鬱病になりました。
僕は鬱病になったらしい。らしいというのは、医者が鬱病という正確な診断をしなかったからだ。原因は単に働きすぎだった。大学二年生からアルバイトを始め、大学四年生の年始、精神が崩壊した。僕が通勤していたアルバイトは入れ替わりが激しく、二年も続けていた僕は重宝された。いや正確にはいいように扱き使われた。誰かが休めば僕に電話がかかり、出勤する。社員もほかの従業員もみんな僕を頼った。
けれど、僕一人には限界があった。年末年始、みんなは休みたがる。僕も休みたかった。年始は中学高校と一緒だった友達が実家に帰省し、年に一回だけ遊ぶことができた。けれど、バイトが原因で遊ぶことができなくなっていった。
休みたかった。けれど、みんなが向ける僕への眼差しがそれを許さない。僕はできる人間だと他人に理解されていった。日ごろの行いが良すぎた。
僕は猫を被る人間だった。他人に合わせ口調を変えたり、同調したりするなど、自我の薄い人間だった。だから否定するという行為ができなかった。けれど、文句は言うほどに普通の人間だった。
年末年始の忙しい時期に僕は一人で働かされることになった。その一時間前は五人もいた。そして、その一時間は最も人が来る時間。
社員に手伝うように言った。だが、店長が言った言葉はこうだ。
「お前さぁ、やれと言ったらやれ、文句も言うな」
肝が冷えた。今でも何度も思い返す。僕は一体何だったのだろうと思ったほどだ。誰もフォローもせず、帰っていくと、僕は言葉を話せなくなってきた。
いらっしゃいませ。ありがとうございました。
その二言が最後まで言えなくなった。
「いらっしゃ……」
「ありが……」
ごもるように言えなかった。その辺りから自分がおかしくなっていくのが分かった。
この現象に覚えはあった。目の前がだんだん真っ暗になり始め、何かがおかしいという事だけは分かった。けれど、この先どうなるかは分からなかった。
休憩室に駆け込み、倒れた。
体に力が入らない。呼吸することができず、何もできず倒れこんだ。
人が怖い。人が怖い、人の眼差しが怖い。期待と現実での差。その二つが僕を殺した。
それから病院へ行った。先生と会話ができなかった。他人であることはいいが、二人称、一人称であることが怖かった。
食欲も性欲もなかった。ただ、ネットは心地よかった。
睡眠薬をもらった。飲んだ。眠った。おなかが空いた。ご飯を食べた、味がしない。
抗鬱薬をもらった。すごく安心できるようになった。けれど、それは一時的なものだった。また辛くなってきた。そしてだんだんわかってきた。
メンヘラの人がすぐにセックスをしたがる理由、リスカをする理由、自殺する理由。そのすべてが分かった。
誰かに必要とされたい。痛みこそが生きている証。苦しい、開放するには死ぬしかない。
けれど、僕は絶対に死なない。それはエロ画像が好きだったからだ。
エロ画像を見るとすごく落ち着いた。心の安らぎを手に入れた。
エロがきっと僕の鬱病を救ってくれる。
エロ同人作家みなさまありがとうございます。