69話 『モルスとゴーグは見つける』
「……なんか見つかったか? モルス」
「うーん、普通の部屋って感じですね……って何これ!?」
「なにかあったのか!?」
ゴーグはランタンの灯りを俺が見ている方向に向けて照らしてくれた。
俺が見ていた先には本棚が二つありその一つが少し右横に移動している。
よく見れば本棚と本棚の間にはいかにもない隙間があり隙間の先には石でできた通路が見えた。
下に下りる階段、地下通路のようだがどこにつながっているかまでは分からない。
「これは……地下通路ってやつか?」
「ですね。本棚が横に移動された痕跡があるところを見ると隠し部屋みたいなものだったんでしょうか?」
首をかしげながら俺は地下通路を見る。
間違いなくどこかしらに続いている……というのは誰にでもわかる通路だ。
もしかしたら一階探索班はここを進んでいったのか?
そんなことを考えているとゴーグがランタンを俺に「ちょっと持っててくれ」と渡してきた。
俺がランタンを受け取るとゴーグは背中に背負っていた戦斧を手に持った。
どうやらゴーグも俺と同じことを考えたようだ。
「もしかしたらこの先に一階探索班の冒険者たちを率いていたクロックが伝言鈴を鳴らした理由があるかもしれねぇ……こっからはさらに警戒度を上げていくぞモルス!」
「は、はい!」
俺は左手にランタン、右手をパーカーのポケットに手を伸ばして武器を手に取った。
俺が手に取った武器は緊急依頼を受けて馬車に乗る前に冒険者組合から貸してもらえる最低限の道具の中に入っていたナイフだ。
本来はレンタル料がかかるらしいのだが緊急依頼の時はレンタル料がかからず組合が負担してくれるようだ。
もちろんこのナイフは武器として使用するものではなく本来は採取依頼などの時に薬草や山菜、その他諸々をとるときに使うナイフ。
切れ味は武器には向いてないほど弱い。
薬草などをとるのに使うというなら切れ味は十分。
(まぁ武器を持たないよりはましだよな……)
ゴーグの後に続いて俺は地下通路へ続く階段を下りようとした。
だがその時突然地下通路の奥の方からまるで爆弾が爆発した時のような音ーーたぶん爆発音であろうーーが聞こえてきたことにより俺とゴーグは足を止める。
「……モルス……さっさといくぞ!」
「はい!」
急いで俺たちは地下通路への階段を下りて地下通路、石で作られた道を走り出した。
☆☆
「あっ! ゴーグさんあの光は!」
「あぁどうやらお前さんのいうとおり隠し部屋につながっていたみたいだな!」
走りながら会話する俺とゴーグはその光に向かってさらにスピードを上げて走った。
「!? あれは!」
「っ!」
足を止めて俺たちが見た先には天井が高く、広い部屋に倒れる冒険者たちと同じように倒れているランスの姿があった。
そんな部屋の中に倒れるランスを見下すように見る黒いコートに銀髪の髪が特徴的な男が一人。
「今の魔法を受けてもまだ意識があるとは……魔力は尽き、もう体もまともに動かないのに……人というのは驚くほどしぶといですね」
私も人間ですが……と笑う男は右手を広げて倒れるランスに向ける。
いったい何をするつもりなのかははっきりとは俺はわからない。
ただボロボロなランスの姿を見れば男がやろうとしている行動がランスにトドメをさすことなのだろうということはわかった。
それがわかった瞬間ーー
「させるか!!」
ーー俺の体はランスと男がいる部屋の中に飛び出していた。
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