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発展しない世界

攻撃魔法としてファイアボールが当たり前に飛び交う世界観なのに、それを考慮していない軍略を使用している世界ばかりで疑問に思う。


戦争が文明の発展に寄与している、という話がある。それは誰もが死にたくないので自分が死なないよう、相手をなるべく早く殲滅するために皆が思考をフル回転させ、そこに資源も人材も惜しみなく投入するきっかけになるからだ。その結果新たな軍略や兵器、そのための仕組みが必要によって発明、一気に普及していき、それが民間にも降りてくることになるためだ。


第二次世界大戦で市民を巻き込んだ総力戦に戦争が変わっていったのはそのためだ。いくら前線の兵士を殺していっても、後ろにいる敵本国でどんどん兵士を育成し、補給物資を整え、兵器を作り出しているのだからきりが無い。だったらその後方を潰してしまえばいいという考えだ。もちろんその考えは昔からあったが、実現できたのは飛行機が出来たからだ。それ以降のことは本題からずれるので省略するが、時代により状況によって戦術戦略が変わっていくのが当たり前である。


しかしなぜか魔法使いが戦争に投入される世界であっても、その魔法使いの攻撃を警戒しているフシが見えない作品は意外と多い。


例えば敵城主が魔法使いであると知っているのに、城に集団でゴリ押ししようとして、魔法使いになぎ倒されるとか。

例えば逆に薙ぎ倒すために敵兵が見える位置に出てきた魔法使いを弓の狙撃で殺すとか。


こんなことが起こってしまう。こんなのどっちもバカじゃん、と思ってしまうのだが本人たちは至って真面目である。

これは書き手がその世界の戦術の発展を考慮しておらず、上記の例で言えば、魔法使いが存在しない、中世の戦闘【だけを】参考にして書いているからだろう。しかしその世界には魔法があるのだ。


攻撃魔法をファイアーボールに限定したとしても、現代の視点で考えると、魔法使いはグレネードランチャーを持った兵士である。そんな敵に槍をかかえて突撃したらどうなるか? 簡単に想像できるだろう。


そしてグレネードランチャーを持った兵士は、相手に腕利きのボウマンがいるかもしれないと考え、迂闊にグレネードランチャーを持って敵の前に出たら、狙撃を食らう可能性がある……ということをグレネードランチャーを持った兵士は考えなければならないのだ。でなければ死ぬのは自分である。


こう考えれば、迂闊に姿を見せて攻撃呪文を詠唱する魔法使いがバカに見えてくると思う。彼はまず自らの身を守る魔法を使うべきなのだ。あるいは狙撃を受けない位置、もしくは配置でもって対処に赴かねばならない、でなければ死ぬのは自分である。付近にフルアーマーに盾を持った味方を配置するだけでずいぶんと違うだろう。


そして魔法使いが使える魔法はファイアボールだけじゃない。サンダーストームでもいいし、泥だ沼だ、でもいい。メテオストライクなら文句なしだし、ウェザー・コントロールで攻められにくい気象にするのもありだ。そういった魔法使いがいる城にただの軍勢を引き連れていって城を落とせると思っているのがもはやアレとも言える。


結局のところ最初から最後まで魔法使いという要素が入ってないのだ。ならなぜ城の城主を魔法使いにした?なぜ魔法が普及している世界にした?という話になってしまう。

ここまで分かりやすい、極端な事例はそう多くないと思うが、似た事例はいくらでもあるし、上記に似通った事例もあるのだ。ちゃんとしたプロの作家でもこれである。当時は憤慨したものだが、今は、理解できている人のほうが少ないのだ、と把握できたのでこのような文章を書いている。


これが理解できるかどうかが、分解できているかどうか、なのだ。分解の考え方としては、SEの設計の仕事でフローチャートを考えることに近い。……つじつまがあってるから面白くなるとは限らないのが残念なところだが、隙はなくなる。

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