遊楽
掲載日:2026/05/31
「ばっかじゃん、お前。」
声が教室に落ちた。
壮一の耳にだけ、はっきり届く。
「つーか、馬鹿よりキモい。」
取り巻きの一人が言う。
「それな。」
もう一人が短く返す。
「立て。」
壮一は立つ。
次の瞬間、身体が少し浮いた。
笑い声がした。
ランドセルを引かれ、前に倒れた。
「……これ、痛いんだけど。」
「ん?今なんて?」
「痛いんだけど。」
「大丈夫。手加減してる。」
淡々とした声だった。
「公園、行こうぜ。」
その声だけが、
澱みがなく、不自然に綺麗だった。




