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6・異世界鉱物ってよくわからんね

 さて、作物の話が一応出来たところで、この辺りも何かないかサーチしてみようか。


「サーチ!」


 山に向かってサーチを掛けてみた。


「何じゃこりゃ!」


「どうしたの?よっくん」


 楓が心配そうに俺を見る。村長も怪しい奴を見るように俺に視線を向けている。


「ここは鉱物博物館か何かか?」


 そう言わずにはいられなかった。


 しかも、この異世界特有鉱物もここには存在するらしい。


「クロムに亜鉛、ニッケル、それに魔銅?そんなのが点在するみたいだな、この周辺の山には」


 特に、魔銅というよく分からないモノの量が異常に多いのが特徴だ。 


「サウロ殿、魔銅という金属に聞き覚えはあるだろうか」


 そう聞いてみると非常に驚いている。


「魔銅ですと!伝説ともいわれる金属ではないか。鉄と違って錆びて朽ちる事が無く、更にはより扱いやすい金属ですぞ。一般的な魔力を持つ者であれば鉄並、魔力の多い者が扱えばより以上の強度を出せるという、いわば夢の金属ですな。ただ、錬金術によるしか精錬が不可能とも云われておったかと」


 半ば伝説の金属らしい。


「して、ヨシキは錬金も出来るのか?」


 そう聞いて来たので頷いてみた。


「それでもし、魔銅がこの山にあると云うのであれば・・・・・・」


 そんなに驚く事なんだろうか?だって、銅だろ?鉄の方が良いんじゃないか?ニッケルやクロムあるから錬金で色んな合金作り放題なのに。 


 まあ、言われたからにはやってみようかと、その魔銅という鉱石を手に取ってみた。


「お?魔力が浸透してるのが分かるな。もしかすると・・・・・・」


 ちょうど、側にある大きな岩が魔銅鉱石だったので抱えて精錬して見ることにした。


「これ、本当にそんな強い金属なのか?やたらと軽いんだが」


 先ほどまで持ち上げる事など無理だった岩を精錬して、それでも一抱えは在ろうかという魔銅が出現したのだが、金属では考えられない軽さだった。まるで発泡スチロールかと思うほどだ。


「サウロ殿、やたらと軽いが、これが本当に強度のある金属なのか?」


 そう言って軽々と抱えてサウロの元へと戻る。


「そんな軽々と、よほど魔力が多いのでは?」


 そう聞かれたが、僅かな銀としか言われていない事を伝える。


「しかし、その様な魔力では精錬する事も難しい筈だが、違う金属なのだろうか?」


 そう言ってサウロが手を出してくるので、渡してみたところ、いきなり取り落としてしまった。


「お‥重いではないか!」


 キレられたが、やたら軽かったのは確かだ。


「確かに、大きさからは想像できない軽さだね、コレ」


 楓が興味を持って抱えているが、いたって軽そうだった。


 その姿を見てサウロがさらに驚いている。


「夫婦そろって途轍もない魔力持ちであられましたか」


 急に態度が変わりやがった。


 そんな米つきバッタなサウロを置き去りにして、軽いのだからと剣を造ってみた。


 非常に軽く、プラスチックの剣並みの重さしかない。


 セイっ

 

 手近な岩へ振り下ろしてみたが、斬れるわけではなかった。まあ、刃毀れもしてはいないが。


「ヨシキ殿、魔銅は硬さは確かに上がるのですが、魔力で硬化させた場合、非常に軽くなっていくため、武器には向かない素材とされております。魔銅は防具として活用する事が適しております。あと、弓としても使える筈です。神話には魔銅の防具と弓を持つ英雄の話があったはずですので」


 そう言ってくるので、魔銅から弓を作ってみた。洋弓に魔銅ワイヤーの弦を張ってみる。


「矢は普通に木で良いか」


 見よう見まねで羽の代わりに木を薄く刻んで挿し込んだ矢を作り、矢じりは余っていた鉄製にしてみた。


 魔力を流しながら弓を引き、引き絞ったところで魔力を抜いてみた。すると、あまりの固さに持って居られず指が離れてしまう。


 ガン


 矢はあまり飛ぶことなく近くの岩に刺さってささくれだってしまった。


「重すぎるな。あ、猟師が居たら使えるんじゃないか?」


 そう言って集まった人々を見回すが、猟師はいないらしい。


「ここには猟師は居りません。そもそもあの切り立った山ですから、獣もあまり降りて来んのです」


 と言うが、サーモンから貰った肉を食べた事を伝えると、何やら納得顔でこちらを見てくる。


「それは海の肉ですな。船ほどもある大魚の肉ですよ。干し肉や塩漬けにすると非常に長く持つので、我々も麻や芋との交換でもらい受けております」


 魚の肉?いや、あれは魚じゃなくて動物の肉だったが?


「あ、そうか、鯨やイルカじゃないかな。海生哺乳類なら魚じゃなくて動物だから」


 楓がそういって説明してくれた。なるほど、船ほどもある大魚。たしかに、鯨なら船と変わらんよな。


「サウロ殿、ところで、魔銅を精錬した残りのコレは何だろうか?すなではないようなんだが」


 砂にしては少々性質の違うモノが魔銅を精錬した後に残されている。


「これは、魔銅を精錬すると、周辺の石が魔化されたことで変性した魔砂ではないかと。伝説の錬金師はこの魔砂を固めて魔石を作り出したと言われております。あ、待ってください。魔砂は強い魔力を帯びるので量を集め固めると魔力暴走を起こすと言われておりま‥‥」


 ポン


 魔砂を集めて米粒大の塊が出来た途端に爆発しやがった。


「おお、危ないな」


 コイツは危険なので精錬自体を山の中で終わらせた方が良いのかもしれない。どうやら20ℓ缶大の鉱石から2ℓペットボトル程度の大きさの魔銅が取り出せる。

 ペットボトル大ならば多くの人が持ち運べる重量になるのでそのくらいの大きさで精錬を行い、ナーヤマの村へと持ち帰る。

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