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『みこがたり』  作者: 朝ノ月
幕間
51/75

第16話 年末詣


ーーーーーーーーーーーーー






「…えっと、りんごが5個とみかんが6個だから、5+6はー…11っと。」


…大晦日で私の面倒を見てくれる人がいないため、お父様から貰った計算ドリルの文章問題を必死に解きながら言い付け通り大人しく朝から一人でお留守番していると、居間に掛けてある時計がボーンボーンと鳴り響いた。それに顔を上げると、針は5時を指し示していた。


「んん〜…!誰も帰って来ないけど、お米研いだ方がいいのかな…?…はぁ、お腹空いたなぁ……」


いつもはいくら忙しくても夜ご飯は作りに来てくれる先生さえも帰って来ないことを不思議に思いながら寒いなぁと腕を摩ってガラス戸の外に目をやると、白くてフワフワしたものが薄暗い中を舞い落ちているのが目に入った。それに急いで立ち上がり、ガラス戸を開けると、鼻先にその白い物が一つ落ちてすぐに溶けてしまった。


「…わぁぁ〜!雪だぁ〜!」


その冷たさに確信を持ってそう言うと、いそいそと履き物を玄関まで取りに行って庭に降り立った。


「わぁ〜!雪だ!雪だぁ!すごくキレイ!」


神ヶ森でも雪が降るのはよくあることだったけど、降っても積もったりはしないから溶けてなくなる前にたくさん集めて冷凍庫に入れようと寒さも忘れてあっちへこっちへと手をお皿にして走り回っていると、居間から驚いたような声で名前を呼ばれた。


「あっ!お兄さま!お帰りなさい!」


振り返って見ると居間に居たのは約束していたお兄様で、急いで帰って来たのか少し息を切らしていた。


「ただいま。遅くなってごめんね。それより、そんな薄着で外に出たらダメだよ。風邪でも引いたらどうするの?」


お兄様は障子の前に座りながら心配そうな顔でそう注意すると、「こっちにおいで」と手招きしてくれた。


「ごめんなさい…。でもでも!雪すっごくキレイですよ!」


靴を脱いで居間に戻りながらそう報告すると、お兄様はタオルで私の顔や髪、手を丁寧に拭いてから雪が降ってくる空を見上げた。


「予報だと明日からだったんだけどな…それに、この分だと積もりそうだね。」


「え!本当ですか!?雪、積もりますか!?」


困ったように眉を垂らすお兄様を喜びに満ちた顔で見つめると、ガラス戸と障子を閉めたお兄様がコクンと頷いた。


「この降り方なら恐らくね。…雪掻きが大変そうだけど。」


「やったぁー!!」


お兄様の言葉にピョンピョンと机の周りを飛び跳ねていると、お兄様はそんな私を見てクスリと笑った後、机の上に広げていた計算ドリルと筆箱を片付けてくれた。


「さて、それじゃあ暖かい服装に着替えてから出掛けようか。まずは美子の着替えだね。」


「はい!」


その言葉に飛び跳ねるのをやめてお兄様の手を繋ぐと、積もったら雪だるまを作ろうと約束をしながら二人で廊下を歩いて行った。




………

……





「美子、寒くない?」


「はい!ポカポカです!」


玄関でマフラーを巻いてくれているお兄様に持っていたカイロをシャカシャカと振ってそう答えると、お兄様は擽られたみたいに笑ってポンポンと耳当ての付いたニットの帽子を被せてくれた。


「今日は夜でも人が多いから、絶対逸れないようにね。約束だよ?」


「はい!約束です!」


応龍祭りの時は皆と逸れて大変な目に遭ったから肝に銘じるようにしっかりと頷くと、お兄様は傘を一本取って玄関の扉を開けた。そして、扉の外で傘を開くと私に「おいで」と言って手を差し出したのでその手を取って傘の下に入るとお兄様は私に傘を預けて扉に鍵を掛けた。


