表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

企画参加短編集

歩いていく、その先に

作者: 高砂イサミ


 ここから見える空の裾も、だんだんと明るくなってきた。

 わたしは思いきりのびをする。今日もいい天気になりそうだ。


 ――みんな、おはよう! 一緒に歩く練習をしない?


 わたしのまわりには、わたしと同じようによそから集められてきたコたちがたくさんいる。みんなまだ眠たそうで、いつものように、あんまりいい返事はなかった。



 ――できないわそんなこと


 ――できないわ。できっこないわ


 ――やる必要だってないんだもの


 ――どうして、必要ないことをしようとするの?



 必要、ない。

 確かにそうかもしれない。だけど禁止されてるわけじゃないのにな。やろうと思えばできるはずなのにな。

 どうしてみんな、やろうとしないのかな。


 ……さびしいな。


 本当はみんなと一緒なら心強いんだけど。仕方がないから独りで歩く練習を始める。

 まだカラダはあまりうまく動かない。それでもここへ来たばかりの頃よりずいぶんとましになった。

 無理をすると後であちこち傷むから、ゆっくり時間をかけて少しずつ。


 前へ。もう少しだけ、前へ。



 ――そんな無駄なこと、しない方がいいのに――



 どこかからそんな言葉が聞こえた。

 無駄かな? ……そう、なのかな?


 でも気にしない。無駄かどうかなんて。


 わたしはただ、“やりたい”だけ。


 自由に動けるようになりたい。自分の意志で自分の行きたいところへ行けるようになったら。それはどんなに素敵なことだろう。


 ねえみんな、わたしは先へ進むよ。

 まだみんなが知らない、新しい場所へ――



                *  *  *



「なあ……この植木よお」


 ねじりはちまきのベテラン庭師は、1本の若木の前で気味悪げにふり返った。

「昨日来たときと、立ってる場所が変わってねぇか」

「俺もそう思ってた。まるで歩いたみたいに土が盛り上がってるしな」

「気味悪いこと言うなぃ」

「それよりどうすんだよ親父、売れんのかこれ」


「下手に売って、お客からクレームもらってもなぁ。……斬るか?」



                -END-



 ぐうたらパーカーさん主催の短編企画「陽だまりノベルス」第2回参加作品です。お題は「進化」、ただし「進化という言葉は使わない」。出題者です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