2話
難産でした。
ある1匹の狼は疾走していた。風の様な速さで。その狼を見た物は皆、目を奪われていた。白銀色の美しい狼に。
(早く街まで行って野宿から解放されるんだ!美味しいご飯が食べたいんだよぉぉぉ)
雷華は狼の体をフル活用して街まで走っている。途中、人間を何人か見かけたが狼の姿で話かけるわけにもいかず、無視して走っていた。今思えばその人達と街まで一緒に行けばよかったと後悔するが全てあとの祭りだ。
(お、街が見えてきた。宿屋とご飯、私を待っててねー)
(暇だなぁ、まぁその方が俺も仕事無くて楽だけど)
カールは門番だ。主に詰所で冒険者や商人達のギルドカードの確認や、ギルドカードを持っていない者をギルドまで連れて行ったりする仕事をしている。門の前に立っているだけが門番ではない。
普段はある程度仕事があるのだが、今日は午後から誰も来ておらず、暇だった。
「おーい、カール仕事だ。」
「あいよー」
ギギィ という音を立てて詰所の扉が開き、中から現れた 彼女 にカールは目を奪われた。
歳は15、16ぐらいだろうか、白銀の髪に金と銀のオッドアイ、整った顔立ち、黒に白いラインの入った変わった服をきた、とても神秘的な女性だった。
「ギルドまで案内してくれるんですよね。よろしくお願いします」
「あ、あぁ、はい」
ギルドに行く途中でカールは彼女と話して見ることにした。
「え、えぇと、あ、そういえば、な、名前はなんて言うんですか。お、俺の名前はカールと言います」
「黒井 雷華、あー、いえ、ライカ・クロイと言います」
「あ、あぁ、ライカさんと言うんですか(俺は何聞いてんだ、というか俺は何でこんなに動揺してんだよ。ああもう会話ふったから続けないと不自然になるだろうが。えぇーと、えぇーと)ラ、ライカさんは、どうしてこの街に?」
「あ、えぇと、秘密です。まぁしいて言うなら、なりゆきですかね」
「はぁ、なりゆきですか」
ライカのなりゆきと言う言葉を聞いてカールは質問をやめた。きっと深い事情があるに違いないからだ。これ以上聞けば彼女の傷をえぐりかねない。それだけは避けたいとカールはライカを赤くなった顔で見ながら思った。
「あ、私からの質問もいいですか?」
「あ、い、いいですよ」
カールは赤くなりながらライカに返事をする。その返事を聞いたライカは質問をしてくる、その質問にぼーっとしながらカールは答えていった。幾つかの質問に答えたところでカールとライカはギルドの前についた。
「あ、そうそう、これから冒険者として行動して行く上で門番のカールさんには色々とお世話になると思うので、敬語で話すのはやめませんか?私も堅苦しいの苦手ですし」
「え、あぁ、はい!」
「よかった。じゃあ、ギルドまで案内してくれてありがとう、カール。」
「お、おう、な、なんてことは、な、ないさ。こ、これも仕事だからな」
「それじゃ、またねー、カール」
「ま、またな、ライカ」
カールはその日、ライカという名の好きな人ができた。
雷華は天然タラし疑惑。