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少年Z  作者: 髙田田
五月・上
66/123

・五月十日、ゴトウの日

 少年は壮年の男を、ず~っと前にして深く悩み込んでいた。

 朝方、遅めのブランチと洒落込んでいたところに一機のヘリコプターが上空を通過。

 ドローン化された右六門、左六門、計十二門のキャリバー50の高射砲が自動追尾し、クリック一つで撃ち落せたのだが、ついぞ撃墜の機会を逃してしまった。

 人工島部分の端にヘリが着陸してしまったからだ。

 着陸してしまったものは、いくらなんでも撃ち落せない。

 彼の見守る中、悠然と、肩で風を切りながら歩んでくる壮年の男。

 ゆっくりと、確実に、着実に、歩んできた。

 ちなみにD滑走路の人工島部分。長さが約2km存在する。人間の歩行速度はおよそ時速4kmである。

 少年が思い悩んでいたのは、彼が辿り着くまで何をしてようかなというその一点。

 いきなり空から訪れたとはいえ、来客は来客。

 けれど、ヘリコプターが着地したのは2km先。

 悠然と歩きながら、時折、個人携行の無線になにやら怒鳴りつけている男の姿を見て、あぁはなるまいと少年は心に固く誓った。

 ――――あの人、超カッコ悪い。


 ヘリコプターが人工島の端に止まった理由、それは歪な高射砲の存在であった。

 少しでも有効射程外に離れようとした結果の不幸な事故であった。


 何だかんだで二十分ほど、ボンヤリと朝食後のお茶を楽しみながら待ち続けていると、人工島と桟橋要塞の間に設けられた跳ね橋の前でようやく少年と男は対峙しあった。


「俺は元陸上自衛隊、第十二旅団の後藤だ。今日は相談があって来た」

 少年は深く悩み、そして心の底から正直に語った。

「現状、無職の後藤さん。何の御用でしょうか? うちでは就職相談は受け付けておりませんが?」

「そうじゃねぇ!! 誰が無職だ!!」

「え? ――――それじゃあ、今の後藤さんのご職業は? あと、年齢も添えていただけると助かります」

 迷彩服に身を包んだ、厳つい顔の男が苦悩に身悶えした。

 少年の残酷な言葉のナイフが、顔に似合わぬ繊細な心を切り刻む。

「――――無職……無職だ!! 三十六歳、後藤弘信、無職だ!! 何か問題あるかっ!?」

「いえ、全く何も? ただ自衛隊を辞職して、その後に強盗や海賊になってしまった方を数多く知っていますので……無職の方なら大歓迎です。三十六歳の無職の男性なら歓迎しますよ」

「自衛隊が強盗や海賊だと? ――――そりゃ、どういう話だ?」

 いぶかしむ男に少年は語って聞かせた。

 まず、都内に残り、多くの民間人を助け、その後、使えない人間を切捨てていき、やがてただの強盗に成り下がった男のこと。

 次に、防衛省から決死の脱出行で海に逃げ延びた後、自分達の正義の旗の下、民間人に銃を突きつけ食料と燃料を要求した海賊達のこと。


 話を聞いて、暫くの間、男は黙して語らなかった。

 なので少年はティーパックの玉露をチャプチャプさせて寛いでいた。五杯目までならお茶っぽい味がする。

 六杯目でも、お茶の気分だけは楽しめる。

「そうか、解った。――――そういうことがあったんだな。なら、これだけの用心も納得だ」

 男の中で、何かの決着がついたようだった。


「それで本題の相談なんだが、この滑走路を貸して欲しい。可能なら屋根のある寝床の用意の手助けも頼みたい。さらに欲を言わせて貰うと暖かい食事の用意、これも手助けして欲しい」

「解りました」

 男が拍子抜けするほどの即答。

 滑走路を貸して減るものは無い。

 屋根のある寝床ならバスや乗用車の類が幾らでも転がっている。

 暖かい食事は、お粥で十分だろう。

 それで文句を言うならインスタントラーメンだ。

「――――話が早くて助かるが……本当に良いのか? 今まで、強盗や海賊達に成り下がった……元自衛隊に襲われてきたんだろう?」

「えぇ、構いません。そんな些細なことを気にするほど、ボクは小さな男に成り下がったつもりはありませんから」

 少年はにこやかに微笑んで続けた、

「それで、借地料と宿泊費。それからお食事の代金は何で支払っていただけるのでしょうか?

