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ご都合主義とバッドエンド

まず最初に、私は基本的に書き手でもあるので、ご都合主義がありかなしかで言えば「あり」になる。



そのうえで最近、ご都合主義という言葉が攻撃に使われている気がする。



どういうことかと言えば、フィクションにご都合主義と言えば、たいてい当てはまるので言い返せないため、ジョーカーと化してるのではないだろうか? 実際のところはノンフィクション、すなわち現実でも不可解すぎることは多々として起こってはいるのだが。



わかり易い例として、ハッピーエンドにはご都合主義と言われることが多いが、バッドエンドにご都合主義と言われることはまずない、ということ。


普段通りキャラ設定通り常識的に考えて、そうするであろうことを何かしら理由(精神状態が悪いとか)をでっちあげて、その行動をさせず、そのためにバッドエンドになる、という物語展開もご都合主義なのだが、指摘されることはほぼない。


なぜなのか?



その理由として考えられるのは、現実においては不幸が多いことと、他人の不幸は蜜の味、の言葉通り、人間というものはそういったものだからではないだろうか?


逆にハッピーエンドにしてしまうと、そりゃー叩かれる。なにせ細かく設定し配慮し、そうなるように組み立てていても、そうだと気づかれないので不思議パワーに見えちゃうから、なのでは、と思っている。



この現象を考えると、フィクションにはほぼ書き手がいる、という事実を理解できていない人の方が多いのでは?とも思う。ほぼ、としたのは複数人が作った物語が神話として語り継がれてきて必ずしも書き手の思い通りになっているとは言い難いと思われるものもあるためだ(それでも書き手はいるのだが)。


書き手がいる、ということはその人にとってそのフィクションの世界はどうにでもなる、文字通りの神である、ということだ。すなわちだいたいキャラが不幸になるのも幸せになるのも書き手次第である。


実際にたまにバッドエンドの話で、あそこであれがこうなっていればバッドエンドを回避できたのでは、みたいな話を見かける。まさしくそうだと思うのだが、書き手はそれを選択しなかった、ということである。様々な理由があるとは思うが。



例外として書き手のシミュレート能力が高くなると、このキャラはこんなことはしない、とかこうする、とかなってくる。これがいわゆる「勝手にキャラが動く」なのだが、シミュレート能力の結果なので書き手の能力次第となる。この場合のみ書き手の想定外となり、そのつじつまを合わせていくと書き手の望まぬ展開となることはある。


例外はこれだけで、そのためにハッピーエンドがバッドエンドに、もしくはその逆の原因になることは流石に滅多にない。なぜならフィクションはエンターテイメントとして提供するものなのだから、最初の組み立てから大幅に変更する事態となると物語としてまとめ上げること自体が困難となっていくためだ。いわゆるエターなる(永遠の未完)になりやすい。


ご都合主義と判断されやすいのは、本当にご都合主義で出したであろう、明確な理由も伏線もなしにキャラ(書き手)にとって都合の良い、アイテムなり登場人物なりが出てきた時だろう。それが繰り返されれば、書き手の能力を疑うことになり、作品を楽しめなくなってしまう。


これを防ぐには、書き手はもっとシミュレート能力を身につけ、要素を分解する能力を身につけていかなければならない。


だけど読み手はまったくの逆でシミュレート能力と要素を分解する能力を獲得しないようにしなければならない。でなければ見たくもない物語のアラを【自動的に】検知してしまうようになってしまうからだ。


一部に分かりやすいように言うと、アイディアロールと同じである。能動的に行動した時以外にそのロールに成功すると不利益な事態が起こってしまう可能性が高いので失敗したほうがいいロールなのだ。

要すると、気付かない方がより楽しめる、ということ。ただしそれが書き手であるとご都合主義が頻発しかねないのだ。求められる要素が真逆なので。


まとめると、物語とはバッドエンドだろうハッピーエンドだろうと、書き手の都合そのままに書かれたものなので、すべてご都合主義ではある。しかしそう思われないためにビリーバビリティ(もっともらしさ)を積み重ねていくものである。読み手が納得できればご都合主義はご都合ではなくなるのだ。

物語には、創作者がいるもので、その物語に、どんなにリアリティやビリーバビリティがあろうと、創作者が決めたことである、よいこともわるいことも、という基本的なことは忘れてないで欲しい。

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