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第5話 表裏の顔

年明けてもうすぐ1ヶ月経ちますね。

頑張ります。

第5話


「呆れた。のこのこ私に付いてきやがって。人を疑うことを知らんのか。」


胸ぐらを掴まれ、食事用のフォークを握り向けられている。ここまで来るのにニコニコして清楚で清潔で麗らかな性格だったはずの彼女。


「糞ガキが来るところじゃないんだよ。」


俺に罵声を浴びせる目つきの悪いヤンキーに一変してしまった。今までの彼女は一体。


「離して貰えますか。いや、話をして貰えますか。流石に僕も怒りますよ。」


しばらく沈黙が流れた。殺気に満ちた目を合わせ、どちらも目線を外さなかった。


「……はぁ、度胸あるようね。普通これしたら皆涙目になるのに、大した肝だ。」


これ以上やっても意味がないと判断された。フォークをカウンターに戻し、手と足を離して窓際のテーブル席に座った。


「お前も座れ。話がしたい。」


1つため息をついて気を抜いた。


「さっきはすまなかったな。会長に頼まれててな。試すように言われてたんだ。」


会長の頼みってことはまだ疑っていたのか。笑顔で抵抗なく入学させてくれたのに、用心深い女王様だな。


「それでお前は何をしに来たんだ。その力がありながら、なぜここに。」


やはり見せ過ぎた。あの混乱の中、魔法と刃物が飛び交う中で無傷で避けたのは目立ちすぎた。これも遅いか早いかか。


「俺は人間になりに来た。」


「ならお前は悪魔か。」


視線の先に俺の右手があった。先程の魔法を解くゲートを通ってしまった、見えてしまった悪魔の手をジロジロと見ていた。

今は包帯を巻いてもらい応急処置として処理している。


「あんな外道と一緒にするな。俺は神様だ。」


ついカッとなって敬語を忘れてしまった。

ん?っと顔をして中二病なのかと哀れな目をされた。

俺の見た目は16歳ぐらいだ。それぐらいのお年頃だろうが、真面目なシーンで言うセリフじゃない。


「マジで頭大丈夫?」


本気で心配されてしまった。


「俺は神様です。元ですけど。」


多分納得してくれた、はずだ。半信半疑のまま話は進む。


「ふーん。神様は天使の輪と翼がある美しいイメージだったけど、全然違うじゃん。」


偏見は仕方ないし、この世界の神様は天使のような容姿らしい。昔に使いに来た者たちだろう。


「あーそれ輪は飾りです。翼は光の加減で見えた目の錯覚。昔の人が想像して作ったものかな。」


小さい頃からの夢をぶち壊してしまったらしい。酷く落ち込んでいる。そんなに信じてたのか!?


「神様に戻らないのか。戻りたくないのか。」


上界の戦争に巻き込まれ、ここに堕とされた。師匠テルに助けられ弟子になった。人間としてこの世界を学んだこと。無駄にしたくない。


「前の世界ではたくさんの人を殺めました。だから次こそは……」


話の途中で高笑いをされた。腹を抱えて涙目になりながら。


「正義っ面か。面白い。いやいや、お前の過去に水を差してしまったようだ。」


俺は正義の味方じゃない。相応しくない。

過去なんてただの結果だ。なんだかバカバカしくなってきた。


「実際私も人を殺している。今更だろ、こんな地獄にいたら。」


「地獄?」


「堕ちたって事は、この世界は地獄だろ。」


あちらが天国だとしたらここは地獄か。例えが上手いな。俺は罰を受けているわけだ。死ぬことも許されずに。


「よし、面接おわり!先に学校戻ってるけどどうする?」


「俺は少し残ります。」


「分かった。それと言い忘れてたけど、その中途半端の敬語やめろ。気持ち悪いんだよ。私はお前と同い歳だ!タメ口でいい。」


別れ際で唐突にカミングアウトされた挙句に、水差し為らぬ胸に釘を刺されてしまった。


ーーーーーーー


「あら、おかえりなさいリーナ。どうだった?彼面白かったでしょ。」


「面黒いでしたよ。面倒な仕事押し付けないでください。こっちも忙しいんです。」


「だってリーナとリク君、似てたんだもん。」


「似てないです。アイツはまだ救われてる方。そして私は救われない。」


そう見た目も過去も全然似てない。でも、目的は同じだった。人になりたい。そのために来たのだ。

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