 もしも無償で寄越せと言うのなら、それは無職ではなく空賊なので高射砲を撃たなければなりません」

「や、山本ぉぉぉぉぉ!! お前の出番だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 強面の男が無線に向かって泣きついた。


 ◆  ◆


 そのヘリが一機だけなら撃ち落すことは容易いことだった。

 だがしかし、報復攻撃が水平線の彼方から巡航ミサイルの形で飛んできてもおかしくもない。


 ――――正直、冷や汗ものの交渉。

 滑走路の利用と、寝床の用意くらいならお安いものだった。

 ただ、弱気に出て、物資の全てを毟り取られては敵わない。

 だから、その為の言葉の応酬だったのだけど。ちょっと、やりすぎたかな?


 彼らが元自衛隊を名乗ったのは、理不尽な上の決定に逆らった意趣返しのストライキ。

 防衛省からの脱出行。そこに自分たちの助力があれば、大きな助けになるはずだった。

 だけれども、政府の思惑や、時期、色々なものが絡み合って身動きがとれなかったそうだ。

 結果として生まれたのが新生自衛隊。自分たちだけを衛る隊こと海賊団だった。


 こちらは自衛隊に見捨てられた身の上だ。

 彼等を見殺しにするのは当然のことであり、身を削ってまで助ける義理はほとほとに無い。

 死守されたライフラインを利用させてもらっているボクとしては、特に恨むところは無いのだけれど、世間一般の意見は違うようだった。


「つまり、防衛省の中に実は核シェルターが存在して、その中には未だ一千名近い避難民が取り残されているんですか?」

「はい。本来は百人が三十年は暮らせるだけの用意があるのですが、一千人を収容するような構造にはなっていません。そこで我々が独自に救出に来た次第です」

 ――――以前、防衛省に核シェルターは無いって聞いたんだけどなぁ?


「ところで防衛省がZに襲われてから二週間ほどですよ? 山本さんは時間経過とか考えてます?」

「百人が千人になり、三十年が三年になったとしても、救出が早すぎるということは無いと思います。一月以内にはこちらの滑走路上に受け入れ態勢を整え、その上で作戦を行なわせて頂きたいのです」

 山本梓さん。冷たい視線で後藤さんを見据えるその瞳が力関係を解らせてくれる素敵な女性だった。


 後藤さん、現場では相当のやり手らしい。

 後藤さん、現場以外では相当のポンコツらしい。

 本来、会計が任務の山本さんがこの商談の席に着いているのもそれが原因みたいだ。

 けどなぁ、二週間だよ? ……でも、まぁ、いいか。人助けになる良い話だ。


「つまり、民間人を助ける燃料は無くても、自衛官の妻子を助ける燃料はあると――――解りました。お断りします。どうぞ佐渡島から直接ピストン輸送でもなんでもご自由にしてください」

 ……ん? 今、何を言った? この口は。

 ――――おかしい、こんなこと、口にする予定じゃなかったのに?


「おい、クソ餓鬼!! 防衛省の地下には千人の女子供が居るんだぞ!! 解ってんのか!!」

「おい、クソ無職。ボクが無線を通じて何十万の助けを呼ぶ声を聞いてきたのか解ってますか?

