5話
遅れました
「グヘヘへへへへ」
雷華は今、一人の男に絡まれている。男は鼻の下をだらしなく伸ばし、いやらしい目で雷華を舐めまわすように見ている。
そういう目的で絡んできていることが一目でわかる。
「あの、ものすごく邪魔です。そこどいてくれませんか?(消えろ消えろ消えろ)」
「そんなこと言わずによぉ〜俺が可愛がってヤるからよぉ〜」
雷華にピキリ、という音が立ちそうな青筋がたった。しかし男は気づかず続ける。
「なぁ〜一緒にこいよぉ〜」
ビキビキビキッ
「黙れ死ね糞ゴミムシ、その猿ズラ踏みつけられたいの?てめぇみたいなのが女に話しかけるとか身の程知らずにもほどがあるんだよ、アホなの?バカなの?死ぬの?というか死んで、マジで(これは絶対ギルティ)」
「っな⁉︎」
男が雷華の言葉に驚いている間にレッサーウルフ化を足にかけ、上がった瞬発力で男との間合いを一気に詰め、渾身の蹴りを男の股間に放ち、後退し魔獣化を解く。
「ーーーーーーーーーーーーーーー‼︎⁇」
「じゃあバイバイー、変態男」
雷華に視線を向けていた男たちは思わず股間を抑えた。
その後、この街に雷華に絡む者はいなくなった。
ギルドについた雷華は掲示板にで良い、かつ安全な依頼がないか探しだす。依頼の中には倉庫の解体、荷物の運搬など、よく異世界物などである雑用依頼と言うべきものが、いくつか混ざっていた。
その中で雷華が選んだのは、
「武具屋の売り上げの計算、この世界は定番どうり計算できるのが限られた人間ってやつなんだろうな」
魔法の練習本を借りたあと早速雷華は受付に依頼を持っていき、ゲルト武具屋の場所を聞き、武具屋に歩いて行った。
「ハロー誰かいますかー、依頼受けた冒険者ちゃんだよー計算できるよーおーいおーい」
「やかましい!ワシはここにおるわい!」
雷華が声のした方、下を向くとそこには
「マジすか」
身長は雷華の胸下ほどの大きさ、モジャモジャの髭と髪を生やした人物、いわゆるドワーフがいた。
「ドワーフであってるよね?」
「そうじゃ、ワシはドワーフじゃ文句あるか!」
「いやいや文句は全くもって全然ないんだけど。バルトさんだよね。依頼受けに来たんだけど」
「お主本当に計算できるんじゃろうな?見たところ貴族の出ではなさそうだが」
「えーと、ほら、イレギュラー、イレギュラー」
「…まぁ、良いが。そこの袋に入ってるのが今月の売り上げじゃ」
バルトに言われ袋に手を伸ばしたところで、雷華は重大な事に気づいた。
「すんませんバルトさん….」
「ん、どうした。やっぱり計算できるというのはハッタリか?」
「通貨がわかりません。銅貨って何セト?」
それを聞いた途端バルトはずっこける。
「なっ、お主、そんな一般常識も知らんのか!」
同時に計算できるということに対しての疑いが深まる。
「んー、一般じゃないから、私イレギュラーだがらしょうがないよ、しょうがない。」
「あー、まぁ、いいわ。銅貨20枚で銀貨1枚。銀貨30枚で金貨1枚じゃ。あとは、めったに見ることはないが、金貨50枚で水晶貨になる。わかったか?」
「はいはいOKOK早速計算しまーす」
そのまま袋の中身の計算を始め、だいたい昼過ぎに終わった。
バルトは夕方までかかると思っていたため、雷華の計算の速さに感心し、そして年に会わない計算速度に疑問を覚えた。
実は雷華は実際の年齢、17歳よりも低く見られている。
計算を終えた後、雷華は店の手伝いをして過ごした。
結果バルトに報酬を増額してもらえ、2日分の宿代を稼ぐことができた。
初めての報酬に浮かれながら雷華は宿へ帰っていった。