プロローグ
新しく、はじめました。
「こんな奇跡的な不幸があるんだ」
黒井 雷華は壊れた6台のゲーム機の前で呆然と立ち尽くしていた。
「この三連休は遊び倒すと決めていたのに…。何故、どうして、全て同時に壊れるんだ」
そのまま雷華は後ろのベッドに倒れる。修理すればいいと思うかもしれないが、雷華この三連休のためにゲームソフトを大量購入しているため凄まじい金欠だ。当然、修理代などあるわけがない。よって、
「この三連休、どうやって過ごせばいいんだよ‼︎」
暇になってしまったのだった。
「マンガっマンガっ楽しいマンガっ、立ち読みっ立ち読みっ楽しい立ち読みっ」
雷華は今、市内にある某古本屋に向かって通りを歩いている。ゲームが壊れ、暇を持て余していた雷華だったが、休日2日目に
「そうだ、マンガを読みに行こう」
と、思いたったからだった。
「なんか面白いのあるかなぁー、楽しみだなあー、というか何で早く気づかなかったんだろ、1日無駄にしたなあ…?」
雷華の目の前に不自然な歪みが現れる。
そしてすぐに消えた。普通の人間なら、立ち止まるなり、驚くなりするであろうこの現象を雷華は
「最近よく見えるんだよなー、やっぱりゲーム疲れ溜まってるのかなぁ。今日はちゃんと寝ないとなぁ」
疲れのせいにして気にも留めなかった。
「やっぱりゲーム機が壊れたのは、神様の休みなさいという御達しなのかなぁ。
なんちゃて」
そう、独り言をいいながら軽く走りだした。いや、正確には走りだそうとした。
しかし
「え、あ、ちょ、ま⁉︎えぇぇぇえ‼︎」
目の前に突然現れた赤黒い玉に吸い込まれてしまったのだった。
雷華が消えたにもかかわらず通りを歩いていた人々はなにごともなかったかのように歩いている。そう、まるで
黒井 雷華という人物が存在しなかったかのように