 ――――全て、きちんと、把握できるだけの情報を防衛省にメールしました。

 全て、きちんと、握りつぶされました。貴方達に恨みはありません。

 でも、ボクには貴方がたを助けられない理由があるんです」


 口からスラスラと淀みなく這い出てくる言葉の群れ。

 おかしい? 口と、頭が繋がっていない。口が、どこか別の場所に繋がっている、

 彼らは佐渡島からヘリコプターを飛ばせる燃料を持ち、救出に使えるだけの燃料を持っている。

 なにより銃口を向けず、理性的に話し合えるだけの人間性を持っている。

 今、ここで仲良くしておいて損は無い――――ハズなのに。


「女子供を助けられない理由ってなんだ!? 言ってみやがれ!! くだらねぇ理由なら撃ち殺すぞ!!」

「後藤さん!! 落ち着いてください!! 銃は!! 子供相手に銃は不味いです!!」

 女子供を助けられない理由?


 ――――ボクの、その理由?

「ボクの自宅は世田谷にありました。そこには父さんの昔の趣味の立派なアンテナがあって、とてもとても遠いところからも無線を受信出来たんですよ。元自衛隊の三十六歳無職な後藤さんなら解ると思いますけど、ハム無線って法律を気にしなきゃ結構遠くまで届くんですよねぇ~」

「いちいち無職を挟むな!! 撃ち殺すぞ!!」

 どうぞ? その拳銃で、この三重のライオットシールドを貫けるものなら。

 9mm拳銃ですか、じゃあ一枚目すら破れませんね。残念です。撃ってくれたなら――――撃ち殺せるのに。


「都市部が見捨てられ、地方も見捨てられ、十人単位、百人単位の小さな集団が、口々に救援のメッセージを送ってくるんですよ。ネットの無い田舎、電気が届かなくなった土地、なんてのがあっても無線の電波は結構届くんですよ。ほら、昭和の時代に流行りましたから、機材だけは何処にでも転がってたんですね」

 アマチュア無線の電波は思いのほか遠くにまで届く。

 電波法を無視してその気になれば、お隣の国にだって届くんだよね。

 やりすぎるとパーツが焼けちゃうこともあるけど。


「それを一つ一つ拾い上げて、防衛省にメールしました。住所、人数、窮乏状態。拾える情報は全て拾って纏め上げ、メールしました。でも、一通も返答はありませんでした。もちろん、助かったという返事を返してくれた人も居ませんでした」


 あぁ、そうだった。

 何でボクが無線に張り付いていたのか。

 ――――それがボクにできる最後の手助けだと思ったからだ。

 でも、そのうち一月、二月、半年、窮乏状態が悪化してきて。


 ――――それから、

「皆が助けを求めました。そして、皆が助かりませんでした。飢えが、Zが、絶望が、彼等の心を蝕んで――――最後に皆、決まってこう言うんですよ。

 ……俺の声、聞こえてるんだろ? ――――地獄に落ちろ」


 何十、何百、何千だろう?

 幾度となく聞いてきた言葉です。はい、聞こえてました。この耳には。

 何万通のメールを、思いつく限りの部署にちゃんと送信しましたよ?

 出会系サイトの跡地から拾い上げて、自衛官の個人的なメアドにも送らせていただきましたよ?

 えぇ、アンプにかけて、ノイズを消して、一生懸命意味の通る文章に立ち起こして……。


 ――――それで、何人助かったのか。

 わかりません。誰一人として感謝の無線も感謝のメールもくれませんでしたから。

 皆がくれたのは、怨嗟の無線だけです。何人助かったのかなんて、ボクは知りません。


「メール、送りました。たくさんたくさん送りました。でも、誰も助けてもらえませんでした。

 質問です。防衛省のシェルターの中に居る人達は、なんで助けてもらえるんですか?

 自衛隊の関係者だからですか? 人間として偉いからですか? 人間として特別だからですか?

 貴重な燃料と補充の当ても無い貴重なパーツを消費してまで助ける価値のある人達なんですか?

 ボクがメールして救援を求めた人達と、シェルターの中の人達の違いを教えてくださいよ?

