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異世界失敗転生!? 元殺人鬼の青年は異世界で冒険者になるようです  作者: 平凡もやし
二章 二人組の盗賊、孤独な少女
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93話 『元殺人鬼の提案 後編』

「ーー冒険者になって俺とパーティー組まない?」


「……え?」


「は、は、はぁ!?」


 俺の提案にアルスとカルスは二人揃って驚いた。二人ともリアクションが違うのでちょっと見ていて面白いと思った。


「そんなに驚くことなのか……?」


「そりゃ驚くわよ!! 何急に盗賊の私たちに冒険者になれとかさらっと言ってんの!? それにパーティー組まないって本気で言ってるわけ!?」


「いや本気も本気だよ。俺、冗談とかあんまり好きじゃないし」


「も、モルスさんは何で僕たちにその、冒険者になってもらいたいんですか? それにパーティーを組もうって……」


 うるさく騒ぐアルスと不安そうに(うつむ)くカルス。

 俺は広場のベンチに座る二人を見る。

 なぜ俺がこんな提案を二人にしているのか……二人はまだわかっていないようだ。

 だから俺は理由を伝えた。

 二人に冒険者になってほしいわけとパーティーを一緒に組んでほしいわけを。


「二人はこのままだとまた生きるために盗みを働く可能性が大……これは間違いないよね?」


「まぁそうね」


「は、はい」


「だったらそんな君たちとここで『はい、さよなら〜』とあっさり別れるわけにはいかない」


 意味がわからないと言いたそうにーー実際小声で何かを口にしているーー首を傾げるアルスと同じように首をかしげるカルス、二人に説明を続ける。


「目の前にこれからも『悪いこと』をしますって言っている奴がいたとしたら、『はいそうですか〜』って無視することなんてできない……いやできないこともないけど俺はしたくない」


「……つまりは私たちにもう盗みをするのはやめろってこと?」


「理解が早いな……まぁそういうことだよ。だから二人にはーー」


「ーー盗みなんてやめて冒険者っていうまともな仕事をしてお金を稼いでくれ……ということですか?」


「…………うん」


 あまりにも理解が早い二人に俺は少し動揺する。

 本当にこの子たちは見た目通りの少女なのか?

 そう思うほど二人の理解力は早かった。


「私たちに何で冒険者になってほしいのか。理由はわかったわ……でもあんたとパーティーを組まなきゃいけない理由がさっぱりわからないわ」


「それは僕も思いました……冒険者は一人でもなれるって聞いたことがあります……」


「それは……あれだよ……二人は、特にアルスだけど……」


「特に? 私?」


 俺がアルスとカルスの二人にパーティーを組もうと提案しているのは二人、特にアルスのことが正直、心配……ではなく不安だからだ。

 銀貨8枚、銅貨10枚という飯代が異常だということもわからないアルスが果たして冒険者になった際に普通の冒険者になれるだろうか?

 すぐに冒険者の仕事を面倒臭いと言って盗賊に戻るのでは?

 不安がありすぎた。


「アルス……君が一人でまともな冒険者になれるとは到底思えないんだ。カルスは多分大丈夫だ。アルスと違ってしっかりしているし……」


「なっ!? わたしはしっかりしてないっていうの!?」


「うん」


「!? そ、そんなわけないわよ! カルス! あんたはわかるわよね? わたししっかりしてるわよね?」


「えっと……はは、うん。しっかり……してるんじゃないかな?」


「な、何その間!?」


 俺の『アルスはしっかりしていない』『君一人ではまともな冒険者になれるとは到底思えない』という言葉にカルスも納得なのか苦笑いしながらアルスにそう言った。


「つまりモルスさんは僕たちが心配で……だから僕たちとパーティーを組みたいと……あの、その、モルスさんには何か得はあるんですか? 今の話を聞いたところ全くない気が……」


「ん? いや全然あるよ。君たちが盗賊をやめて冒険者になれば君たちは盗みをしなくなる。そうなれば結果的にアフォレスト街での盗みの被害は多少減るだろ? それは俺にとって十分にメリットだ」


 俺のその言葉にカルスは納得したような、でも完全にはできていないような……そんな風に『うーん……うん、うん』と声を上げながら一度頷き下げていた顔をしっかりと上げた。


「わかりました。なら、よ、よろしくお願いします! モルスさん!」


「うん、よろしくカルス」


「ちょっと!? 何勝手なこと言ってるのカルス? 私はまだ納得してないんだけど?」


「でもお姉ちゃんも最近言ってたよね。『そろそろ盗賊を続けるのは危険かな……』って。その通りだと思うしここはモルスさんの提案に乗るべきだと思う……!」


「ぐ、た、たしかに……でも、でも……!」


 カルスの発言を聞きアルスは俺に視線を向けてきた。その視線からは色々な思いが感じ取れたが特にはっきり感じ取れたのは『こいつとパーティーを組みたくない』という思いだ。

 そりゃそうだ。

 俺だって自分が盗賊だったら自分を追いかけてきた人なんかとパーティーは組みたくない。


「あぁもう! わかったわよ! 冒険者になってあんたとパーティー組んでやるわよ!」


「あぁ、よろしくなアルス」


 そんな思いを我慢してアルスは俺の提案に乗った。

 こうして二人組の盗賊、アルス、カルスと俺は冒険者としてパーティーを組むことになった。


最後まで読んでいただきありがとうございます!ぜひブクマや評価、感想をくださると嬉しいです!

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