他者の都合
物語の世界とはいえ、そうとう特殊な設定でもない限り、名もなき人物が多数暮らしている。これらは一般的にモブと言われている。「モブ厳」という単語もあり、モブにはかなり厳しい世界観もあるし、そういった話の流れもある。
しかしだからといってあまりに主人公優位というか主人公の都合しか考えていない世界はどうなのだろう? 気にしなければいいという意見もあるが、気になる人は自動的にひっかかるし、その世界は通常成り立たないほどに歪んでいることにもなりかねないので崩壊の危機でもある。
例えば主人公が鍛冶屋になりたい時、転職には「転職の石」というレアなアイテムを持ち、エルダーフレイムというモンスターを10匹倒さなければならない、と言われたら、貴方は違和感を感じるだろうか?
街の教会に務めるには、回復スキルを持っていないとダメで、回復スキルは治療術師しか学べず、治療術師になるためには「治癒の手袋」を装着して、イヴィルコープスというアンデッドモンスターを10体、鈍器を使って倒さなければならない、とかならどうだろう?
手がかりとしては、これらはとてもゲーム的で、需要を満たせるとは思えない、ということである。
鍛冶屋も街の教会も、街で暮らすなら必要なものである。なんなら小さな村でも必須クラスだ。それなのにその職につくために主人公はこれをこなさねばならない。じゃあ他の人はどうやってなったの? 今いる鍛冶屋や聖職者もこれらをやったの?となる。
実におかしい。主人公を動かすためにへんな目的をつけただけ、となる。そんな一般的な、街にあふれる、そして必須な職業でそんなものが必要になるのはおかしい、となる。
何をおかしなことを、と考えるかも知れないが、実際にこのような事例を見ることは多いのだ。なんならアニメですら見た。一部の例外をのぞけばアニメ化する前にコミカライズもされるだろうし、要するに最低でも二回、ここおかしくね?と指摘できる場所があったにも関わらずスルーされお出しされているのだ。
すなわち、多くの人にとってこの問題はどうでもいいことであると考えるしかない。貴方はどうだろうか? 村人が鍛冶屋になるのによく分からない冒険者向けとしか思えないクエストをこなさなければなれないという世界でいいと思う? ゲームでもないのにステータスって言ったらどういう意味なのか説明もないスタータス画面が表示される世界だからどうでもいいとかなのだろうか?
勢いである程度書いたが、勢いだけだったので寝かせておいた話題だった。