3話
「へー、ここが冒険者ギルドかぁ」
ギィーという音をたてる扉を開け、中に入る。
中は案外綺麗で雷華は驚いた。もっと酒場のような場所だと思ったからだ。いつまでも入口に立っているのは迷惑だと気づき、正面の受付と思われる場所に歩いていった。
「ようこそ冒険者ギルドへ、ご用件はなんでしょうか」
「新規登録をしたいんだけど、ここであってるよね?」
「はい、ここであっていますよ。こちらが登録用紙です。必要事項を空欄に書いてください」
「あ」
「どうかしましたか?」
「あ、いえ、なんでもない。(文字の読み書きができるようになってるとか、邪神にしては気を利かせたなぁ)あ、これでいい?」
雷華は必要事項を書いた紙を受付に渡した。
「はい、これでいいですよ。(ライカ・クロイ珍しい名前ですね…)最後にギルドについての説明をしますね。ギルドでは、入って左手にある掲示板に張り出された依頼から選んで依頼を受けていただきます。また、緊急依頼、指名依頼もあります。これについては後で説明させていただきます。冒険者同士の争いにはギルドは関与しません。ここまではよろしいでしょうか?」
「うん、大丈夫」
「依頼にはFからA、冒険者にはFからSのランクが設けられています。例外をのぞき、自分のランクより一つ上か、一つ下の依頼しか受けることはできません。ただし、パーティを組んだ場合は自分のランクより二つ下ランクの依頼を受けることができるようになります」
何故ランクより一つ下の依頼しか受けれないのかというと、高ランクの者たちが依頼をとっていくせいで低ランクの者たちの成長の妨げとなるないようにするためだ。若い冒険者が育たないことはギルドにとって、良いことではない。
「次にモンスターの討伐についてです。モンスターにも、FからSのランクがつけられています。F、E、Dのモンスターは個人でも討伐できますが、CからAのモンスターはパーティでの討伐が基本となります。AランクやSランクの人たちが個人で討伐していることがありますが、絶対に真似しないでください。死んでしまいます。」
「そんなこと真似しないよ!」
「そうですか、それは良かったです。新人のかたで挑んで死んでしまっている方が毎年いますので。では続きを話しますね。Sランクのモンスターは緊急依頼が必ず出ます。遭遇した場合は必ず逃げてギルドに伝えてください」
「はーい」
「最後に緊急依頼と指名依頼についてです。緊急依頼は早急に対処しないと大きな被害がでる場合にでます。これは強制です。必ず受けていただきます。受けなかった場合はギルドからの除名と罰金、その他のペナルティがかせられます。指名依頼はその名のとうり依頼者が依頼を受ける冒険者を指名します。受けるか受けないかは冒険者次第です。緊急依頼と違って罰はありませんので安心してください。また、ある程度有名にならなければ指名されることはありません。何か質問はありますか?」
「えーと、じゃあ、ギルド通さずに依頼受けるのって可能?」
「はい、可能ですがだいたいが、ろくでもないのでやめた方がいいです」
「依頼受けてないんだけどモンスターの買取っできる?」
「はい、依頼中にモンスターを倒す場合もありますので買取はできますが?」
「えっと、じゃあこれ、買い取れる?」
「!」
雷華が取り出したのは最初に倒したレッサーウルフだ。剥ぎ取りもしていないが、ダメもとで聞いてみたのだ。
一方、受付は何もない所から物が現れたことに驚愕していた。
「あ、はい、レッサーウルフですね。剥ぎ取っていませんので多少、値は下がりますがよろしいでしょうか」
「うんOKOK全然よろしいよ」
「では、150セトになります。あの、いま、何処から…」
「秘密に決まってるじゃん。あ、そうだ、オススメの宿ってある?ただし150セト以下でお願い」
「もしかして、無一文だったんですか?」
「イエス!当たり前!」
「…そうですか。えーと150セト以下となりますと、 鳥の翼亭 ですね。ライカさんのようにお金のない新人冒険者にはオススメの宿です」
「ありがとうねー、受付さーん」
雷華はそのままギルドを出ていった。
「まずは宿にれっつらごー!」