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カンテラ齒ぎしり

〈ぶるぶると躰の底に夜長ある 涙次〉



【ⅰ】


では、具體的に1ポイント幾らになるのだらう(前回參照)。* 仲本氏「50(萬圓)でだうだ?」-じろさん「まあ穏当なとこだらうな。前回3ポイント一氣に稼いだ譯だから」-「カンテラ氏は撫で斬りだつたとか?」-「まあさうだが。彼の今までの剣業から云はせて貰へば、蓄積された力は、さう容易く得たもんではないよ」-「何もディスカウントして貰ふ積もりぢやあない」-「お分かり頂けたやうで倖甚だよ」



* 前シリーズ第200話參照。



【ⅱ】


「さて、今度はそんなに容易に倒せる相手ぢやないよ」-と「ゲーマー」、カンテラの夢で云ふ。「焦らさずどんと來いだ」-「今度は仲間割れの元だ。一體6ポイントだぞ〜」-「累計9な。良からう」-「* 黑瀬を枕元に立たせる。涙坐の枕元な」-「黑瀬巨文なら魔界に墜ちてはゐなかつた筈」-「何、人造黑瀬だよ」-「そこ迄云つていゝのか?」-「なあに、これはサーヴィス、サーヴィス」



* 当該シリーズ第14話參照。



【ⅲ】


カンテラは豫め涙坐に云つて置いた。当然の事ながら。「黑瀬氏がきみの枕元に立つても、それは人造人間だから。氣に留めないで慾しい」-「分かりました。『ゲーマー』がさう云つて來たんですか?」-「さうだ」-「割りにガードが甘いんですね」-「サーヴィスだと」-「ふ~ん」。こゝで解説して置くと、文藝批評家・黑瀬巨文は涙坐の戀人だつたが、狼狂の女であつた姉の仇とカンテラを付け狙ひ、結局斬られた。涙坐の父、ハーフ【魔】である(おほし)もカンテラに斬られてゐる。その当時は、自分の大事な者たちを奪つた、と涙坐、怨みの念を燃え上がらせてゐた。が、それも過去の事。黑瀬がカンテラの命を狙つて、自分を利用したゞけな事、よーく肝に命じてゐた。父親もカンテラの命を獲らうとして逆襲を受けたに過ぎない。



※※※※


〈パン齧る夜每のワーク終へた後疑ひなきや我にカンテラ 平手みき〉



【ⅳ】


だが、君繪(涙坐さんにロボット黑瀬を見せちや駄目よ。そんな單純な事ぴゆうちやんにだつて分かる筈よ。訊いてご覧なさい)-カンテラ、さう云はれゝばぴゆうちやんにも訊かざるを得ない。(駄目デスヨ。黑瀬ノ事、オ姉チヤン本当ハマダ氣ニシテルンダカラ)-まだほんの子供であるぴゆうちやんにまでさう云はれ、「ガードが甘い」のは自分だと氣付いたカンテラ。「修法」を遣ひ、涙坐の夢に「暗幕」を懸けた。「あら、黑瀬さん、結局現れないぢやないの」



【ⅴ】


まあこれは、男女の機微に疎いカンテラならでの失態である。幾ら嘗ての事を忘れたと云つて、元戀人の顔を見れば、想ひは遠く翔ぶ。

然しぴゆうちやんにまで、分かつてゐる、と云ふのはちよつとショッキングだつた。自分の甘さを嚙み締めざるを得ない。

で、ロボット黑瀬を斬らなくては、ポイントをゲット出來ない。が-

じろさん、「それならもう濟んだよ」なんと手回し良く、じろさんが獨り魔界に下り、ロボット黑瀬を破壊して來たのだと云ふ。カンテラ、完璧に自分一人が取り殘されてゐる現場を、目の当たりにした。



【ⅵ】


「こりやゝられたな。さうは思はん? カンテラさんよ」と「ゲーマー」。「五月蠅い、貴様なんぞに俺の今の氣持ちが分かつてたまるか!」-「はいはい。ぢや、約束の6ポイント進呈。これで累計9だ。しかも主人公が碌に働かずにな。ひやはゝ」

カンテラ、齒ぎしりする事暫し。「あの〜、ロボ黑瀬、まだなんですけど〜」と涙坐。「あゝそれならぴゆうちやんに訊いてくれないかな」カンテラ、自分が不必要に怒らぬやう、氣を付けざるを得なかつた。



【ⅶ】


※※※※


〈シャツ羽織り我が夜秋夜と合一す 涙次〉



これで300萬圓。働きもせず、とカンテラをこれ以上追求するのは已めて置かう。一味は一味。さう云ふ事だ。お仕舞ひ。

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