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タナベ・バトラーズ

【タナベ・バトラーズ】想いあるからこそ

作者: 四季

 フェンリルシアはいつもミーシャがヘラヘラしていることが気に食わない。

 彼が有能だからこそ、尊敬できる師匠だからこそ、ミーシャが偉大なように振る舞わないことが気になっている。



 そんな心持ちのまま迎えた、ある日の晩。

 二人の自室にて、椅子に座っていたフェンリルシアは口を開く。


「ねぇミーシャ。どうしていつもヘラヘラするの」

「え」


 いきなりの発言にきょとんとするミーシャ。


「……どういう話?」

「馬鹿みたい。いっつもいっつもヘラヘラして、人の前では情けないふりをして。本当は強いのに」


 その日のフェンリルシアは少々機嫌が悪かった。

 それゆえ、言葉の発し方も、日頃よりきついものになってしまっている。

 ミーシャは慌てない。こういうことはこれまでにも時折あったからだ。フェンリルシアが不機嫌な日、というのは、特別珍しいことではないのだ。そして、彼女が不機嫌な日は、もれなくこういうことが起こる。


「腹立つのよ! アンタのそういうとこ!」


 椅子から立ち上がり、フェンリルシアは噛みつきそうな勢いでミーシャに迫っていく。


「厳しいなぁ」


 ミーシャは相変わらずヘラヘラしている。


「そういうところ! ホント嫌い!」

「僕は好きだよ? そういうところ~……って、アイタッ」


 フェンリルシアはミーシャの頬を叩いた。

 室内に乾いた音が響く。


「いきなりビンタ、て」

「強いんだからもっと凛としてなさいよ!」


 フェンリルシアはミーシャのもとでいろんなことを学んできた。だから、彼が誰より才能ある人間なのだと知っている。尊敬するに値する人なのだと知っている。でも、だからこそ、弱そうにヘラヘラしているミーシャを見ていると苛立って仕方がないのだ。


「本当は情けない男じゃないって……あたしは知ってるんだから」


 少し恥ずかしそうにぷいとそっぽを向くフェンリルシアを見て、ミーシャは何かを感じたようで。数秒後、彼は急にフェンリルシアの頭を撫でた。


「なるほど、かっこいいって思ってくれてるってわけだね? ありがとう」

「な、何それ! 勘違いしないでっ!」

「相変わらず素直じゃないなぁ。ま、そういうところも含めて好きなんだけど。あとビンタも」



◆終わり◆

挿絵(By みてみん)

↑フェンリルシア


挿絵(By みてみん)

↑ミーシャ

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― 新着の感想 ―
[良い点]  前作でも思いましたが、フェンリルシアは長女らしいしっかりとした女性であるのに、根は乙女ですよね。  見え隠れする可愛らしさ、ミーシャが気付いてくれていて本当によかったです! [一言] …
[良い点] これはなかなかのツンデレ展開! いや、もはやデレデレですね(^^) ビンタも愛ゆえの思い。 不器用な愛情表現がいじらし(・ω・)
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