new life
1話より、これから書く量が少なくなりますが、よろしくお願いいたします。
4.old life & new life
並行世界での生活が始まって1週間がたった。寝床は研究室で手伝いをする代わりに研究員用の寮で過ごさせてもらっている。生活にはまだあまり慣れてはいないが、不自由はない。あと、いつも驚くのは鏡を見た時だ。新しい姿は本当にどこにでもいそうな高校生だが、鏡を見るたびに自分ではないような気がしてならないのだ。そういえば、最初にいた武装していた人は全員研究員だったそうだ。俺と剛士さんと一緒の寮にその何人かが過ごしている。彼らが何の研究をしているかは詳しいことはわからないが、国家公認の研究でたくさんのジャンルのことをしていることはわかった。ロボットとか時間旅行とか並行世界とか...... まぁまだ元の世界に戻れるめどはたっていないが、一応少しずつ並行世界の研究は進んでいるようだ。
この日の手伝いが終わって帰ろうとしたところ、剛士さんが俺のことを呼んだ。
「おい、おまえあっちの世界の今、気にならないか?」
そういえばこっちの世界からならあっちの世界を見ることができるんだっけ。
「少し気になりますね。見せていただけますか?」
そう言うと、剛士さんは腕時計をいじり、空気中にパネルを出した。
「ほら、こっちへ来い!」
「あ、はい!」
そう言い剛士さんの近くに行き、パネルを見ると、俺の友人たちが映っていた。
「勝手におまえの身辺調査しちまって悪かったな」
「いえ、別にけっこうですよ。隠すことなんか一つもないですし......」
そう言うとまたパネルの方に目を向けた。
友人たちはいつも通り、カラオケに行き、普通に楽しんで帰っていった。本当に普通だったので、剛士さんは俺に何を見せたかったのかわからなかった。
「これを見てどう思った?」
「......いやー、普通ですね。」
どういうことだろう?と思ったが率直に答えた。
「そうなんだよ。お前がいた時と全くと言っていいほど変わっていない。だからあんまりめんどくさいことにはなんなそうだし、こっちの世界に来たのがお前で良かったよ。」
「......そうですか。」
この時感じたのは、これ以上迷惑をあまりかけなくてすむ安心感と自分の存在価値の無さへの悲しさだった。結局こっちの世界に来てからも、毎日研究の手伝いをして帰るだけ。
――――ホント俺って何から何まで普通なんだな......生まれてから普通じゃないことが起きたのってこっちの世界に転移したことぐらいかな......?
少し考えていると梨花さんがワープしてきた。
「あー!あっちの世界の映像見てたんだ!?どう?帰りたくなった?」
「そりゃあも...」
もちろんと言いたかったが言おうとした瞬間さっきの映像が脳を横切った。
「今はあまり帰りたいとは思ってないです。」
そう言うと梨花さんは剛士さんの方を向いて睨んだ。
「剛士!あんたなんか言ったでしょ?」
「ん?いや、俺はこいつがいなくてもあっちの世界がほとんど変わってなかったから良かったなとしか......」
「......あんた無意識のうちに今までたくさんの人を傷つけてきたのね。」
「ええー?俺なんか傷つけるようなこと言った?」
「言ったわよ!」
「マジか......透、すまなかったな。」
「いえ、別に本当のことしか言われてませんから......」
「だとよ。ほら、俺なんも悪いこと言ってないだろ。」
「あんたそれマジで言ってるの?」
「?、おう」
「本当にヤバいやつだな......」
そして梨花さんは視線を僕に移した。
「で、透君は本当に帰りたくないの?」
「......はい」
俺は、初めてかもしれない並行世界へ転移したような特別なこと、それをいかしてもっと特別なことができるかもしれない、と久しぶりにポジティブに考えることにした。
毎日更新とか言う人いるけど俺には無理そうだな。更新遅いけど、読んでくれる人がいればこれからもよろしくお願いいたします。