「ありがとう。それじゃあまずは御手水に行こうか。清めてからじゃないと失礼だからね。」


「冷たそう…でも、頑張ります!」


想像した御手水の冷たさにブルっと身体を震わせてから元気にそう返事をすると、お兄様は私の歩幅に合わせてゆっくり境内を歩き出した。そして、人波に流されながら手水舎に辿り着くと、手と口を清めてまた人波に戻った。


「…あれ?神楽…?」


手水舎から拝殿の方へ参道を歩いて行く途中で人集りが出来ているなと思ったら賑やかな音楽と共に舞台の上で踊る三人の巫女さんの姿が目に入った。


「年越しの奉納神楽だよ。毎年応龍が選んだ三人の巫女が舞う仕来りなんだ。」


背の高い大人の人達の間から何とか覗き見ようと背伸びをしたり首を傾けたりしていると、お兄様がそう説明してくれた。


「毎年…?……それじゃあ、応龍は、わたしのこと嫌いなのかな…」


初めて聞いた奉納神楽の存在と自分が一度もその舞台に立ったことがないことに、応龍に嫌われるようなことをしてしまったのかと落ち込んでいると、お兄様の軽やかな笑い声が聞こえてきた。


「ふふ、まさか。美子が応龍に嫌われるだなんて、例え天と地がひっくり返ったって有り得ないよ。」


「…え?でも…」


応龍祭りの時みたいに神楽の練習なんてしてないし、そもそも存在すら知らされていないと言おうとすると、お兄様はニコリと微笑んだ。


「美子が選ばれなかったのはまだ6歳だからだよ。年越しの奉納神楽は12歳にならないとその対象にならないからね。」


「あ、なるほど…!」


年齢のせいなら仕方ないじゃないか!と納得するや否や、応龍に嫌われていなかったことに安心してほっと息を吐いた。


「それじゃあわたしも、12歳になったら大晦日の日に神楽を舞うようになるんですか?」


「そうだよ。ただ、見ての通り雪が降っても中止にはならないから、屋根のないあの舞台で踊るのは大変だと思うけどね。」


その言葉に思わず顔を引き攣らせると、お兄様は珍しく「あはは!」と大きな声で笑った。そして、神楽舞台から離れて再び拝殿へ向かうとお賽銭を入れる音や柏手を打つ音が聞こえて来た。


「美子、お賽銭の用意をしておこうか。幾らにするか決めてある?」


「はい!」


待ってました!と言わんばかりに元気な返事をすると、おばあちゃんに作ってもらった巾着袋の中からがま口のお財布を取り出して、昨日の夜に用意しておいたお賽銭を手の平に載せてお兄様に見せた。


「…五円玉が4枚?随分たくさん納めるんだね?」


「はい!だって、今年は友達がたくさん出来たので、『良いご縁をありがとうございました!』って応龍に言いたいんです!」


お賽銭の意味をお兄様に説明すると、感心したように頷いて私の頭を優しく撫でてくれた。


「そっか、そんな意味があったんだね。とても素敵だと思うよ。」


「えへへ…お兄さまは?お賽銭、何円にするんですか?」


照れて真っ赤になった頬を隠すようにマフラーを口元まで上げながらそう質問を返すと、お兄様は服のポケットから五百円玉を取り出した。


「ご、五百円ですか?!で、でも、五百円玉って一番大きな硬貨で、語呂合わせで『効果がない』って意味になるから、ダメなんじゃ……」


物知りなお兄様が知らないはずなんてないのになと不思議に思いながらそう心配すると、お兄様は心配事なんてないかのように朗らかに笑った。


「いつもならそうかもね。でも、今日は年末詣でお礼を言うために来たんだから、『これ以上にない効果をありがとうございました』って言う意味で納めれば大丈夫だと思わない?」


