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17話 『はじめての魔物討伐』

「……いたぞ。あれがリトルゴブリンだ」


「! あれが……」


 アフォレスト大森林にある茂みの中でゴーグがそう言った。俺もゴーグが見ている方向を見る。

 そこには緑色の肌をしていて、身長が低く、手に木の枝だったり木の棍棒を持っているそんな生き物が10匹いた。あれがリトルゴブリンのようだ。

 リトルゴブリンの顔つきはなかなかに凶悪な、何か悪いことを考えているのでは……? と思ってしまうような怖い顔をしていた。


「じゃあいくぞモルス! リトルゴブリンはゴブリン種の中でも最弱だが一度囲まれたらなかなかに厄介だからな、気をつけろよ!」


「はい! わかりました!」


 ゴーグの後に続き俺もリトルゴブリンたちが集まっている中に飛び込んだ。


「よし、いっちょ暴れるか!」


 背中に背負っていた戦斧(バトルアックス)の柄を片手で握り、ゴーグは武器を構える。


「(酒場であった時とは別人だな……本当に人って見かけによらないものだな……)」


 ゴーグの堂々と武器を構えるその姿は酒場で出会ったおじさんとは全くの別人だった。


「(……って何ぼーっとしてんだ俺! 俺もあんな冒険者になって、お金稼いで、この世界でのんびりスローライフを送るんだ!)」


 俺は手に持っていた短剣の鞘を取り、右手で短剣を持ち、構えた。


 ☆☆


「オラよ! っと」


 ゴーグは戦斧(バトルアックス)を勢いよく振るいリトルゴブリンたちを吹き飛ばす。吹き飛ばされたリトルゴブリンは立ち上がれないほどの攻撃だったのか立ち上がらないまま倒れていく。

 リトルゴブリンの群れと戦ってから五分。


「おいモルスだいじょ……」


 リトルゴブリンたちを吹き飛ばしながら戦っていたゴーグは自分の後方にいるモルスに戦闘中であるにもかかわらず目を向けた。リトルゴブリンのレベルは高くても5レベル程度。レベル20のゴーグからすれば油断しても勝てる相手であり、だからこそ取れる行動だ。目を向けた先には、


「ここで回避、次に攻撃!」


「……やるじゃねぇーか」


 リトルゴブリンの攻撃パターンをおおよそ把握したのかリトルゴブリンの攻撃を完璧に回避して攻撃するモルスの姿があった。リーチが短い短剣をうまく使うために近距離で戦うモルス。

 その姿は冒険者になったばかりのものの動きには到底見えなかった。短剣をどこかで使った時があったのだろうかうまく短剣を使っていた。

 素直にすごいと思ったゴーグは声を漏らす。

 だが次の瞬間、


「なっ!?」


 モルスはさらに驚くべきことをしてみせた。


 ☆☆


 集中、集中、集中。

 とにかく目の前の(リトルゴブリン)に集中して俺は短剣を振るう。使った感じはサバイバルナイフに似ていて使いやすかった。


「(アマスが言うにはゴブリンの心臓の位置は基本中心部分にあるんだったけ……)」


 リトルゴブリンが乱暴に振りかぶってくる棍棒での攻撃を回避して俺は集中(イメージ)する。

 リトルゴブリンの心臓を突き刺す感覚を。

 元いた世界で人の心臓を突き刺した時のことを思い出しながら。

 リトルゴブリン、人間に例えるなら5、6歳の子供ぐらいの身長。


 一撃で心臓を突き刺す。

 イメージしたなら後は早い。

 少しだけ態勢を低くしてリトルゴブリンとの間合いを一瞬で詰めて胸元にーー、


「(ここだろ)」


 短剣を突き刺した。

 瞬間さっきまで叫んでいたリトルゴブリンは何も言わなくなり死んだ。

 心臓をピンポイントで、それも短剣で深々と突き刺すことで。


「…………うまくできたかな?」


 リトルゴブリンの胸の中心部分に突き刺した短剣を引き抜き鞘に収めた俺は辺りを見渡す。

 あたりにはリトルゴブリンが合計10匹倒れていた。7匹はゴーグの周りに倒れている。俺が倒したリトルゴブリンの数は3匹のみ。

 これ俺の依頼なのにいいのかな……と仕事の半分以上をゴーグに任せていたのではないかという罪悪感のようなものを感じた。


「ゴーグさん、すいません! リトルゴブリンの群れのほぼ全部そっちに任せちゃって……」


「あ、あぁいいってもんよ! それよりこれで依頼は達成だよな? ならその証拠品の記憶水晶(メモリークリスタル)を回収するぞ」


「? は、はい」


 なぜかどこか動揺した様子のゴーグ。

 疑問に思いながらも俺は短剣をポケットにしまった。


 ☆☆


 ゴーグは驚きでしばらくの間固まっていた。

 リトルゴブリンを一撃で倒すのはそれほど驚くべきことでもない。レベルが高いものが力任せに武器を振りそれが当たれば一撃で倒せるぐらいに簡単なことだ。

 だが心臓をピンポイントで突き刺して倒すというのは簡単なことではない。それも体が小さいリトルゴブリンならなおさらに。

 モルスはそれをしてみせたのだ。

 それも冒険者としてはじめての魔物(モンスター)討伐で。


「(モルス……もしかしたらお前は凄い冒険者になるかもしれないな……)」


 モルスをバカにしていた組合(ギルド)の冒険者たちに今の攻撃(戦い)を見せたらあいつらはどういう反応をするだろうか……とゴーグは思った


 ☆☆


 今戦った魔物(モンスター)が人間に似た体格をしたゴブリンだったからこそ俺は短剣での一撃でゴブリンを殺すことができた。


 だけど少しだけこう思ってしまった。


 ファンタジー世界で魔物(モンスター)を殺すのも、元いた世界で人間を殺すのも同じ。


 簡単(・・)だな……と。



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