74話 『緊急依頼達成』
僕はモルスがマクシスと戦っていることをゴーグから聞き急いであの部屋に向かった。
後ろからゴーグが焦って慌ててついてくるのがわかる。
(僕ですら勝てなかったんだぞ!? それなのに新人冒険者である彼に任せるなんて、彼に自殺しろと言っているようなものだ!)
痛みがまだ残っている体を動かして地下通路を走り部屋についた僕は足を止めた。
そこで僕が見たのは倒れているモルスの姿ではなく、死んでいるモルスの姿でもなかった。
ランスが見たのは冒険者が多く倒れている部屋の中に一人立っている新人冒険者の姿だった。
「え? ま、まだ他の人が……ってランスさんとゴーグさん!?」
部屋の前に立つ僕とゴーグに気付いてモルスはこちらを振り返って驚いたように声を上げた。
「モルス! 無事だったか……ってあの魔術師は……っ!?」
「魔術師? あーマクシスって人ですか? だったらそこの壁あたりに」
「なっ!?」
ゴーグが驚いているのはもっともだ。
なにせ金ランク冒険者である僕が勝てなかった相手、マクシスがモルスの指差す方向に倒れていたのだから。
それも無残な状態で。
(これを……本当にモルス・ディアスがやったのか!? マクシスを倒したのか……?)
僕は信じらなれなかった。
新人冒険者であるモルスが一体どうしてマクシスを倒すことができたのだろうか?
アフォレスト大森林の時もそうだ。
いったいモルスはどうやってハイウルフを倒すことができた?
どうやって倒した?
疑問がいくつもいくつも湧いてくる。
でもモルスが手に持っている血だらけの剣が全ての証拠だ。
そして無残な状態のマクシスの死体がモルスの強さの証明だ。
マクシスの死体は両手がなく、首は綺麗に切り落とされていた。
見ていて吐き気が湧いてくるようなものだが吐かないのはそれがマクシスという犯罪者の死体だからだろうか?
「……とにかくお前さんが無事でよかったぜ! 大丈夫か? 痛いところはないか?」
「えっと、魔法? を打たれた腹が結構痛いです……」
「…………」
僕は会話しているモルスをじっと見る。
モルスを探しポーション屋に会いに行った時、レベルを見たときのように僕はスキル『戦闘力解析』を使う。
どうせ前と結果は同じ?。
モルスの力の正体を知ることはできないだろう……そう思いながらモルスは見る。
するとーー
(……は……? な、なんだこれは!!??)
ーーそこには予想外なことに?とは違うレベルが表記されていた。
そのレベルはーー
(は、89レベルだと……!!?? な、なんなんだこれは!? ただのエラーか?)
自分のスキルが今までエラーなんて一回も起こしたことがないのは知っていた。
だけどそう言いたくなるほどに意味不明なレベルが表記されたのだ。
この世界でランスが見たもっとも高レベルの人間のレベルは50だ。
それをはるかに超える89という数字に僕は自分の現実が壊されたように感じた。
「痛いならさっさとアフォレスト街に帰還しないとな!」
「はい、ですね! ……ら、ランスさん? どうかしましたか? なんかすごい表情してますけど……?」
「君はいったい……?」
僕はあまりにもの衝撃に床に倒れた。
すぐに近くから「お、おい! ランス!?」「ランスさん!?」という声が聞こえる。
そんな声を聞きながら僕は意識を失った。
緊急依頼『闇ギルド【魔石】の本拠地の破壊。リーダー、マクシスの捕縛または殺害』はこうして達成された。
死んだ冒険者の数は11人にも及んだが闇ギルドの本拠地に突入し、リーダーも倒したためこの冒険者の死亡数ははるかに少ないものだった。
モルスとゴーグとランスとクロック。
この4人は他の冒険者がアフォレスト街に帰還してから数時間後にアフォレスト街に帰還し、
『本拠地にいる闇ギルドのギルドメンバーは全員倒した。リーダーのマクシスはこの新人冒険者が倒した』
と組合に報告。
この一件により緊急依頼が達成されたという話が数日後にアフォレスト街中に広まり、緊急依頼に参加していた冒険者の知名度が上がり、その冒険者の中でもリーダーのマクシスを倒したモルス・ディアスという新人冒険者の知名度が特に上がった。
☆☆
「やっと帰ってこれたぁ〜!」
ゴーグとランスが組合への依頼報告を済ませてくれるらしく俺は酒場宿屋【ベオ】の自室に帰ってきていた。
クロックという冒険者は傷が深いらしくゴーグの時と同じく組合で治療を受けるらしい。
宿屋に帰ってきた俺は宿屋にいた多くの冒険者にとても心配された。
「大丈夫だったか?」「生きて帰ってきたか!」
どうやら宿屋にいた冒険者は俺が緊急依頼に参加していたということを知っていたようだ。
いったいどうやって知ったんだ……?
と思いつつ俺はベッドにダイブし目をつぶる。
部屋にあるランタンの明かりは消した。
「あぁ〜、俺頑張ったよ。おやすみなさい」
真っ暗な部屋の中、俺はすぐに眠りについた。
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