お兄様のその言葉がまるで雷のような衝撃となって身体を駆け巡った。そしてその直後、その衝撃が尊敬へと変わって胸を高鳴らせた。


「す、すごいです!お兄さますごい!!すっごくすごいです!」


上手く表現できない感動にただただ目を輝かせて同じ言葉を繰り返すと、お兄様はまた声を上げて笑った。


「ふふ、そうかな?でも、物は言いよう捉えようって言うからね。」


私のすごいすごい攻撃が壺に嵌まったのか、肩を小刻みに震わせながらもそう返してくれたお兄様を尊敬の眼差しで見つめていると、漸く前に並んでいた人達が減ってお賽銭箱のある拝殿の前までやって来れた。


「美子、お賽銭届く?抱っこしようか?」


「だ、大丈、夫です!」


いつもとは違って縦も横も大きなお賽銭箱に何とかお賽銭を納めると、お兄様と一緒に二回お礼をして二回柏手を打った。そして、顔の前で手を合わせて目を閉じた。


(…応龍、美子です。今年はたくさんのご縁をありがとうございました。皆と、もっともっと仲良くなれるように頑張ります。ありがとうございました。)


頭の中でそうお礼を言ってから最後にもう一度お辞儀をすると、何処からか鈴のような爽やかな音が微かに聴こえたような気がした。何か言葉のような物にも聴こえて気になりはしたものの、隣りのお兄様を見ても気にしているような素振りはなかったので奉納神楽で使っている鈴の音が偶然大きく聴こえただけかもしれないと結論付けてお兄様の手を握り、拝殿の前から離れたのだった。




………

……




「…さてと、応龍に挨拶も済んだし、お腹空いたよね?今日はお手伝いさんもお休みだし、先生も神社の手伝いで忙しいみたいだから商店街まで買い物に行こうか。」


「商店街?」


その言葉に思わず素っ頓狂な声で繰り返してしまった。おじいちゃんのお店もだけど、商店街は朝方から夕方まで開店していて今ぐらいの時間だとちょうどお店を閉める頃だったからそう教えてあげようと口を開くと、私よりも先にお兄様が話し始めた。


「今日は商店街も年越し祭りで夜の10時くらいまで営業しているはずだから大丈夫だよ。それに、商店街のお蕎麦屋さんで年越し蕎麦を予約してあったはずだからそれも取りに行かないとね。」


「お祭り…?楽しそう!」


最近忙しくて行っていなかったとはいえ、あんなに熱心に通っていた商店街のお祭りを知らなかったことを恥ずかしく思いながらも、応龍祭りの時みたいに屋台が並んでるのかな?と期待に胸が膨らんだ。だから喜んで頷こうとした時、ある事を思い付いて慌てるようにお兄様の手を強く握った。


「あ、あの、お兄さま!商店街に行く前に、四神の神社にも行きたいです!たくさん助けてもらったので、そのお礼に…」


話してる途中で我儘かもしれないと気が付いてどんどん小さくなる声でそう伝えると、お兄様は顎に手を置いてうーん…と唸った。その悩んでいる姿から、【四神】の間にあるルールみたいに次期当主のお兄様も必要以上に仲良くしちゃいけないとお父様から言われているのかも…と言った事を後悔し始めた時、唸っていたお兄様が私を見つめてニコリと微笑んだ。


