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AC  作者: M.K
AC5
12/60

AC5.1

 扉からすぐ――最初に切りかわった照明が、高さが腰ぐらいの小さな白い丸天板の机を浮かび上がらせた。


 その上には手のひらほどのこれまた白い立方体が置かれていた。これがご褒美のようだけど……手に取り調べてみると、どうやら中に何か入っているらしく、さっそく開けて取り出してみた。中に入っていたのは鍵だった。持ち手が輪っかで金色の、子どもが描くギザギザした王冠の一部を先端にくっつけたような、いかにもゲームに出てきそうな鍵。その鍵を上下左右に回しながら、これが最後のテストで何に使われるのか考えてみた。


 鍵があるなら開けるものがあるはずで、いま思い浮かぶのは扉と箱の二つだ。もし扉だとしたら、考えられるのは最後のテストが複数のテストで構成されていて、鍵を持っているぶんだけ免除される。そしてもし箱だとしたら、何かしら役に立つ物がもらえるのだと思う。しかし彼女の発言を考慮に入れると、そのどちらともというのもありえる。と簡単に予想してみたけれど、これはあくまで残りの二つも鍵だった場合だ。違う場合も当然あって、それについてはそうだった時に考えるとして、今はこのぐらいにしておこう。一歩脱出に近づいた喜びを噛みしめつつ、鍵をしまって先をめざした。


 そうして歩きだしてすぐ、そういえばと前回えらく長い距離を歩かされたことを思い出しうんざりしていたところ、案外あっさりと次の扉に着いてしまった。数えられるところまで数えてみようと頭で覚えていたのでわかったが、十個目の照明がついたところだった。


 なぜ前はあれほどまで長かったのか、理由を考えてみたもののただたんに最初だったからとしか思いつかなかった。それに考えてみればなにも全部同じ長さにする必要もないので、この謎についてもこれぐらいにして扉のほうへ向き直った。


 三つ目のまっさらな扉を前に、念のため左手首をひねったり、曲げたり、力を入れたりして調子をみてみた。痛みはまだある。いつもならたいしたことないと笑い飛ばせる痛みも今の自分にとっては大きな不安の種だ。最後に労わるようにやさしく撫で、扉を開け中に入った。


 すると、いちめんまっしろな光景が目に飛び込んできた。と思ったらとつぜん体が急降下した――――。

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