37話 『見つからない皮袋とランス』
「ここか? ……ないな……」
皮袋を探してまだ大して時間も経ってはいないがついそんな言葉を口にしてしまう。
部屋が広いわけでもないのになぜか見つからない。
これはどういうことなのだろう?
「皮袋をなくしそう場所は大体見たはず……」
本棚の下、中。机の下、机の引き出し。タンスの中……指を折って探した場所を数える。
探しても皮袋はなかった。
いったいどこにどうやって皮袋をなくしたのだろうか? 普通になくしたのなら今探した場所のどこかしらにあるはず……。
(もしかして片付けた本の中に挟んであるとかなのか!?)
いやでも皮袋にはお金が入ってるから持った時に音がしてわかるはずだ。
それにお金が入った皮袋はそれなりに大きいだろうから本の中に挟んであったのなら目立ってすぐにわかる気がする。
(……ん? ちょっと待て……)
俺は一度部屋に四つある大きな本棚をそれぞれ交互に見ながら考えた。
たしかに部屋の床には本などが散乱していた。
だからそれらを俺は全て片付けた。
本なら本棚に、紙ならまとめて机の上、小瓶とフラスコも机の上にといった感じで。
でもよく考えれば最初から本棚の中には本がいくつか収納されていた。
本棚の中に元からあった本には当たり前だが全然触れていない。床に散乱していた本なら手に取り本棚の中に戻したりするために触ったが。
(あれ……? もしかして元から本棚にあった本に皮袋が挟んであるんじゃないか……?)
そう予想した俺は最初から本棚の中に収納されていた本を探そうと一つの本棚に近付いく。
(……うん、どれが最初からあった本かなんて忘れたわ……)
もちろん俺が「最初から入ってあった本はこれとこれで……」と確認しながら片付けをしていたわけではないためどれが最初からあった本でどれが片付けた本かなんて覚えてはいなかった。
「……一冊一冊確認するしかないか」
本棚の中に入っていた一冊の本を取り中を見る。
面倒ではあるが皮袋を探すにはこうやって本の中を一冊ずつ確認していくのが一番無難だろう。
どうやらこの本の中にはないようなので取った本を本棚にしまい、その横に並んで置いてある本を手に取る。
(もしこれで本の中に皮袋がなかったら……違う場所にあるか……間違って捨てたかしかぐらいしか考えられないよな……)
ため息をはつきながら俺は面倒くさい作業を始めることにした。
「早く見つかってくれないかな……」
四冊目の本の中を確認しながら早く皮袋が見つかり、この作業が終わることを願いそう言葉をこぼした。
☆☆
「ついたな……」
冒険者組合からしばらく歩いたランスは足を止め、目の前に立つポーション屋【フェア】を見る。
ここにきたのはランス自身初めてではない。
それどころかランスはここの常連客といっても過言ではない。
冒険者ならば誰でも一度はお世話になる。
ポーション屋というのはそういうものだ。
しかもこの街にはポーション屋が二軒しかないためこの街で冒険者をしているものならポーション屋【フェア】にきた時のないものの方が少ないだろう。
またランクが高い冒険者であればあるほどポーション屋には度々お世話になる。
ランスもそんな冒険者の一人だった。
「店の中は……相変わらず人が全くいないな」
普通の店ならば客を迎えるために店内に従業員の一人や二人ぐらいいるのだが何故かポーション屋【フェア】の店内には人がいないことが多い。
なのにポーションを盗まれるという被害にはあっていないのだから不思議だ。
窓から店内を見たところ、どうやら今日はちゃんと人がいるようだ。
「モルス・ディアスの姿は見えないが……店の奥にいるのか?」
ランスはポーション屋【フェア】のドアを開き中に入った。
最後まで読んでいただきありがとうございます!ぜひブクマや評価、感想をくださると嬉しいです!