「…それなら、町内を周回する観光用のバスを使って行こうか。繁忙期は臨時のも出ているはずだから、急いで回れば何とかなると思うよ。」


「…え、い、いいんですか!?」


思わぬ返事に喜びよりも驚きが勝ってそう聞き返すと、お兄様は不思議そうに首を傾げながらも微笑んでくれた。


「お礼を言うことは悪いことじゃないだろう?それに、美子のお願いは全部叶えてあげたいからね。」


爽やかな笑顔でそう言い放ったお兄様に五百円玉の時と同じような衝撃と感動が全身を駆け巡って、何故だか泣きそうになるのを堪えてお兄様に抱きついた。


「ありがとうございます!お兄さま!」


「ふふ、お礼を言われるような事はしてないけどね。それじゃあ時間もないし、取り敢えずバスが出ている所まで歩いて行こうか。」


「はい!」


その言葉に満面の笑みで返事をすると、お兄様は雪が薄らと積もる道で私が転ばないように気を付けながら優しく手を引いて歩き出した。






………

……






…それから、観光用のバスを使って時計回りに朱雀、白虎、玄武の順に神社を巡って参拝を終え、最後に辿り着いたのは天地神社から一番近い青龍神社だった。他の所と同じように年末詣の人達でごった返す中を進んで参拝を済ませると、お兄様は服のポケットから腕時計を取り出して文字盤眺めた。


「…うん、時間は大丈夫そうだね。それより美子、たくさん歩いて疲れてない?先に家に帰って休んでる?」


「ううん、大丈夫です!最近はずっとお留守番だったので元気なんです!」


陽が落ちて雪も強くなり、寒さが一層厳しくなってきたけど折角のお出掛けを終わらせたくなくて首を横に振ると、お兄様はふっと笑って頭を撫でてくれた。


「そう。ならもう少しだけ頑張ってね。」


「はい!」


じゃあ行こうと手を引いて歩き出したお兄様に続いて歩こうとした時だった。



「……あー!!だから!!もうちょい上だっつってんだろ!!じいちゃん!!」


「早よ結んでくれんかのぉ…冷えると膝と腰と肩が痛むんじゃよ。」


「情けねーこと言ってんじゃねーよ!!気合いと根性で何とかしろ!!」


「…気合いと根性が全てを解決すると信じとる奴は嫌いじゃ。」


すごく聞き覚えのある声とやり取りに引き寄せられるようにその方へ顔を向けると、拝殿の近くにある大きな御神木の前で肩車をする人影が見えた。その肩車の、上に乗っている方の小さな人影の赤みがかった癖のある髪を見た瞬間、お兄様の手を離してその人の方へ走り出していた。


「……っ、健っ!!」


「ん…?」


人目があることも雪に濡れることも構わずに人の間を縫うように走り、大声でその人の名前を呼ぶと、振り返ったその顔に胸が熱くなった。


「あっ!美子か!?」


御神木まであと少しの所まで来て漸く自分を呼んだのが私だと判ったのか、そう叫ぶや否や結び終わっていない注連縄を投げ捨てては肩車をしてくれていたおじいちゃんの肩を容赦無く蹴って跳び上がると綺麗に地面に着地した。


「美子!何でここにー…」


立ち上がって何かを言おうとした健だったけど、私はそれを遮るように健に抱きついた。走って来た勢いそのままに抱き着いたから健は後ろに転びそうになっていたけど、何とか踏ん張って抱き止めてくれた。


「あ、危ねぇ…」


「…あ!ご、ごめんね!」


安堵の息を吐いた健にそう謝って慌てて離れると、何も言わずにジッと見つめ合った。そして、どちらともなく笑顔になって手を繋いだ。


「久しぶりだね!健!ずっと会いたかったよ!」


「ああ!オレもずっと美子に会いたかった!」


話したい事が多過ぎて何から話そうかと一人で焦っていると、話したくてウズウズしていた健が待ち切れなくなったのか先に口を開いた。


「もう今年は会えねーなって諦めてたんだけどさ、こんなとこで会えてすげー嬉しい!でも、何で青龍神社(ここ)に来てくれたんだ?電話の時、忙しくて外にも遊びに行けない!って言ってただろ?」


「あ、それはね、年末詣のために来たんだよ!始めは応龍に挨拶してから、朱雀と白虎と玄武にもありがとうって言って、最後に青龍にもありがとうって言いに来たの!だから、わたしも健に会えるなんて思わなかったからすごく嬉しいよ!」


