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“え、何で消えたんですか?”

“嘘、消えてんじゃん。マジ? あーまあでも、いいと思うよそれも”

“祓えたんですか? いやでもそんな事……あ、いえ。もったいないですけど、消えたのなら仕方ないですね”


 あの男が言った通り、結局は悪霊だったというわけだ。それも手に負えないレベルの。

 ただ、そう考えると確かに自分の不幸は言う程ではなかったのかもしれない。怪我は絶えなかったし、奇妙な事も頻発して気味悪がって男も寄り付かなくなった。部屋で一人なのに電話をしていると、「女の声がする」と色んな人間に言われた。


 女が昔自殺したと言われる○○県の橋。有名な心霊スポットだからと遊び半分で行こうと誘われ嫌々ながら付いていった。

 私含め合計五人。私以外の人間はこの三年で全員死んだ。次は私かと怯えどうにか助からないかとネットで調べ評判の霊媒師やらを訪ね歩いた。


 しかし全員が口を揃えて憑いているはずの悪霊を守護霊と評した。

 最初はそんな馬鹿なと思ったが、段々とそうなのかもしれないと思い始めた。実際に私だけが死なずに生き延びていた。つまりは守られているのだと。

 

 そんな半信半疑の中、あの男だけは唯一うしろにいるモノを悪霊だと断言した。

 

“飽きたから遊んでるだけだ。こいつにとっちゃあんたの言う不幸なんてまだ始まってもいない”


 なんとかするから安心して暮らせ。そう言い残して男は店を出た。

 その日以降、怪我や霊障の類はなくなった。言葉通りあの男がなんとかしてくれたのだろうか。

 あれから霊能者達を改めて訪ねると、皆守護霊が消えたと口にした。ただ、あれだけ素晴らしい守護霊だと言っていた癖に、消えたと分かるや皆ほっとしたような無責任な安堵を見せた。男の言う通り、皆見えているからこそ恐ろしくて本当の事を言えなかったのだろう。


 助かった、のか。

 男の連絡先も分からず、これ以上確かめる術はなかった。

 ひょっとすると男は私の代わりになってしまったのかもしれない。だとすれば申し訳ないが、男はおそらくそれも覚悟の上だったのだろう。


 ーーにしても。


 今となれば些細な疑問だが、今私に憑いてた悪霊はもういない。

 

 ーーじゃあ、私のウシロにいるはずの守護霊は、どこにいってしまったのだろう。

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