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1話 『異世界初日』

「……うぅ、ん? ここは……どこだ……?」


 真っ白な光に包まれ意識を失った俺が目を覚まし最初に見たのは視界に映る一面の緑。

 俺は広い草原のど真ん中に倒れていた。すぐに立ち上がり服(黒のパーカーとジーンズ)についた草を手で乱雑にとる。


「……本当に転生したんだな、俺……」


今でも現実味のない転生神アマスとの会話が頭をよぎる。異世界に転生して第二の人生を送る

 まさか現実世界で元殺人鬼だった俺が……。


「異世界転生……聞いただけじゃ現実味に欠ける話だったが実際に転生させられたら理解するしかないな」


 俺の住んでいた街のあたりにあったのはただ大きいだけのビルに家々など。こんな広い草原はなかったはずだ。それに、


「こんなに空気もおいしくなかったな……」


空気さえも俺が元いた世界とは違っていた。工場や車から出る排気ガスが原因で俺がいた世界では大気汚染がかなり深刻化していて問題になっていた。無論、空気はまずかった。だがここの空気はなんだかやわらかくて、おいしいと感じた。


「いいところだな……! 異世界」


俺は異世界と元の世界とをくらべて心底そう思った。目に優しい緑、おいしい空気、しっかりと生きている自然。そのどれもが元の世界では俺が感じることができなかったものだった。


「よし決めた!」


 元の世界とは全く違うこの世界で俺はあることを決めた。


「まずは第二の人生……のんびり生きるか!」


 この異世界でのんびり生きよう。

 俺は元殺人鬼で人間の底辺でクズ野郎だ。それは変わらない事実だ。でもさすがにクズ野郎のまままた第二の人生を送るなんてごめんだ。

 第二の人生ぐらいまともに、のんびり、スローライフを送ろう!


 ☆☆


 しばらく雄大……と言っていいか不明だが自然豊かな草原をぼーっと見つめていた俺は当然のことを考えた。


「どこか……寝泊まりできるところを探さないとな。元いた世界みたいに廃墟で寝るとか、野宿するとかは嫌だからな……! じゃあとりあえずは寝泊まりできる場所として……宿屋でも探すか」


 広い草原を見渡せば少し先に簡素な木の看板があるのを見つけた。すぐに看板まで小走りで向かい書いてある内容を見る。


「『アフォレスト街、この先右に』か。街になら宿屋もあるよな……うん。なら行ってみるか」


 看板に書いてある通り右にあるであろうアファレスト街を目指して俺はなんの舗装もされていない凸凹な道を歩いていくことにした。


 ☆☆


 ーー元殺人鬼モルス・ディアスの異世界での初日もとい第二の人生が始まった。


 その人生の先にあるものとは、はたして……それはまだ誰にも、モルス自身にも分からない。


 これは神の気まぐれで元殺人鬼が異世界に転生し、転生した異世界で「スローライフ」を望み、第二の人生を送っていくただそれだけのお話だ。




最後まで読んでいただきありがとうございます!

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