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34・勇者御一行が現れた

 播種機を作って数日。


 缶詰技術を習得しに来ていたドワーフ達を迎えに交易船がやって来た。


 タチベナで彼らは製缶を学び、俺が圧力釜について教え、一部のドワーフは楓に着いて中身の調理や製品づくりを学んでいた。


 肉類自体は彼らのレシピ次第になるだろうが、基本的な事は学べたようだ。


「よっくんさ、缶詰製造に来てたドワーフの人さ、男だと思った?」


 と、不思議そうに聞いて来た。


 全員、似たような顔立ち体つき、違いなんか感じなかったから男だと思うのだが。


「何人か女の人がいたよ」


 マジで?知らなかった。


「よっくんが圧力釜を教えていた人がそう」


 と言われてびっくりした。


「やっぱり気付いてなかったんだ。私もはじめ分からなかったけど」


 楓も分からないというほど差がないとは凄いなと思ったが、この世界のドワーフは一定年齢まで顕著な性差が出ないモノらしい。


 それ自体驚きだが、そのせいで男女関係なく鍛冶が可能なんだという。


 といっても、適齢期になると女性らしくなっていくそうだが。


「子供が独り立ちする頃には女性の方が力仕事でも優る様になるとか、すごくない?」


 驚いたように言うが、肉体的にはともかく、俺の知る周りの話でも似たようなことはいくつも来てるが、「母は強し」ってはなし。それをすべてにおいて体現すんのか、ここのドワーフ。恐ろしいな。


 そうは思ったが、口にしたのはありきたりな感想だ。いや、そうだろ。


 そんな交易船でやってきた一団があった。


「如月さん!」


 そんな、楓を呼ぶ声がした。


 どうあら勇者御一行らしい。召喚当時とは違い、こちらの服を着ているので降りて来た時には分かりもしなかったが。


 女子組が固まって話し始めると自然と男性陣ははじき出され、俺の方へとやって来た。


「如月の知り合いなんですか?」


 どこか興味津々な連中。


 家が近所な事や田舎なのでよく会う事、時折朝は街の駅まで送って乗せて行っていた事等を話した。


「楓は昔から人付き合いは上手いし要領良いからな。頼りになる妹だったよ」


 そんな話をしていると、ボソッと


「天然スケコマしか」


 という声が聞こえた。


 ふと見ると戦士の彼が顔をそむけた。


「ああ、コイツ、如月に気があったみたいで。今は神殿の女戦士にぞっこんらしいけど。綺麗なのが好きな奴なんで」


 と、彼は何だっけ?


「あ、俺は賢者らしいっす。頭が良いというより、器用に魔法をこなすかららしいけど」


 と言った。


 彼らにどんな魔法を使うのか聞いてみたが、やはり、中二病としか思えなかった。


「そんなに凄いのか。だったら鉄砲や大砲なんかいらないな。ドワーフが興味を示さない訳だ」


 俺はそう呆れる事しか出来なかったが、なぜここに来たのかよく分からなかった。


「ここに来たのは俺たちに合う道具を作ってもらうためだって聞いたけど、オッサンがやんの?」


 勇者だったか?その少年がそう聞いて来た。


「いや、俺は何も聞いてないが?」


 そう思ったが、彼らはドワーフがここで要望を出して武器や防具を作ってもらうように言ったらしい。


 何も聞いてないぞ俺。


「俺は聖剣は作れないとか言われてるんだが?」


 そう言ってみたが、ドワーフがそれを否定したのだという。


「ドワーフが言うには、オッサンは聖剣クラスを作れるって事らしいけど?」


 という。


 イマイチよく分からん。


 無理と言われた俺に作れるとは、あのドワーフ鍛冶師も大きく出たもんだな。


 そして詳しく聞いてみたが、なるほどと思う点があった。


「神殿の鍛冶師が色々作ってくれたんだけどさ、なんだか使い勝手が悪くてさ。威力はあるし、壊れないのは良いんだよ。だけど」


「あ、あの弓作った人?」


 どうやら女性陣もやって来たらしい。


 1人は聖女だが、もう片方は弓使いらしい。


「あの小さな弓、使い勝手良いです。ドワーフの人たちが色々作ってくれたんですが、あれに敵う物はなくて」


 との事だった。


 どういう事だろうか?


 とりあえず、聖女や賢者に作れるものはないが、弓使いの弓、勇者の剣、戦士の槍については作ってみることにした。


 勇者からどんなものが良いか聞いてみると、驚きの答えが返ってきた。


「実は、一時期居合をやってたんで、日本刀が一番しっくりくる」


 との事だった。


 戦士はとりあえず、ドワーフの作品じゃ使い難いというので正直よく分からん。


 そんな話を聞いて、弓使いには大型のコンパウンドボウを、勇者には日本刀らしきものを、戦士は良く分からんが短槍を作ってみた。


 弓使いが使うコンパウンドボウの威力は唖然とするモノだった。


 だって、飛ぶ距離が異常なんだ。何キロ飛んでんだよ。


 さらに、大砲かって威力なんだ。


 勇者の日本刀モドキは魔銀に多少の魔銅を混ぜたモノ、縞々鋼のモノを作った。


「このダマスカス鋼みたいな刀は凄く扱いやすい。何やっても良さそう。このミスリル刀はチート過ぎ」


 そんな事を言う。


 縞々鋼製には魔法は乗らないらしいが、玉鋼よりも硬くて柔軟性があるという。魔刀の方はアニメの技を見せられたようだった。


 本当に刀を振っただけで衝撃波が数十メートル飛んでいった。


 戦士の槍も魔銀主体で作ったのだが、これも当然の様に衝撃波を飛ばし、残像が盾の役割を果たすチートになっていた。


 おい、最初の鑑定何だったんだ? 

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