早口でここに来た理由と会えて嬉しいと言う気持ちをしっかり伝えると、健は拝殿の方を一瞬だけ見て笑みを浮かべた。


「そっか!そんじゃあ今日くらいは青龍に感謝してやっても良いかもな!」


「…!うん!健がありがとうって言ったら青龍も喜ぶよ!」


健のその言葉に、年末詣に来て本当に良かったと喜んでいると、御神木の前で蹲っていたおじいちゃんが健に蹴られた肩をさすりながら私達の方へゆっくり歩いて来た。


「…いたたた……ん?おや、美子ちゃん。久しぶりじゃのぉ。」


「あ!おじいちゃん!こんばんは!」


健と同じく久し振りに会うおじいちゃんにも元気な挨拶と笑顔を返しながらさすっている肩をジッと見つめていると、おじいちゃんはいつもと同じように柔らかな笑みを浮かべた。


「ジジイの肩は常に痛いものじゃからな、気にせんで良い良い。それよりも、今日は年末詣かの?」


「はい!応龍と四神にありがとうって言いに来たんです!」


言わなくても来た理由が分かるなんて流石おじいちゃんだなぁと感動しながらそう答えると、おじいちゃんは私の頭と肩に積もった雪を軽く払ってくれた。


「そうかそうか、それは良いことじゃな。それに、わざわざ美子ちゃんが来てくれて青龍も喜んでおるじゃろう。」


「えへへ…わたしも、皆にありがとうってちゃんと言えたから嬉しいです!」


褒められたことが嬉しくて頬を赤らめると、手を繋いでいた健が何かに気が付いたかのように「ん?」と言った。


「そういや、美子一人で来たのか?」


「あ、ううん!今日はお兄…「美子。」


ちょうどその名前を言おうとした時にその人から名前を呼ばれて振り返ろうとした時だった。それまでずっと繋がれていた手が急に離されて、同じ高さにあったはずの顔が一瞬で視界から消えてしまった。驚きながらも目線を下に動かすと、そこには片膝を立ててしゃがむ健とおじいちゃんがいて、何をしているのか解らなくて声を掛けようとすると、また名前を呼ばれた。


「…お兄さま…?」


呼ばれて振り返ってみると、そこに立っていたのはやっぱりお兄様で、お返しのようにそう呼ぶと優しそうに微笑んでゆっくり口を開いた。


「…美子。勝手に手を離しちゃダメだよ。迷子にでもなったらどうするの?」


「ご、ごめんなさい…でも、あの…」


少し怖い声に約束を破ったから怒ってるのかな…と不安になりながら謝って手を離した理由を話そうと思ったら、お兄様はその先を聞く前に手を差し出して「おいで」と言った。


「…あの、でも……」


健とおじいちゃんが何で急にしゃがんだのかが気になってお兄様と健達を交互に何度も見ていると、お兄様はゆっくり歩いてきて私の手を引いた。


「…雪で少し濡れちゃったね。大丈夫?寒くない?」


「は、はい。」


心配そうな顔でそう言いながらタオルでサッと顔や服を拭うと、お兄様は私の手を繋いで自分の後ろに私を隠すようにして健とおじいちゃんを見下ろした。


「…忙しい時に美子が世話を掛けたね。申し訳ない。」


「……」


「いえ、御目にかかれて光栄でございました。」


何も言わずに俯き続ける健に代わっておじいちゃんがそう返すと、お兄様はゆっくり瞬きをしてから綺麗に笑って口を開いた。


「そう。それじゃあ僕達はもう行くから、君達も良い年越しを。…君は、また四日の日にね。」


「……はい。」


健がそう重々しく返事をすると、お兄様は二人に背を向けて歩き出した。


「…あっ…」


頭を下げ続ける健とおじいちゃんをそのままにしておくのが気掛かりだったけど、少し早足で進んで行くお兄様に手を引かれていたから歩かない訳にはいかず、離れて小さくなっても人混みで見えなくなっても一人で何度も振り返っていたのだった。






続く…

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