65話 『一階探索班の行方』
「この程度ですか? 金ランク冒険者とは? 全く話になりませんね……」
「くっ……!」
地下通路につながる階段を下りた先にあった転住もスペースもかなり広いある部屋でクロック率いる一階探索班はーー
「もう飽きました。ここで全員死んでください……あとまともに動けるのはあなただけですよ、クロックさん」
「まだだ……! まだ俺は……!」
ーーほぼ壊滅状態だった。
目の前に立つ黒いコートの男……たった一人にやられたのだ。
その力からクロックは戦闘が始まってから男が何者か理解していた。
マクシス、闇ギルド【魔石】のリーダー。
それが男の正体。
今回の緊急依頼での捕縛、殺害対象人物。
「【魔石】リーダー、マクシス! 俺はまだ……まだ戦える! 俺はお前を倒す!」
「死にかけの分際で何を言ってるのか……はいはいならせいぜい私に攻撃の一つでも当ててみろ、よ!」
剣を杖代わりにして立ち上がるクロックにマクシスは武器を何一つ持たず右手を広げクロックにただ向ける。
二人の距離は20メートル弱。
(この距離なら……こっちの方が速い!)
剣を振る速度と魔法を発動する速度。
この距離ならマクシスが魔法を使う前にクロックの剣が先に届く。
クロックは今にも崩れそうな体に力を入れる。
そして両手で剣を握り構えをとる。
上段からの一撃。
それがクロックの得意とする攻撃だ。
当たればマクシスを倒せる。
そんな確信とともにクロックは剣を振るった。
だがーー
「ーーそんな鈍い攻撃当たりませんよ」
「っ!? がっ!」
一気に距離を詰めてのクロックの上段からの攻撃がマクシスに届き当たるより先にクロックの横腹に痛みが走り同時に真横に吹き飛び壁に激突。
クロックは血を吐き痛みに歯をくいしばる。
何が起こったのかクロックには一瞬わからなかったが血を吐きながらすぐにわかった。
クロックが攻撃しようと距離を詰め、剣を構えた瞬間にマクシスがクロックの横腹に蹴りを入れたのだ。
(な、なんて瞬発力だ……!)
上段からの攻撃には確かに大きな隙が生まれる攻撃だ。だからこそその隙を狙えばすぐに攻撃を崩せる。
だが普通の魔術師ならばそんな隙を狙うどころか攻撃に反応すらできない。
だがマクシスはクロックの攻撃に反応し、驚くべきほどの瞬発力でクロックの隙、横腹に蹴りを入れたのだ。
鎧の隙間である部分に蹴りを入れてきたのは狙ってか偶然か。
魔術師とは思えない蹴りを受けたクロックはすぐに立ち上がろうとするが倒れそうな体を無理に動かした時点で体はすでに限界を迎えていた。
もう立ち上がる力すらクロックには残っていなかった。
「ではさようならクロック。まぁまぁ楽しめましたよ?」
顔を上げなくてもマクシスが自分に向かって手を広げ魔法を発動しようとしているのがクロックにはわかった。
自分は死ぬ。
そう理解したクロックはゆっくりと目をつぶった。そのままクロックの意識は途切れた。
「おや? まだお客さんがいましたか……」
マクシスはクロックに向けていた手を下げて階段から下りてくる何者かの姿を捉えた。
「……どうやらお前がリーダーの……マクシスのようだな」
地下通路からクロックたち、一階探索班が倒れている部屋にたどり着いたランスは瞬時に状況を理解した。
腰に下げた鞘から剣をすぐさま抜きマクシスに向ける。
「自己紹介は必要ありませんか……あなたの名前を聞いても?」
「……僕の名前はランス・ウィリアム。お前を倒すものだ」
戦いはすぐにまた始まった。
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