信じられないでしょうけど、基本こんな性格です!
うみゅう…………
「ん? 起きたかアオ?」
《うみゅ……》
「おはよ」
なんだか……凄く幸せな夢を見ていたような、気がする。
《おはよぉ》
「それじゃ飯に、ってどうした!」
ますたーの服の中にもぞもぞと入り込む。
なんだか、甘えたい……ますたーを感じてたい。
ますたー。驚いている声いいなぁ。
スンスン
ふみゅう…………
「寝ぼけてんのか、寝足りないのか……判断に困るな」
《寝ぼけてないよぉ〜》
「はいはい。んじゃ飯にするから、下に行くまでに目ぇ覚ましとこーなー」
ますたーが抱っこしてくれてる〜。
ふわぁ〜…………もう少し寝てようかな〜……
うぅーん……でもますたーに迷惑かけたくないし。
起きよう。
でもちょっと目を閉じよう……
--- --- --- ---
「――――――これ―――れと―――――を―――お願い――――」
ふわっ!
あぁ、寝ちゃってた。
もぞもぞとますたーのお腹の前で動く。
寝てませんよ〜、アオは起きてますよ〜
「お。起きたか」
《寝てないもん!》
「いいじゃないか。アオの場合寝るのも仕事だ。まだ一歳なんだし、よく寝ることは成長にも繋がるからな。それに俺、寝てるアオ好きだぞ?」
え? そ、そう、かな?
じゃあ早速……
「いやいやまてまて! 寝るのはいいけど取り敢えず飯食ってからにしてくれ!」
あ、そうだったそうだった。
ぐきゅう〜〜。
カァァァ
「あっつ! どうしたのアオ! ヒートスライムに進化したの? 天然のホッカイロか……地肌に食らうと熱いな……。どうしたー」
《お腹すいた》
「でしょうね」
這い出ようとするとますたーが出してくれた。
《わぁぁぁ》
すごーい。いっぱい食べ物がいろいろあって凄く綺麗!
「じゃんじゃん食え。お前の就職祝いだ」
しゅうしょく祝い?
「あぁ。喜べ。さっきアオのステータス弄って、晴れて無職からジョブチェンジしたぞ」
《ジョブチェンジ?》
もぐもぐ。甘くて美味しいー。
「ジャムつけすぎじゃね? おっと話が逸れた。職業に就けば、そのぶん強くなれるんだ。これでアオの安全性が強くなったな」
強くなる。ますたーを守れるということ!
わーい!
《わーい!》
「下手に雑魚職に就くと大変だけど、俺の『雑魚ノ反逆』アビリティの効果で、最初には必ず特別なジョブが選択肢に出るようになるからその心配は皆無だ。アオがついたジョブは『フード・ファイター』ってやつ」
フード・ファイター?
「ぶっちゃけたとこ俺もようわからん。初めて見るジョブだったからな。でも『雑魚ノ反逆』ボーナスだってことはわかるし、ハズレってことはないと思う」
ステータスっていうのがよくわからない。
ますたーに見せてもらったことがあるけど、さっぱり意味が理解できなかった。
できたのは、『個体名:アオ』ってところだけ。
すっごく嬉しかった。
あとはアビリティ名とアビリティ効果。
「『検索』っと。ほい、これアオのステータススクロールね」
《よくわかんない》
「お前の知能ならわかると思うんだがなぁ」
《暗号みたいなのがよくわからない》
「暗号? 英語のことか?」
ますたーはふむ……と考えるそぶりをしてから、ステータススクロールをずいっと押し出した。
「なら、勉強だな」
《えぇー!》
「俺のためだと思って」
《勉強するぅ!》
ますたーに抱きしめられて撫でてもらった。
ますたーのなでなではとても気持ちいい。
ますたーのために必要なことなら、アオ頑張ります!
「自分のステータスを理解しておくことは必要だからな。でも、前に俺が教えたアビリティはわかってるだろ?」
《『通信』『防御』『暗殺』『念話』『食事』『消化』『吸収』『胃袋』『硬質化』なら》
「覚えが悪いわけじゃないんだし、すぐに覚えられるよ」
どういう効果なのかも言えるよますたー!
「えっと……やっぱり種族名からかな?」
《ふみゅ……》
質問してくれなかった……褒めて欲しかったなぁ……
しゅんと下を向いていると、上からますたーの手がアオの頭に触れ、また撫でてくれた。
「でもアオ。漢字を一度聞いただけで覚えてるなんて凄いな! 流石は俺のエネミーだ」
《そう? えっへへ〜》
アオ、じゃなかった、私はますたーのエネミー。
この言葉を聞くと幸せな気持ちになれる。
ますたーのために、早く大人にならないと!
