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26匹目 山下りのち洞窟着+オマケ

「…ヒヒッ」



 ようやく立ち直ってくれたようで、釈然としない様子ながらもやはり身に染みた本能、ヴィヴィットバブーンさんは案内を果たそうと「こっちだぞ付いてこい」と言わんばかりに顎で先の方向をクイッと指して、進んでいく。私たちはそれに続いていくだけだ。

 いやはや、真っ黒なぷりケツが最高にキュートですなぁ、ニヤニヤニヤニヤ。マルコ〇も可愛い。


 急斜面の山林を下りながら、ランドキングビーさんは言った。サンライトドラゴンは他にモンスターを頼るようなことは考えもせず、自力のみで見つけようとするため、この様子だと恐らく此方の方が早く見つかるだろうと。なるほど、プライドが高いってのも考えものですねぇ。守るべきプライドはそこじゃないような気もするけど、難儀な性格だ。クラスに居たら私が弄りたくなるキャラだな、きっと。

 ただ、やっぱり悠長にはしてられないんだよね。念には念を、押しには押しを。

 ランドキングビーさんが「速度を上げろ」とヴィヴィットバブーンさんに命令し、何かヒヒヒヒ言いながらもヴィヴィットバブーンさんは命令に従って手足の四足を使い、走りだした。

 ここら辺りの山は火山地形なためか、柔らかい土ではなく硬い溶岩石ような地面になっており、凹凸が激しく、切り立ってて、その凹凸の隙間を埋めるように草木や苔が生えている。


 カモシカのようにピョンピョン身軽に岩岩を飛び跳ねるヴィヴィットバブーンさんは、何だかワイルドでカッコいいよね。

 同意を求めるようにそう言うと、やや間があってから「そうだな」と答えてくれて、ランドキングビーさんはヴィヴィットバブーンさんの背後に針をパンパン撃ち出した。ヴィヴィットバブーンさんの悲鳴が上がる。おお、更にスピードが上がった!

 ああん、やっぱりぷりケツが可愛い。







 はい、っと。ヴィヴィットバブーンさんがハイペースを見せてくれたおかげで、十分もかからない内に目的の場所に辿り着いた。

 そこは空からじゃ分かりにくい入り組んだところにあって、人を10人縦に並べても余裕のありそうな巨大な空洞を、滝水のようにシダのような葉の(つる)が隙間なく垂れ下がることによりカモフラージュされていた。どうやらここで正解のようで、入り口に生えた草木はあちらこちらに折れたり捻れたりしており、何かが這いずったような跡が下には残っている。跡からしてアンシェントリザードさんも、サンライトドラゴンと同じような身体の大きさみたいだ。幅が10メートルは堅いぞ、コレ。ドラゴン系ってみんなこうなのか、おそろしや……。

 蔓の僅かな隙間から覗く洞の奥は、全く光の届かないような暗さで、風が通り抜ける音が入り口からゴウゴウと聞こえて、ちょっと不気味で怖い。



「だ、大丈夫かな…?迷ったりしないかな…?ランドさん此処、怖いよ」


「グルル」



 私が居る────言い切ってくれやがりましたよ、ボス。大変心強い。カッコいいです。


 そういえば迷う心配はいらなかったな。ランドキングビーさん、昨夜、暗い中でも私の位置が正確に分かってたもんなぁ。温度や物質波で物を認識しているとか?どこのターミネーターだ。

 そして、何故かヴィヴィットバブーンさんも洞窟に付いてきて下さることになった。赤信号も皆で渡れば怖くない。仲間は多いのに越したことはないんだけど。

 何で帰さないの?って聞いてみると、何かあった時のための身代わり要員なんだと返された。

 ………ランドキングビーさんって私以外の扱いが雑な気がする。いいや、これは気のせいなんかじゃねぇな。

 もちろん自分が大事にされることは嬉しいけど、内心で私の天使が「止めたげてよ!可哀想じゃない!」と言いながら「自分が無事なんだから問題ねぇじゃねーかよ」と主張する悪魔をポカポカ殴っていて、複雑だ。実に複雑だ。なのでノーコメントにしておいた。



 蔓を暖簾のようにくぐり、真っ暗な洞窟の中をランドキングビーさんの背中に乗ったまま進んで行く。その真下にはヴィヴィットバブーンさん。


 ピチョン、ピチョンと雫の滴る音、それからランドキングビーさんの翅の音、ヴィヴィットバブーンさんの荒い呼吸音、大地が鳴り響くかのような風の音が聞こえる。

 何も見えないけど─────「私が居る」。そうだよ、怖いもんなんてないじゃないか。

 よっしゃーーー!なんでもこいや!!………あっ、間違った!サンライトドラゴン以外はなんでもこいや!!


 背後からの馬鹿でかい鳴き声と凶悪顔と身体のデカさと醸しだす雰囲気が私のトラウマです。

 そうだ、ナイトメア・サンライトドラゴンと名づけよう。


《オマケ》


花子の脳内モンスターナンバー011

【バルドイーグル】

 ビースト系。ギャーギャーと大きな声で鳴く公害モンスター。見た目は頭がピンク色にハゲている鷹。身体の大きさは1メールないくらい。小物臭がして、なんだか嫌いになれない。


花子の脳内モンスターナンバー012

【アンシェントリザード】 ドラゴン系。ドラゴン系の中で1、2を争うほどの長命種。土塊のようで、髭が生えており、大きな身体をしている。ドラゴン系の中では比較的穏和なタイプで、あまり強くはない。


花子の脳内モンスターナンバー013

【ヴィヴィットバブーン】

 ビースト系。水色の地肌に栗色の体毛をした、マントヒヒっぽいおサルさん。毛を膨らませ、牙を鳴らして威嚇する。体長は1メートルから1.5メートル。雄には頬から顎に掛けて紺・オレンジ・白・赤の鮮やかな太い曲線が何本も入っているが、雌には白のみ。顔や体毛のオシャレこそモテ男の証。鳴き声は「ヒヒッ」や「ヒヒーン」。


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