!」

「俺今からあの坊ちゃんが賭けたとこに入れるぞ!」

「俺も!」「俺もだ!」


え?


「いや、この店でもだいぶ稼がせてもらったし、俺はもういいや。んじゃ」


ついてこられても困るので、このまま帰る風を装って店を出る。



《スロット》


ぶっちゃけたとここれが一番楽だ。

一個一個ボタンを押して列を止める台。

目押しできない奴とかおる?


「ほい777っとぉ。これで何回めだっけ?」

「お客様……もう帰ってください……」

「敢えて言おう! だが断ると!」


《バカラ》


「おい見ろよ……あの坊主……」

「あぁ、どんだけバカヅキ……ありえねぇ……」


あんまり注目されるのは好きじゃない方なのに、何故か今はそれすら楽しく感じる。

ゲームが楽しいからだろうか。実に気分がいい。


「あ、バニーさん可愛いね。名前なんての?」



しばらくお待ちください



「た、大変だぁ! 坊主が血の海に!」

「バニーさんに声をかけただけだぞ! 何があった!」

「いきなり血を吐いて倒れたぞ!」

「腹を抱えている! 苦しそうだ!」



--- --- --- ---



「おーいてて」

《ごめんねますたー。ちょっとやりすぎたかも》

「いや逆に何をしたのかすげー気になる。どうやってあんだけ俺にダメージ与えたの? めっちゃ気になるんだけど」

《あ、そうそうさっきの子達なんだけどね》


話をそらしやがった……そういやいつの間にか消えてるけど。あの子達はなんだったんだ?


《あれ『スライムボディ』なの》

「スライムボディ?」


あの、初期アビリティの?


--- --- --- ---


「確かにあれは固有(ユニーク)だけど、あれってDEF上昇スキルじゃなかったっけ?」

《最初はそうだったんだけど、この前『スライムボディ』のレベルが40になったら使えるようになったの》


話を聞くとこうだ。

スライムボディを発動し分身しようと念じると、転じた数だけ自分の文体が作れるらしい。

そのスライム達のステータスは全てアオが決定権を有し、アオ自身のステータスから賄われるという。


さっきのちび達だと




種族名:《Inexplicable mini Slime》

個体名:なし(アオの文体)

性別:♀

年齢:――

LV:1

職業:無職

称号:【 限界を破壊する者 】

【 雑魚ノ反逆者 】


HP:5000/5000

ATK:3000

DEF:3000

AGI:3000

INT:200


アビリティ

『言語理解』『通信』『念話』

固有(ユニーク)アビリティ

『スライムボディ』




一人当たりこんな感じ。

文体が存在している間はずっとステータスがアオから差し引かれたままらしい。


「気をつけろよ? 便利なアビリティだとは思うけどさ。変にステータス下げでどうすんだよ。HPまで持ってかれてんじゃん」

《えっへへ。ますたーのなでなでを堪能したくて》

「はぁ〜、頼むからそんなくだらん理由で命の危機に陥らんでくれよ」

《くだらなくないもん!》


はいはい。

有効活用するなら、一体だけ強い個体を作って別行動ってのもありだな。

戻すのは念じるだけでいいらしいし。

戻れと念じるだけで文体はその場から消えるらしい。


どんどん強くなってくなアオ。

こりゃアオのアビリティ、一度ちゃんと鑑定で一つ一つ確認したほうがいいな。


ざっとでアオを守るのに特化した強いアビリティを取らせたつもりだったけど。


「どんな便利とんでもアビリティに進化してるかわかったもんじゃなくなってきた」


今日はこの辺で切り上げて、宿でちょっとした確認だな。


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