41話 『わからないことだらけ』
(やっぱり改めて見ても意味がわからないなこれ……)
映像に映っていたのはハイウルフ視点の俺とゴーグの姿。
だがハイウルフの視点の映像は突然暗転した。
そう死んだのだ。
昨日会ったことだから鮮明に、はっきりこの時のことは覚えている。
改めてあの時の状況を考えてもなぜハイウルフが突然倒れて死んだのか俺には理解できなかった。
「まず聞きたいことの一つ目はこれだ。どうやってハイウルフを倒したのかだが……君のその顔からして君自身わからないといった様子だな」
「……はい。おかしな話ですけど俺自身どうやって……いや、どうしてハイウルフが死んだのかわかりません」
「……嘘はついていないな。そうか……なら二つ目だ」
「(まだなんかあるのか……?)何ですか?」
「僕は特別な力保持者でね……その力は見た対象のレベルをわかるというものなのだが……君を見たところおかしな点があった」
「おかしな点……?」
さらっと自分がスキルを持っていると暴露するランス。
そこまであっさり俺に教えるということはもう大体の人がきっと知っている情報なのだろう。
スキルか……。
(そういえば俺ってスキル持ってるのかな……?)
ふと俺は思った。自分はスキル保持者なのかと。
ゴーグが言っていたが特別な力はこの世界に生まれたものがまれにその身に宿す力。
スキルは持っているだけですごい力らしい。
そう俺にスキルの説明をしていたゴーグ自身、『自分はスキルを保持していない。スキル保持者が羨ましい……』と酔っ払いながら酒場でぼやいていた。
『俺もスキルがあれば人生変わってただろうな』
『そんなに変わるもんなんですか?』
『あぁ! そりゃ変わるさ! だって持っているスキルがどんなものであれ持っているだけで周りからちやほやされるんだぞ? それに冒険者でランクが高い奴なんてほとんどがスキル保持者だ。……世の中ぁ〜不公平だな〜。おら酒もってこぉーい!』
『ま、まだ飲むんですか!?』
☆☆
「その見た相手のレベルがわかるスキルで俺を見て……おかしな点って何ですか?」
「……君のレベルを教える。そしたらわかる……」
ま、まさかレベルが低すぎるとか!?
だとしたらショックすぎる。
ルレット夫妻の酒場でゴーグだけじゃなく俺はルールにも色々話を聞いてこの世界に関しての常識なんかをある程度知っていた。
その一つとしてレベル。
これは単純な戦闘力のこと。
魔物や人間と生き物ならどんなものにでも必ずある。
弱い魔物なら大体5レベル前後。
強い魔物なら15レベル以上。
この世界ではレベルによる強さ基準はほぼ決まっている。
人間の子供なら平均2、3レベル。
人間の大人なら平均5、6レベル。
冒険者で食っていこうと思っている人間なら低くても8、9レベル程度は必要らしい。
だから俺もそれぐらいのレベルはあるはず……というかないとまずい。
ちなみに自分のレベルを知るにはレベルを確認することができる魔法具のある店に行くか、買うかする必要がある。
もちろん魔法具のある店に行ってもレンタル料として金を払う必要があるようだ。
(自分の力を知るためにお金を払わなきゃいけないって……ひどい話だよな)
いつか自分のレベルを知るためにレベル確認の魔法具がある店に行こうとは思っていたがまさかこんな形で自分のレベルを知れるとは!
ワクワク感と不安感を同時に感じながら俺はランスの言葉を待つ。
「君のレベルはーー」
そしてランスの口から俺のレベルが明かされた。
「ーー?だ」
「…………は?」
だが明かされたレベルが、言葉の意味が俺には一切全く理解できず素直に疑問を口にした。
「えっと……ランスさんのスキルは見た相手のレベルがわかるんですよね? なのに?って……?」
「君が言いたいことはわかる。僕だってこんなレベルを見たのは初めてだ……僕のスキルが今まで機能しなかった時なんて一度もない」
ため息をつき、困ったようにランスは言った。
ため息をつきたいのはこっちだよ!
「だ、だったらどうして……!」
自分のレベルが知れると思ったのに明かされた自分のレベルは意味不明な数値ですらない?だ。
「その訳がわかっていたなら君に直接聞きにきてなどいない……まさか自分自身も理由がわからない……なんて……言わないよな……?」
頼むからわからないと言うな、そう言いたげに俺の目を見るランス。
俺が言う言葉は決まっていた。
一つしかない。
「わ・か・り・ま・せ・ん・よ!!」
ただ大声でそう口にした。
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