貴女はもう、戻らない
雪が頭に当たる。
息が白い。
俺、坂田 悠太は彼女 相川 澪侑とデートするために待っていた。
「ごめーん、お待たせー!」
澪侑の声が聞こえた。
「待った?」
「ううん、大丈夫だよ」
そういって歩き出す俺達。
最初は近所にあるクリスマスのデートスポットを回ることにした。
「綺麗だね!!」
そういって元気にはしゃぐ澪侑。
「そうだね…んっ!?」
いきなりの柔らかい感触。
唇と唇が、重なり合う。
「悠太、あたしと恋人でいてくれてありがとうね?」
「えっ、それは1体どうい…」
そして、いきなり澪侑の姿が消えた。
忽然と。
手を伸ばしてもいなくて。
そうか。
あいつは、相川澪侑は、
…去年の今日ここで事故で死んだんだっけ…
「愛してるよ、澪侑」
雪の中へ、その言葉は消えていった。