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短編集

バカ

作者: 月夜 風花


適当に開いた辞書の中で目についた言葉。

『悲恋』

思わず顔が少ししかめっつらになった…と思う。

それでも目線を少し下にずらし意味を見る。

『悲しい結末で終わる恋』


バタンッ


辞書を閉じて図書館の端にある席から立つ。

そして本棚に向かう前にチラッとカウンターの方を見る。

カウンターには疲れきった中年のおばあさん。

古びた壁にかかっている時計は午後5時過ぎを示している。

子供コーナーから溢れた子供たちが走りまわる。

新聞を読んでるおっさんはそれを睨む。

そのおっさんたちの傍らに寝ているホームレス。

それを横目に通り過ぎる人々。

本棚に挟まれた隙間から見えるこの一場面。

いつもと変わらないこの風景。

その中に俺の目当てのものがある。

それは相変わらずそこにあった。


その時ふと気になったので直しかけていた辞書を開く。

『結末』

『物事の終わり。しめくくり』

物事の終わりってどういう時?

いつ、終わりだと気づくのか?

今までの俺の経験上から言うのならば。

終わってから大分時間がたって、

『あぁ、終わったんだ。』と実感する。

その時初めて終わったことに気がつく。

……それでは『今終わった。』と気づけれないな。

うーん、これは俺が鈍感なだけなのか?


俺一人で考えても答えが出そうにないから閑話休題。


一方通行の道の終わりは何処なのだろう。

道路なら両側通行になった時?

少なくとも行き止まりではないはずだ。


……肝心なことは辞書には載ってない。

『一方通行』

『道路への通行が一方向だけしか許されていないこと。』

許されていない…。

そういうものなのかな?

「あの、ちょっと…」

「あ!!すみません…」

考え込んでいたらいつの間にか通路の邪魔をしていた。

慌てて辞書を戻しその場を離れながら思った。

どうやら『片思い』は面倒臭そうだ。




「…と思ったわけだが。」

「それはそーだろ!!」

学校で相談がてらに感想を話すと何故だか友人は噴き出した。

「笑うツボが分からない…」

「呆れてるんだよ、笑ってるんじゃない!!」

呆れられる意味も俺には分からないんだが…。

「高校生も2年目なのにまだ片思いもしてなかったわけ?」

今度はジトッとした目で見られる。

「生き物の成長には個人差がある。」

「そーいうことじゃなくてー、あーもう!!」

真面目に答えたが不正解ってところかな。

「片思いが簡単ならこの世はリア充ばっかだろ!!」

……何かよく分からないが納得。

そういえば前からこの友人は詐欺師に向いていると思っていた。

妙に納得させる、説得力みたいなのがある。

ちょっと考えたらおかしいと分かることでも。

これもこれで人の才能ってことかな。

俺にはないが、欲しいとも思わない。


えーっと…閑話休題。


もう一つ疑問があったからついでにこいつに聞いとこう。

「片思いは止めるのも難しいのか?」

……俺にはお前がキョトン顔になる理由が分からないぜ。

そんな俺はやはり馬鹿なのか?

「でも片思いは片思いで楽しいんだろ?」

「…って俺に聞かれても困る。」

何しろ今『初じめての恋』をしているみたいだしさ。

「そんなこと聞かれたら俺も困る!!」

勢いよくいう友人。

あー。俺は人選を間違えたかもしれない。

こんな俺の友人なんかやってるこいつは、

「片思いなんかしなくても向こうから来てくれるから。」

とか言うやつだった。

相談する相手ミスったー。

俺は頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。




「はぁ……。」

小さな溜息が隣から聞こえてき、ふとなにげなく横を見る。

帰宅途中の電車の中。



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