1話 霞立つ春
待ちに待った入学式‼︎やっと旭に会える(まぁなんとか同じ高校に合格できた)。今年の目標は、旭と平然と会話をすること。クラスが一緒になるかどうかでワクワクしている。が、今はとてつもなく憂鬱だ。無駄に長〜い入学式の真っ最中だから‼︎
「新入生起立、礼、着席」
いちいち立ったり座ったりする必要なんてない!なんでそんなことをするんだ!
「新入生起立、礼」
「以上60名を夢見里西高等学校第75代入学生とここに認証します」
「新入生礼、着席」
「これで入学式を閉会します。新入生は退場してください。玄関口にクラス割りの表を掲示しているので、忘れずに確認してください」
やっと終わった。クラスが旭と同じだったらいいな〜
「紅っち。一緒にクラス発表見に行こう〜」
「小串か、一緒のクラスがいいよな〜」
「だな〜。紅っち、真でいいって。小ぐっちでもいいよ?」
「わかったよ。真」
こいつは小串真。僕の腹心の友だ。
僕らは、生徒玄関に着いてクラス割りの表を見つけた。
その表を見て、僕たちは安心した。なぜなら、2人とも同じクラス・2組だったからだ。そして、旭はと言うと…同じ2組だった。僕らは教室に上がった。黒板に席順が貼ってあって、出席番号順だった。黒板には番号しか貼りだされていなかったので、隣は誰なんだろう?とドキドキしていた。
まあ、席はまことと近くなかったが仕方ない。
旭が教室に入ってきた。可愛い。黒板を見た後、こっちに向かってきて、僕の隣の席に座った。
僕は血が沸騰したような心地になった。隣だったらいいな〜とは思ってはいたが、本当になるとなんか急に恥ずかしくなった。顔は、赤くなってはいないだろうか?ふと顔を上げると、遠くから小串がこちらを見て笑っている。こいつ‼︎帰る時覚えとけよ‼︎
まぁそんなことをしていたらクラス全員揃っていた
ガラガラ
扉を開けて先生が入ってきた
「ホームルームを始めたいんだけど、まあ、帰りたくないんだったらこのまま喋り続けててもいいけど…今日中に決めないといけないことがあるからそれが決まるまで絶対帰れまいから」
シーン
一瞬にして、教室から音が消えた。
みんな早く帰りたいんだな〜
先生は…おじさん‼︎ってっ悪口じゃないよ?僕のお父さんのお兄ちゃんって意味のおじさんだから?…
「じゃあ始めてもいい?起立、礼、着席。この2組の担任をすることになった飯島拓実だ。よろしく」
「「よろしくお願いします」」
「みんなの自己紹介は、後日するとしても、今日は、委員会を決める。委員会は、評議委員、保健委員、文化委員、風紀委員の四つだ。各委員は男女1人ずつの計8人。やりたい人はいる〜?」
なかなか決まらない気がする。僕は風紀委員がいいな〜
数分後
僕の予想を裏切り案外早く決まった。僕は希望通り風紀委員会に入る事ができた(まあ、不人気だったが…)。
「よし決まったな〜 今から、部活に関する資料を配布する。無くさないように。
近日中に部活連から部活紹介があると思う。その時まで大切に保管すること‼︎今日はここまでと言いたいけど、チャイムがなるまでここにいること。じゃあ、評議委員の男子号令〜」
「起立、礼」
「「ありがとうございました」」
教室に喧騒が戻った。
やっと終わった。後は小串に文句を言うだけ…
ふと僕は、旭の方を向いた。ちょうど、旭もこっちを向いていて目が合った。僕は急いで目を逸らした。ナニコレ、旭可愛すぎるでしょ…目が合うとか反則すぎる気がする。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ンキ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
ガタガタ
チャイムが鳴った瞬間にみんなが帰り始めた。それに合わせて小串も動き始めた。僕も帰ろっと
僕たちは流れに沿って学校を出た。
「小串、なんで朝、僕の方を見て笑ったんだ‼︎」
「え〜だって…紅っちが旭の方を見て顔真っ赤にしてたから…楓のこと大好きすぎるでしょ」
「好きなのは好きだけど…。ってなに言わせてんだよ」
「ごめん。ごめん。そんな怒んなって」
「怒ってない‼︎ただ腹が立っただけ…」
「それって同じじゃ〜ん」
そんなことを話していると、
「じゃあねば紅っち」
いつのまにか、小串の家の前まできていた。
「ちょっと待てよ。なんで言ったんだよ‼︎」
「まぁ。紅っちが真っ赤な顔がおもしろかったから」
(マジか‼︎そんなにわかりやすく顔に出てたの?てことかは楓に気づかれてる可能性が高いんじゃない?)
「バイバイ、紅っち」
「ちょ、待てよ‼︎」
小串はそのまま家に入って行った。
高校の最初の一日は終わった
(無事に旭と話せるのだろうか…どうしよう…明日の係決めがあるから旭を誘おっと。どの係がいいんだろう…)