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美月の懸念

美月の懸念


美月は、派遣の仕事は今回が初めて。それまでエリート街道を歩いてきた。英語もフランス語も得意だった。3人の中では一番の年長で仕事に忙しい日々を過ごしてきたため晩婚であった。結婚したため正社員の仕事を辞め、派遣の仕事に応募してみた。大量募集でなくても他に仕事はあったであろうに、年齢を考慮し無難な道を選んだ。

舞白は、この思慮深そうで理知的な美月にすぐに惹かれた。いつものように明るい笑顔で話しかけると、美月も喜んで舞白と穂乃果との仲良し3人組の付き合いを快諾した。

3人でランチに行ったり、帰り道でおしゃべりしたり。美月は舞白のことも穂乃果のことも「ちゃん」付けで読んでくれた。3人で連絡先を交換した。

ただ、そのうち、舞白が美月に耳打ちするようになった。「穂乃果さんのこと見てる?仕事、ずいぶん遅いと思わない?」舞白に言われるまで全く関心がなかった穂乃果の仕事中の様子を改めて見た美月は、驚いたが、心の中では、「派遣の仕事ともなると色んな人がいるのね。さして騒ぎたてるほどでもないのに、舞白ちゃん真面目だから。」と冷静でいられた。

だが、段々に美月も、穂乃果には明らかに問題があることに気付き始めた。穂乃果のLINEの頻度が多過ぎるのである。

ある日、穂乃果は仕事を休み、ちゃんと出勤している美月にLINEしてきたのである。今の仕事の更新についての心配事を投げてきた。「美月さん、更新ないかもしれない。私、休み多いから。」

美月は思った。休みが多いと更新がないのか。なら、私も、もしかしたら他の理由で更新がない場合もあるのかな。心がモヤモヤして、仕事に集中できない。咄嗟に返信の言葉が浮かんだ。(酷いかもしれないけど、こっちは仕事中なのよ。冗談じゃない。)

「穂乃果さんは阿呆だ」

後ろめたさは残ったが、こうしなきゃ仕事に戻れなかったから仕方がないと自分に言い聞かせた。

その後、期間限定のその仕事は契約期間満了となり、最終日に、舞白、穂乃果と3人で打ち上げをした。

その帰り道、穂乃果の奇妙な行動に唖然とした。

パーマをかけてきた舞白に対し、穂乃果は、急に、「可愛い!」と叫んで、万歳したのである。舞白が、「やめてよ。」と言いながら不快な表情を見せるのをはっきりと認めた。

「あ、この二人、もうダメだな。厄介事に巻き込まれないうちに、私は1抜けた〜。」







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