私。私。大人の女の子はそうやって自分を呼ぶの。
今のうちに練習しとかないと。
ステータススクロールを覗き込むと、こんな風に書かれていた。
種族名:《Inexplicable Slime》
個体名:アオ
性別:♀
年齢:1
LV:1068
職業:フード・ファイター
称号:【 主人の初めてのテイムエネミー? 】
【 スライマーの初めてのスライム? 】
【 ゴブリン殺し 】
【 限界を破壊する者 】
【 雑魚ノ反逆者 】
【 捕食者 】
HP:34856/34856
ATK:10850
DEF:26929
AGI:12950
INT:5000
アビリティ
『言語理解』『通信』『恐怖耐性』『物理反射』『防御』『探知』『暗殺』『念話』『殺気』『恐怖威圧』『愛情ステータス強化』『尽力』『距離短縮』『守護』
固有アビリティ
『超食事』『超消化』『超吸収』『底無大胃袋』『スライムボディ』『硬質化』『変身』『軟化』『捕食転換』『好食回復』『吐瀉物転写』『食事戦闘』『食事我慢』
金アビリティ
1ゴールド【 スケスケ 】
1500ゴールド【 ブルスタ・メタアタ 】
3000ゴールド【 キャノン・メテウォーター 】
6万5000ゴールド【 ペイシクル・インヴィクト 】
10万3000ゴールド【 マース・ディバイション 】
24万5200ゴールド【 イメージ・コピー 】
くらりと目眩が……
い、いやいや、ここで、倒れるわけには……
でも、頭がなんだか働くのを拒否してる。なんだろうこれ。
「まぁ気持ち悪くもなるわな。俺はもう慣れてるけど」
《…………これ、全部覚えるの?》
無理だよぅ……私、大人の女の子になれない……
「あわわわわ! いきなり覚えなくてもいいんだよ! ゆっくり! ゆっくりと少しずつ覚えていこう? な? だから泣くな! な? ほら、これ。美味いぞ。あーん」
《うぅ……あーん》
「ど、どうだ?」
ほわわわぁ〜ん
「よっしゃあ! これ食って元気出せ! まだまだあるからな!」
《アオ……大人になれないの?》
「時間が経つにつれ、少しずつ大人になっていくもんなんだよ。急に大人になるなんて、そんなのはありえないんだ。だから落ち込む必要はないぞうん。なれないなんて決まったわけじゃないし、これからこれから」
《そ、そうなんだ。よかった》
あれ? ますたー? ますたー。
ますたーが胸を押さえながら私から背を向け片膝をついた。
どうしたんだろ。
「くっ……『よかった』の場面、スクショしたかった……ちくしょお……なんでスクショできないんだよぉ……無修正でバックには大量の花が咲いていたってのに、俺にはそれがバッチリ見えたのに、せめて、せめて俺の脳内に深く刻み込んでやる…………」
頭を抑えてなんか言っていた。
ますたーはたまによくわからない行動をする。
《ますたー。全部食べちゃうよ?》
「勘弁してくれ! あぁ! まだロード途中だったのに! 雑念を捨てろ、俺!」
《ますたー》
「なんだ、俺今忙し」
《はいあーん》
バッ! と振り向いたますたー。
ふふん。私だってあーんくらいできるんです。
見直しましたか? 見直したなら撫でて下さい!
「……え、えーっと……なんのつもりだ?」
《なにが?》
「えっと、俺はそれを口でいただかないといけないのか?」
《うん》
なんで?
手とかないから、ただ口に咥えてますたーに差し出してるだけだよ? 別に食べてないよ?
「ん、んじゃ、頂きます」
《あ!》
ますたーに手で、咥えていたパンを取り上げられた。
《もー! なんでー!》
「さ、流石に、口移しは……」
《ますたーが食べないからじゃーん。はい、あーん》
「わかった! わかった! 食べる! 食べるから! だから少し落ち着け!」
落ち着いてないのはますたーの方なのに。
全くますたーはしょうがないなぁ。
「ほら、ここくっついてんぞ」
《むー、ますたーとってー》
「あいよ」
周りのお客さんの視線がちょっと変だけど。
そんなのは気にならない。
私はますたーと一緒で楽しければ、それでいいから。
--- --- --- ---
「食ったら寝たよ」
机の上で膨らみしぼむを繰り返しているアオを持ち上げて、腕の中に収める。
しかしさっきのは危なかった。
なんか、あざとい。
これからのアオの成長が少し心配になった。
将来男泣かせとかになるのだろうか。嫌だなぁ。
アオにはずっと純粋でいてもらいたいもんだ。
でも大きくなっても純粋のままっていうのも、それはそれで危ないよなぁ……
そうゆう知識を教えるべきなのだろうか?
え? じゃあ、いつ? 何年後? どう切り出す? そもそも俺が話をする? 直接教える? どうやって?
難しすぎる!
世の父親たちは皆、この難題に立ち向かってきたというのか!
「まさか……そんな、バカな…………俺には情けなく見えた存在が実は、こんな荒波に揉まれに揉まれ、それを乗り越えてきた猛者達だったというのか…………スゥ……娘を持つ父親、恐るべし」
俺は戦慄を覚えた。
ギャルゲのように心の声が知れれば……アビリティ取得するか?
………………いや、よそう。
マスターだからってやることには限度がある。
それはやりすぎだろう。
……難しい。
将来、《ますたーの服と一緒に洗濯しないで!》とか言われるのだろうか。
父親って、大変なんだなぁ。
結婚してすらいないのに父親の気持ちを知るとは。
これいかに。
ガシャァァァン!
「ふざけんな! なんだこの飯は!」
「お、お客様。どうか落ち着いて」
「ガキじゃ話にならねぇ! 店長連れてこい!」
なんだよ。騒がしいな。
あーあー。30越えたおっさんがまだ小学生みたいな女の子を怒鳴ってるよ。
なんだなんだ? 飯がまずかったのか?
んなガキみたいなことで、おっさんがガキに怒鳴ってるとは。
シュールの一言に尽きるな。つーか見っともねぇ。
周りを見ると、見て見ぬふりの多いこと多いこと。
……なんかムカつくし、こっちはこっちの事情で、ちょっと手助けするとすっか。
「ちょっと」
「あぁ! んだガキァ! すっこんでろ!」
「やかましいんだよ。少しは黙れねえのか、ぶっ殺すぞ?」
『威圧』アビリティは前にに交換しちゃったけど、それなりに迫力は出たのか
俺のキンキンに冷えた言葉におっさんは黙り、しーんとした空間ができあがる。
伺うようにこちらをみる視線が多い中、俺はそれなりに通る声で静かに言った。
「アオが起きちまったらどうすんだ」
ステータスは適当です。
今後変更になる可能性があります。




