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《春の縁側と文言文》

作者: 蒼山ホタル
掲載日:2026/04/19

その瞬間、

ぼくの文言文の苦悩は

ほんの少しだけ軽くなった。


## **《春の縁側と文言文》**


京都の春は、花粉と桜と、そしてぼくのため息で満ちていた。


縁側に座り、分厚い文言文の参考書を開く。

「子曰く… いや、なんで“曰”ってこんなに読みにくいの…」


ページをめくるたびに、

春風がひらりと紙をめくり返す。

まるで「まだ分かってないでしょ」とからかってくるみたいだった。


「夫れ、学ぶとは…」

声に出して読んでみるけど、

意味が霧みたいにぼやけていく。


そのとき、湯のみの中の水面がふるりと揺れた。


「そんなに眉間にシワ寄せなくてもいいのに。」


透明な小さな水の精霊が、

湯のみのふちにちょこんと座っていた。


「文言文ってね、

“読む”んじゃなくて、

“感じる”ものなんだよ。」


精霊は指先で空気をすっとなぞった。

その軌跡が、春の風みたいに軽かった。


「例えば『春眠不覚暁』。

意味を追うより、

春の朝の空気を思い出す方が早いよ。」


ぼくは目を閉じた。

柔らかい光、遠くの鳥の声、

布団のぬくもり。


「あ…なんか分かる気がする。」


精霊は満足そうに笑った。


「ね、水みたいに流れに乗ればいいんだよ。」


桜の花びらが一枚、

縁側に落ちた。


その瞬間、

ぼくの文言文の苦悩は

ほんの少しだけ軽くなった。


---



「あ…なんか分かる気がする。」


精霊は満足そうに笑った。


「ね、水みたいに流れに乗ればいいんだよ。」


桜の花びらが一枚、

縁側に落ちた。

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