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幕間 軽視

――帝国治安局・内部通達


魔導帝国アストリア

治安局・下層区担当執務室。


積み上がった報告書の山を前に、

一人の中級官吏が眉をひそめていた。


「……スラムでの衝突、死者一名?」


部下が頷く。


「徴税官護衛隊との小競り合いです。

相手は――“維新団”を名乗る集団」


「維新団……」


官吏は、鼻で笑った。


「例の異邦人どもか。

賞金に釣られた浮浪者の集まりだろう」


書類を一枚、弾くように机へ戻す。


「被害は?」


「帝国側、軽傷二名。

撤退判断は妥当と報告されています」


「なら問題ない」


官吏は即答した。


「下層区では、よくある話だ。

見せしめを一つやれば、自然と散る」


部下は、一瞬だけ躊躇った。


「……ですが」

「住民の動きが、やや統率されているとの報告も」


官吏は、わずかに目を細める。


「統率?」


「はい。

逃げず、退かず、指示系統があったと」


数秒の沈黙。


だが、官吏は肩をすくめた。


「誇張だ」

「恐怖は、人をそう見せる」


椅子にもたれ、結論を下す。


「下層区の内輪揉めだ。

監察官案件ではない」


書類に判を押す。


【分類:局地騒乱/重要度・低】


その瞬間、

“奇兵隊”という名は、

帝国の正式記録から零れ落ちた。



幕間・結び


同じ夜。


スラムでは、名もなき男が弔われ、

少年が名前を与えられていた。


帝国は、それを知らない。


いや――

知ろうとしなかった。


この無関心こそが、

後に帝国を最も深く刺すことになると、

まだ誰も気づいていない。

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