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人を傷つける為だけに存在するモノ

作者: アァノルド
掲載日:2026/10/31

少女は自分の出自など知らなかったし、知った所でなにも変わらないから興味も無かった。


少女は幼い頃に、ある宗教の神子として選ばれ、それに従い他人と自分の願いや、それに見合う対価を捧げてきた。

対価は人の不幸で、それは全て自分以外だと決まっている。

自分は神子なのだから、対価になることはない・対価などにしてはいけないと、特別意識を持ちながら大きくなった。


大きくなるにつれて、このクロツチ信仰という神頼みが、【願いには対価を要求すること】、【願いだけを叶える・対価だけを捧げることができること】、【願いは他人と重ならないこと】、【神子は自分の他に何人かいること】を知り、何かの仕組みに近いなと感じた。


それでも、願いを叶えるという魔法を自分が使えることに、腕力が無くとも頭脳が無くとも、大人と対等以上に渡り合えることが、誇らしかった。


少女は芸能人になりたかった。

ただ見えているだけの上辺に憧れ、華やかなステージで持て囃されたかった。

どんな生贄を捧げてでも。

しかし、【芸能人になりたい】この願いを叶えた者が生きている間は、同じ願いは受け付けられなかった。


少女は高校で出会った先生と、一緒になりたかった。

若くてみんなから人気のある先生という、誰でも憧れるような男性から愛されたかった。

どんな生贄を捧げてでも。

しかし、【男から愛されたい】という、一度叶えた願いは、願いをかけた相手が生きている間は受け付けられなかった。

そして、願いをかけた相手には、もう追加の願いをかけることも受け付けられなかった。


少女は大人の女性になり、時を経て、今ではオバさんになった。


昔、大人になった彼女は、年を取ることをヤメたかった。

自分の家族を捧げてでも。

しかし、【死にたくない】という願いを叶えた彼女にとって、同義の願いは受け付けられなかった。


大きなお願い・魅力的なお願いは、何も残っていなかった。

(私に何が出来るんだろう?)

大金持ちになることも叶わず、出来ることを職にして生きた。

美人になることも、尊敬を集めることも叶わず、占いや旦那の月給を頼りに生きている。


イライラをそこら中にぶつけても、やましさなんて微塵も持たずに年を取ってきた。

責任は全て信仰に負わせ、対価は人に負わせた。

全ての対価は、家族でも他人でも好きに選んできた。自分でなければ、どうでも良かった。


悪意をバラまくために選ばれた少女も年を取り、地方都市で小さくそれなりに生きてきて、人生の終末期を迎えようとしている。


しかし、もう飽きた。

何度、叶えようと捧げようと満たされない。

それに、それに、このつまらん輪廻にも飽き飽きしている。

あぁ、飽きたんだ。

こんなに好き勝手に人を傷つけることに・・・


ーーーソイツらはクロツチさまが始まって、早い方の神子だった。【年を取りたくない】【生贄に選ばれても生きていたい】これを叶えたことにより、それ以降の神子はこの願いが永遠に叶わなくなった。

この神子あたりから、自由にならぬ願いに業を煮やすのか、悪意を持ったモノたちが増えていったと思われる。

しかし、一応の対価としてなのか、1人は死ぬたびにアタマが悪くなり、1人は死ぬたびに世間から注目されなくなった。


===ボクは今の神子の孫に生まれ変わったけど、今の神子も悪い方の神子だから、孫のボクを生贄にした!そんなことある?


でも、神子は神子に手を出せないのは、長い歴史で出来たルールだ。いや、はずだ。

だから、じゃないけどボクは今の神子に手を出せない。いや、おばあちゃんだしね。


まあ、僕が色々と願いを叶えて生きているから、後の神子に迷惑を掛けているんだけど・・・でも、確かもう1人いるんだよ、僕と今の神子ともう1人。僕より前の神子。ミコ?

僕だってたまには人の穢れ?とか魂とか?を奪ってクロさまに捧げてるんだ。

別に魂なんて無くても生きていられるし。

あ、ボクも無いよ。


それで、僕のことをバカって言うヤツは許さない(キリッ)

いや、おばあちゃんの事じゃないよ?


あーあぁ〜、それにしても、ボクってずっとこうなのかなあ・・そろそろ飽きたんだけど・・・

ちゃんと【飽きたらヤメます】ってお願いしとけば良かったなあ・・・

あーあぁ・・・

人を傷つけるのも飽きたなあ・・・


︙︙︙今回もあの男神子(オミコ)と女神子(メミコ)が、ヤイのヤイのと周りを巻き込んで、クロツチに穢れを運び込んでは取り出してをやっている。


実際、あのクロツチに関係して輪廻しているのは、私を含めた神子たちと、あの村で暮らして信仰に生きた50人程度だ。


その50人が穢れを生み出し対価となりを繰り返しながら、延々と我々とクロツチは共存共栄を続けている。

手札の数は決まっているんだから、クロツチのエネルギーが増長するにも縮小するにも、だいたいの限度は決まっている。


あのバカ2人は、何でそれが分からないんだろう?いつまでも膨らんだり、萎んだりするとでも思ってるのだろうか?

それならドコまで膨れるか・萎むか試しにヤッてみればいいのに、そんなオモシロさも持ち合わせていない。


もう、何回こんな輪廻を繰り返すんだろう。


まあ、いつも高みから見下ろして嘲る位置にいて、そんなに悪くはないけれど、私もいい加減に同じことの繰り返しに飽きている。


傷つけ合うのを見ることも、それを見ながら嘲り笑うのも、もう飽きた・・・

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