序章
さあ、今からとある世界の、昔話をしよう。
ある世界には5つの国があった。
淡い花たちが咲き誇り、ぽかぽかとした春の気候を持つ国。
ギラギラと照りつく太陽の下、カラッとした夏の気候を持つ国。
グラデーションの鮮やかな葉がじゅうたんになり、ゆっくりと時間が流れるような秋の気候を持つ国。
厳しい寒さの中、白銀の地面の下に小さな生が眠る冬の気候を持つ国。
そして、4つの国のちょうど中心にある四季を持つ国。
国々は助け合い、素晴らしい世界を作っていた。
人々は笑いあい、幸せにあふれていた。
が、それはある日突然終わりを告げたのだ。
ひとつの神のいたずらによって。
国々は争いあい、人々は戦いにより殺され、春の国、夏の国、秋の国、冬の国の大きさは、それぞれ変わっていった。
均等だったはずのその国々の広さは、奪い合いにより、大きく変化したのだ。
そして、それと同時に四季を持つ国は、四季を失ったのだった。
このお話は、5つめの、そう、かつての四季を持つ国に住んでいたひとりの少女の冒険のお話。
彼女が再び、四季を取り戻す、世界に幸せを取り戻す、そんなお話。
さあ、冒険の記録を開こうか。彼女と彼、そして仲間たちの冒険の記録を。