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やりません。やれませんのよ。  作者: 朝山 みどり


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04 居心地が悪い


わたしは小さい時から、水を汲んだ桶や、水がめに手を置いて『きれいになれ』とつぶやく。


祖母の真似だ。祖母の真似をしていたら、わたしの習慣になった。


ポイード薬局で水汲みをする時も同じことをしている。



毎日、わたしが三十本、マリアが三十本。


同じ基礎処方。分量も手順も変えない。


でも、同じことの繰り返しでわたしは腕があがったと思う。


だけど、最近、少しだけまわりの人が違う。


前は、みんな、にこにこしていたのに……


レオン先輩の声が、ほんの少し固くなった。


「ダイアナ、努力してるか?」


「はい」


レオン先輩は睨んだだけだった。


エマ先輩も言う。


「仕事を押し付けるのはよくないわ」


「え?」


不思議に思いながら、秤を磨き、すり鉢を洗い、床を拭く。


マリアが箱を持って戻ってくる。


「今日も褒められたわ、わたしたち頑張ってるわ」


「よかった」


今日は不思議な光景を見た。


「水汲みいつもお疲れ様」とエマ先輩がマリアに言っているのを聞いた。


「いえ、なんとかやれてます」


とマリアが答えていた。


そばまで行って


「やっているのはわたしです」


なんて言うのも、なんだかなと思ってなにも言わなかった。


それに、何と言っても後、二か月。それで終わる。マリアとの縁も切れる。


それよりもここの経験を大事にしたい。


正直、毎日、同じ薬を作る機会なんて祖母の店では出来ないのだから。


これだけ材料を使える贅沢は出来ない。


作業場の設備だって素晴らしい。もし自分で好きに作れるならって思いながら掃除するのも楽しいし。


後二か月。薬のことだけを考えて過ごそう。


わたしはそう思っていた。






いつも読んでいただきありがとうございます!


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