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柞田 公枝の戦闘報告 2

 その弓は本当に不思議でした。

  

 私の物質破壊を増幅できる何かがあるとしか思えない。しかし、使った材料はドワーフ達と同じだというのです。


 そんなよく分からない現象が起き、私の放つ矢はそれまでとは比較にならないほどの威力を持つに至っています。


 勇者に言われてエアバーストを試してみると、賢者の範囲攻撃魔法には負けるものの、かなり広範囲を攻撃可能になっているのですよ。


 それまでであれば、オークの群に打ち込んでも、的確に指揮を執るオークを狙わない限り、効果を発揮しない程度だったものが、範囲10m程度を一撃で圧するほどの威力を持つまでに跳ね上がっているんです。


 これならばケンタウロスと言えど、直撃させることなく、至近で起爆すれば倒せるかもしれないですね。


 そして、コンパウンドボウの利点である初速の速さ、三角ボウを基礎にして引き代を和弓なみに大きく取ったことで長く重い矢を放てることで射程が延び、さらに、遠距離での威力も増しています。


 これまでの弓であれば最大で500m程度の距離を飛ばせたものの、実際に威力を発揮するのは100m程度でした。


 それが、最大で1km以上飛ばすことが可能になり、遠射ならば400m、狙撃ならば200mが可能になっています。


 ケンタウロスが持つ弓でも150m程度しか威力を発揮しないので、これは大きなアドバンテージになるでしょう。


 現在、タティベナに来ているドワーフの一人がこのコンパウンドボウの技術を取得しているそうで、弓兵にもケンタウロスと伍する弓の供給が可能になるだろうと言っています。


 そして、日本刀と同じ形状の刀を得た勇者の斬撃は飛躍的に威力を増し、戦士の槍も彼の理想を実現した様で、攻撃も防御もこれまでとは比較になりません。


 私たちはそんな強力な武器に自信を深めましたが、より高揚したのは防具です。


 神殿では騎士が纏う防具を基本として勇者用にアレンジしたものを身に着けていましたが、お世辞にもかっこよくありません。


 あくまでも私達基準の話ですが。


 そんな事もあって、防具の製作も依頼したのですが、勇者は戦隊もののようなアーマースーツをリクエストし、実現させています。


 戦士も同じように満足している様でした。


 私は防具に拘りはないのであまり難しい事は注文していません。


 しかし、聖女が巫女装束に近い意匠を希望した事で、なぜか私にもそれが飛び火します。


 私の出身地はアニメの舞台となり、いわゆる聖地と呼ばれているのですが、その話を持ち出し、もともとデッサンが巧い聖女がそのアニメに出てくるキャラクターの絵を何枚か書いて如月さんに渡しました。


 その事がきっかけて、聖女と私はそのアニメのキャラクターのような衣装になりました。


 聖女は巫女をモチーフにした衣装に、私も弓使いのキャラクターの衣装をモチーフにしていますが、そのキャラが巨乳なのに私は・・・・・・


 なので、幼少期バージョンと言う事になりました。色はキャラとは少し違い、青とピンクを基調にしています。


 その衣装の生地はこの奥、ナーヤマと言うところで採れる麻なのだと言っていたのですが、青やピンクの糸は魔力をもつ染色しているとかで、不思議な事に、金属の部分と変わらないほどの強度になっていました。


 如月さんは青とピンクを効果別に、しかもそれぞれの防具に合うように配色までしてくれています。


 本人は楽しいからちょっとやり過ぎたと言っていますが、この夫婦は私達勇者パーティよりも実は能力が高いのではと思えてなりません。


 この2人が居なければ私たちは勇者とは名ばかりの普通の神殿騎士程度の力しか発揮できていないからです。


 神殿騎士と云うのがファンタジーで言う白騎士や聖騎士と言った、騎士の上にある騎士の位。非常に強い騎士の事なのだそうですが、それでも単独でケンタウロスと互角に戦うのは厳しいレベルだと言います。


 その状態で私たちが戦っても戦力としては知れていたでしょう。しかし、今なら違います。


 二日ほど連携訓練もしてみましたが、本当にこれまでのモヤモヤがスッキリです。



 自信を持って私たちは旅立ち、戦場へと向かいました。


 私たちが戦場へ戻った時にはあの砦は落とされ、さらに後退していました。


 地域を領するピシゴー王国は国王が騎士団と領民を招集した混成軍と、援軍として駆け付けた周辺国、神殿騎士の連合軍でした。


 騎士達を数グループに編成し、領民を中心とする歩兵はその後方に配置されました。


 ケンタウロス軍はいつものようにオーク群を肉壁として前進配置し、自分たちは後方に数グループに分かれていました。


 

 連合軍はまず、ケンタウロスたちと戦う障害となるオーク群を先制攻撃で蹴散らしにかかります。


 いつもと違って非常にもろく壊走するオークたち。


 それを見た賢者が「ワールシュタットだ!」と叫び声をあげて、オークたちより大外から回り込むケンタウロスの一団を指します。


 ここからでは賢者の魔法と言えど届きません。


 下手に駆け出して勇者や戦士が斬撃を加えようにも、敵の動きが読めません。こちらが動けば逃げる可能性があります。


 そこで、私に遠射するように言ってきます。


 回り込もうとするケンタウロスに対して牽制を加える様にとの事でした。


 私は最大に物質魔法を矢に込めて、走るケンタウロス達の頭上へ矢を放ちました。


 


 

 


 


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