<秘密破れ>第一部
それからというもの三人は薊色の街に二つ、茜色の街に三つ、計五つの屋根裏部屋を作り上げた。 三人はそれぞれを「気分の部屋」と名付け計それぞれ違った気分のときに違った気分を味わえる部屋にした。そのどれもに、ビールとチェス盤は存在した。
茜色の街で初めて見つけた三階建ての家の当主はシャンデリアおたくで、三人からは「シャンデリアおやじ」と呼ばれていた。
「マットレスおやじとシャンデリアおやじ、どっちもうるさくてかなわないよ」
茜色の街の屋根裏で、朝の陽射しと風を浴びながら、小説家が言った。
「でもまさか自分の家の屋根裏に悪ガキ三人組が住みついてるなんて思いもしないだろうな」
少年がニヤリと言った。
「楽しすぎるよ、それ」
小説家は笑い転げた。
そのとき、朝の新聞を盗みにでかけていたミュージシャンが帰ってきた。
少年が読む番になって、少年は「あっ」と驚いた。それに気づいたミュージシャンが「どうした?」と尋ねた。
「アイツが‥僕の父親が捕まったって…」
「以前話してくれた悪魔か?…そりゃ良かったじゃないか」
小説家が言った。
「うん、お金が足りなくなり強盗だって…そして息子監禁の容疑もだって」
「その息子、つまりお前だけど調べられなければ良いな‥」
ミュージシャンが不安げに言った。
「そうだね。でも大丈夫。さあ!今日も出かけようぜ!」
三人は十分後には中心街を歩いていた。
そして向かった先はクローバー平原だった。その平原で一時間遊んだあとで、三人は空き家の屋根裏に行った。
そこで少年はベッドのそばに落ちている鳥の羽を見つけた。
「これ…何の羽?」
少年が尋ねた。
「多分蒼鷺の羽だよ。珍しいんだぜ」
小説家が言った。
その羽はとても美しく、少年は迷わずポケットに入れた。
「本当だったんだ」
まもなくしてミュージシャンが言った。
「何が?」
他の二人が口をそろえて言った。
「聞いた話だけど…この空き家、蒼鷺がよく留まるらしいんだ」
「何でだろう?」
「サッパリだけど。どうやら本当らしいよ」
「宝物にしよう!キレイだし…そういうのが一つくらいほしい」
少年が胸を高鳴らせて言った。二人は少年を同時に見てから、少し笑った。
「今日はどこ行く?」
クローバーの絨毯に寝そべりながら少年が言った。
「久しぶりに…マットレスおやじのところへ行こう」
ミュージシャンが言った。
「ついこの前行ったじゃないか。薊の…もう一つの方はどうだ?」
小説家が呆れた調子で言った。
「そこにしよう」
三十分後には三人はその家にいた。そしてその家の食料を盗んだ。最近、三人の食料が底をついてきたのだ。
小説家の十万円弱と、ミュージシャンのそれより少ない金額で生きつないできた三人だったが、そろそろ危なくなってきているのだった。
「ゴホン、ゴホン…」
「大丈夫か?ちょっと寝たらどうだ?最近体調が良くない」
小説家が言った。
「大丈夫…大丈夫だから」
少年はこう言った後もまた咳き込んだ。
「一曲いこう。お前に足りないのは歌の力だ」
ミュージシャンが陽気に言った。
「調子良すぎるよ」
小説家は苦笑して言い、机に向かって行った。