 助かる人と、助からない人。その基準は、一体、誰が決めてるんですか?

 お願いします、それを教えてくださいよ……。

 その人に皆の言葉を伝えてあげたいんです。何百万人分。――――地獄に落ちろって」


 気がつくと、うずくまって泣いていた。Zの赤ちゃんのようになって。

 まもりと朱音が走ってきて、引き摺るようにしてボクを車まで運んでくれた。

 頭は働いているのに、身体はまったく動かなかった。

 指一本、瞬きも面倒くさくて、呼吸も止めてしまいたかったのに……肺と心臓だけは勝手に動いた――――もう、本当に、面倒くさいのに……。


 ◆  ◆


 航空関連の兵器類はパイロットよりも、整備士の数が多くなければ話にならないもんだ。

 最大五十五人乗り。こんな状況では救援に向かうのに最適なヘリ、CH-47JAを利用すれば救出は可能だった。

 ただし、一度飛ばす毎に部品は確実に減る。

 ガキが言ったように、新品のパーツが補充される予定は今のところ無い。

 元々、自衛隊の戦略はアメリカ軍の軍事力を背景として、一週間程度を持ち堪えるために組織されているんだ。

 戦争しながら悠長に精密部品を作っていられるような超大国様とは訳が違うんだよ……。

 一つ一つの部品が特注品で万の種類。幸いアメリカ軍のチヌークとも共用の部品は多いが、肝心要のアメリカ軍が居ないんじゃなぁ。


 何て言ったかなぁ。こういうの――――エリクサー病だ。

 ラスボスまでどうしても溜めちまうんだよな。さらに、最後も使わずに終わっちまうアレに似てる。


 ガキが倒れて戸部の奥さんが飛び出して来てきた時には驚いた。

 ガキの名前は田辺京也――――十六歳。俺の一方的なメル友だな。

 何処でどう嗅ぎ付けたのか、俺の個人的アドレスに難民情報を送りつけてきたガキだ。

 ガキがわざわざ送りつけてくるまでもなく、自衛隊のアンテナは全ての無線情報をキャッチしてたよ。

 映画じゃねぇんだ。情報収集でプロが民間人に負けるわけが無いだろ?

 アイツの努力は無駄な努力だったんだよ。まぁ、敢闘賞はくれてやるよ。


 民間人が救援を求めている情報を入手した上で、自衛隊は動かなかった。

 正確には政府だけどな。


 ――――部品、減るからなぁ。

 チヌークの羽音が長岡にZを呼んじまうからなぁ。

 そこまでして助ける価値は無いって政府に判断されちまったからなぁ。


 救出任務はヘリを一機飛ばせばそれで任務完了になるわけじゃない。

 救出時には必ず、地上でZとの激しい戦闘が待っている。

 日本の建物の多くにはヘリポートなんて気の利いたものは無い。

 ヘリの爆音と共に地上に降りて、民間人を護送し、四方八方から涌いて出てくる全力疾走のZを片端から撃ち殺して、ようようの体で逃げ延びて、長岡ではまた羽音につられたZとドンパチだ。

