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little by little  作者: ホタル
本編
1/42

0. ~prologue~

 サイト一周年記念に書いた小説です。しばらくはストックがあるので、毎日更新予定。目指せ、二月中に完結!


 一番 嫌いな 色は 赤


 閉じ込めたい過去を 思い出すから









 月曜日。仕事から帰って来てポストを覗くと、珍しくダイレクトメールとちらし以外の郵便物が届いていた。首を傾げつつ、玄関ポーチでそのはがきを手に取る。

「芹川高等学校……?」

 卒業した高校の名前の横に、親友の名前があった。ぱちぱち、瞬きをしてはがきをひっくり返す。プライベートではあまり見たことがないけれど、往復はがきだ。その文面をまじまじと読んで、背筋にひやりとしたものが走った。

「……同窓会」

 日付は、三か月先の六月になっていた。考えてみれば、卒業してもう六年。同窓会が行われていい頃だろう。今まで考えもしなかった自分に、ため息を吐いた。

 迷いながらも、はがきを玄関の下駄箱の上に置いて部屋に入る。三月と言えど、まだまだ春の気配は遠い。それに私が暮らしているのは、築四十年の木造アパート。隙間風も吹きこんでくる。最近、やっとあったかくなってきたかな、という程度。コートの上から自分を抱きしめて、小さくくしゃみをしてエアコンのスイッチを入れた。

(……何て言って、断ろうかな)

 なんて。すでに断る方向に思考が傾いている自分に、苦笑した。

 ――もう、六年。

 さっき自分で数えた年数に、改めて驚きがこみあげる。未だにこの胸は、彼を思うとじくじくと痛むのに。

 初恋という名の、未練なのか、執着なのか。

 私はいつになったら、彼を、忘れられるんだろう。


「……きっと、いつまでも無理だろうな」


 もう一つ、苦笑いを零してコートを脱ぎ、ハンガーにかける。明日は早番だ、早く寝てしまおう。今日は久々に、ホットミルクでも作って飲もうか。あれはいい。悪い夢も見ずに、ぐっすり眠ることが出来るから。

 もう何も、思いだしたくないから。



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