1/2
あのときどき
どこにいればいいのかわからない朝に
ミルクを温めて友達を待つ
嘘とは違う真実ともいえない言葉を交わすために
明日を生きるため呼吸をするのです
髪がのびたね、なんて他愛もない会話
毒にも薬にもならない一言を探しあぐねて
てのひらにおちた愛想笑いは優しいようなかなしいような
むかしとは違って
すこし遠くなった
へだてるものが変わっただけではなく
肩をくっつけて座ることはなくなって
息苦しさは感じないけれど
それが大人になったということなんだねと
外、という世界は、とても風通しが悪くて
もう手を繋いだりはしないけれど
あぁでも違う時間を生きる君が
たまに私を思い出してくれればいい、と思う
私たちは生きている
そうと意識しなくても
たとえば気づかずに居なくなってしまっても
とくにそこなわれるものは何もない関係になっていても
ともに過ごした時間がある
それにすがって生きているのだと
ねえ、これから、ではなく、あの時は、を語るための友よ
それでもこんなに優しくかなしい気持ちになれるのは
生きるということを受け入れた私をつくりあげた中に
手を繋いだという思い出があるからなのです