 ――――俺みたいな数字に弱い馬鹿が考えても割りにあわねぇ。


 限られた食料、限られた油、限られたパーツ、限られた弾薬、限られた兵員、限られた行動。

 上が白と言えば白。上が黒と言えば黒。まったく、嫌になるほどホワイトでブラックな企業だ。

 なにせ、その肝心の上は常々グレーとしか言わないんだからな。

 白も黒もお前が言った扱いだ。戦争と殺人の責任は政府じゃなくて自衛隊にあるんだとよ。


 ――――迷惑メールに指定することも出来た。

 でも、やらなかった。なんとなく、それは逃げた気になったからだ。


 ただの座標と人数と食料品等の羅列表。

 無機質な一覧表が、僅かずつ数値を減らしていった。

 食料品が減り、人数が減り、空行が生まれた。

 行は増えたり減ったりを繰り返し、やがて減り続けて、

 ――――そして、ついこの間。環七からZが湧き出して以来、メール自身が届かなくなった。

 あぁ、ついに死んだかと思っていた。


 送信者名、田辺京也。

 そういや、思い出してみると自分自身の救助を求めるメールは一通も無かったな。

 ここの生活を見る限り、そりゃ外からの助けなんか必要なかったんだろうさ。

 米があって、缶詰、レトルト、まさかのアイスクリームと来たもんだ。

 佐渡島ですら不足していた抗生物質の類でさえ、何でもござれだよ。


「山本、盗むなよ?」

 女性向け生理用品に手を伸ばしてビクっとしやがった。

 佐渡島にだって日用品に生活雑貨はある。ただし、基本的に人数割りだ。

 消費の平等。これこそ社会主義の見本だな。


「後藤さん、盗まないでくださいよ?」

 いや別にコレは盗もうとしたわけじゃねぇぞ?

 ちょっと、この書物は青少年には目の毒なのではないかと確認してみただけだ。


 ――――たった六人のためには異常な量の物資の溜め込み。

 一緒に着いてきた他の隊員たちも、デパートに来た子供みたいに目を輝かせてやがる。

 だけど……この異常な物量は、外部への不信感そのものなんじゃねぇのか?


 そう思っていた矢先だ、

「吉村ぁっ!! 盗むなっつっただろ!!」

「い、いや、貰ったんですよ。同じものが余ってるからって……」

 手には最新のゲーム機。

 確かにこの状況だ、余ってるのかもしれねぇ、が、

「――――返してこい。

 今の自分の状況、相手の置かれた状況を良く考えろ。

 倒れたガキのために衛生兵の川上が付きっ切りの状態。

 そのガキに守られてた、四人の女の子と戸部の奥さん。

 くださいと口にするのと寄越せと口にするのに、どれほど違いがあると思うんだ?

 俺達は強盗か? 海賊か? ヤクザか何かか? それが解ったなら、とっとと返してこい!!」

 吉村は残念そうに、苦い大人の表情をして、トボトボと返しに……。


「え!? 在庫が二百個くらいあるから良いって!? マジで? 貰っちゃうよマジで!!

 予備も五個くらい? うわっ、隊の連中が喜ぶわ!! ……あ、コレって据え置きの? これも良いの?

 いや、流石にコレは……在庫が百以上ある? うん、ありがとう。大事にするよ!!」

 ――――コイツは想像の斜め上のワンダーランドだな。本気で頭が痛くなってきたぞ。


「ぐぉらぁ!! 吉村ぁっ!!」

 ――――ちっ、逃げやがったか。


「あ、スマン。お嬢さんを驚かすつもりは無かったんだ。そう怖がらないでくれ」

「は、はい。大丈夫です。ちょっと、顔が怖くて驚いただけですから」

 ――――っく、凄く鋭い角度で心を刺されたような?


「ここじゃ、いつもこうなのか? ……その、田辺京也が倒れていても普通にしてるのか?」

「田辺くんは……心配されるの嫌がるんです。誰かに心配を掛けている自分が嫌いなんです。私達にはいつも笑っていて欲しい――――なのに、心配かけるようなことばかりして……矛盾、ですよね?」

 あ、ヤベェ。この女は――――泣く。

「いや、矛盾じゃねぇぞ!! 惚れた女に心配掛けたくない! 惚れた女には笑っていて欲しい! それを両立させるために男は自分を鍛えるんだ!! つまり、お穣ちゃんこそがアイツの力の源ってわけだな!! 愛の力って奴だ!!」

 よし、上手く誤魔化せた!!

 顔を赤くして、なんか乙女の世界に入ったぞ。今のうちに尻尾を巻いて逃げちまえ。

 ――――くそっ、どうなってんだ、この島は!?


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