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AC  作者: M.K
AC2
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AC2.2

 なにもかもが止まってしまったかのような無音のなかで時間だけが静かに流れていく。


 あれから数分が経ち、はじめはとりとめのないくだらない妄想をする余裕があったのが、だんだんと不安と焦りが体のそこから湧き出し、それらをもたげだした考えがさらに加熱させていた。


 もしかしたらずっと監禁されたままなんてことは……。


 自分はいてもたってもいられなくなり体を起こして何かないかともういちど部屋を見渡した。部屋は初めて見た時からなにも変わっていない、だけど自分が見落としているだけで本当はすでになにかが始まっているのかもしれない。座ったまま探していては埒が明かないと立ち上がろうとした瞬間、


「すみません。お待たせしました」と女性が声をかけてきた。

「…………誰ですか?」突然のことに声をあげそうになったのをなんとかおさえこみ話しかけてきた女性に尋ねた。

「私は『Alice』といいます。これからあなたのサポートをつとめることになりますのでよろしくお願いします」


 自分の問いに彼女はそう答えた。その声はこの部屋とは不釣り合いなほど穏やかで優しくて、警戒する以上に安らぎを覚えてしまった。


「サポート?」そのことに眉をひそめながら自分はさらに聞いた。

「はい。これからあなたに受けてもらうテストの説明や質疑応答などを主に行います。…………どうしました? どこかわからないところでもありましたか?」


 今度は違う意味でだが、顔をしかめた自分に気づいた彼女はそう聞いてきた。それにたいして自分は


「いえ……ただ、いきなりテストを受けてもらいますなんて言われても『はい、わかりました』とはならないと思うんですが。それもこんな場所に誘拐されて」と言った。すると

「それでもかまいませんが、そうなると一生ここにいることになりますよ。といってももちろん食事付きではありませんからすぐだとは思いますが」と返してきた。

「冗談……ですよね?」

「いえ、本気です」


 自分はそこで口を閉じた。そしてすこししたあと


「……わかりました」とつげた。


 いまのが自分にテストを受けさせるための脅しかもしれないのはわかっているけど、彼女の冷淡でありながら優しくも感じたそのひとことはなぜだか自分を信じさせるに十分なほどの力をもっていた。座りなおすふりをして太もものかげになっているところをつねった。ちゃんと痛かった。


「それで……どんなテストなんですか?」

「ではテストを受けてもらえるということでさっそく説明を始めたいと思いますが、何か気になったことがありましたら遠慮せず聞いてください。答えられることなら答えますので」

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